1 エロを料理に例えるならば
一口にエロと言いますが、大雑把にわけて『男性向き』と『女性向き』のエロがあるらしいと私が知ったのは、大人になってからです。
こちらのサイトなら、『ノクターン』と『ムーンライト』で分類されていますよね。
でも、わざわざわける必要あるのか?と、エロに疎い比較的若い頃の私は思いました。
もんのすごーく本質的な話。
エロとは生殖です。
生殖そのものは実に即物的で、やることやれば子供が出来るというシンプル極まりのない話です。←夢もロマンもないのう(笑)。
ぶっちゃけ、行為そのものは代わりばえがないのですから、描写もパターンが決まっているようなもの。
多用される形容詞やオノマトペも、まあ似たり寄ったり(笑)。
ただ、その行為をいかに美味しそう?に、いかにファンタスティックに描くかが、表現者の腕の見せどころ……というところでしょうね。
身体に栄養を補給する意味だけならば、別に不味くても何でも必要な食べ物を摂ればOKです。
しかしこの世には、色々な料理があります。
最初は、食べられるものは何でも食べよう!という努力と工夫から始まったのが料理でしょうが、やがて『美味しい』が重視されるようになり、様々な料理が世界に生まれました。
エロもきっと同じなのでしょう。
結果、実際に様々な料理を食べる(エロの場合は様々な行為をする……でも犯罪は駄目ですよ!)人もいるでしょうが。
映像や印刷物に書かれたものを見て『美味しそ~』と思い、それでそれなりに満足する人もいます。
小説のエロなどは、そういう需要を満たすものだと考えます。
そして料理には、万人が美味しいと感じるであろう最大公約数的なものもありますが、『男性が好む傾向』(肉などの動物性たんぱく質・ガッツリ・メリハリのきいた味付けなど)『女性が好む傾向』(野菜や穀類・さっぱり・繊細あるいはスイートな味付けなど)の料理があるように、エロにもそういう傾向があるのではと考え付き、やっと私は『なるほど!』と腑に落ちました。
(え~……いや疎いにもほどがあろうよ、私。料理と比較して納得とか、どんなカマトトだ。あるいはただの食いしん坊か……?)
セルフツッコミはともかく。
『男性向けエロ』と『女性向けエロ』とはどんな傾向か、私は考察しました。
【男性向けエロの美味しさ要素】
ここの部分、私は男性ではないので推測でしかありませんし、当然個人差が大きい部分でしょうけど。
男性が『美味い!』と感じるエロの傾向は。
ズバリ『征服欲』が満たされる描写、ではないかと愚考します。
若かったり・美しかったり・高貴だったり・清楚だったり・優秀だったりする女性(処女なら尚ヨシ)、要するにまだ誰の手にも触れていない・触れていたとしても目覚めていない高嶺の花を、手を変え品を変えて凌辱の限りを尽くし、快楽に狂わせて堕とす。
無垢で無知な状態の高嶺の花を、自分の手で完全に調教して快楽堕ちさせ
『あはーん♥ご主人様の奴隷になりましゅううー』
とでもいう状況になれば勝ち(笑)。
虫も殺さないような楚々とした顔しているくせに、一皮むいたらとんだ雌豚だぜ的な~。
……まあその。
そんなにたくさんの官能小説を読んだ訳ではありませんから断言は出来ませんが、そういう感じの作品が多い印象を受けました。
女性のひとりとして、正直あまり面白くない展開(女はクリアされるためだけに存在する、ゲームソフトのような扱いに感じます。難易度が上がるほどクリア後のカタルシスが上がるといいますかww。官能小説の女性キャラは、要は人間じゃないんですよね~)ですが、こういうのはある種のファンタジーでもありますから、まあ仕方ないでしょう。
女性向けの場合も、ある意味男性キャラが人間じゃない扱いされているの、否定出来ませんしね~。
【女性向けエロの美味しさ要素】
こちらも個人差の大きい部分ですが、ざっと読んだ感じ(BL含め)女性が『美味しい!』と感じるエロの傾向は。
ズバリ『愛(歪んだ執着含む)』が満たされる描写、ではないかと愚考します。
どんなパターン(和姦にせよ強姦にせよ)であったとしても、男性(BLの場合は攻)が、女性(BLの場合は受)こそ唯一、と言える執着を持つ描写が出てくると、エロの限りを尽くしたアレコレがガッツリ肯定された安心感で、満足して読了できる気がします。
この場合、男性(攻)キャラが最初から、女性(受)キャラにヤンデレていてもかまいませんが、愛を知らない(笑)鬼畜な彼が、犯罪としか言えないアレコレの果てに何故か、被害女性(受)にグッと心をつかまれ、猛烈な執着を見せるようになり……という展開。
勝った、という感じがしますね(笑)。
ここは……単にヤンデレ好きな私だけの好みなのかもしれませんが。
でもそういう作品、そこそこ多い気もします。
もちろん、男性キャラがイケメンだったり金持ちだったり身分が高かったり仕事が出来たり……という、スペックの高さも描写されますが。
男性向け作品ほど、そこは重要視されていないような気もします。
大切なのは、結果として男性(攻)キャラが女性(受)キャラだけを気持ち悪いくらい愛する(執着する)こと。
このアイの為なら命かけるくらいの勢いで、エロの限りを尽くす。
ここが美味しさポイントのような気がします。
まあ、男性向け女性向けどちらにせよ。
『そんな都合のいい女(男)おるかい』な、ファンタジーですよね(笑)。
『征服欲』と『愛(執着)』。
それぞれの性別の、生殖に必要な本能をゆさぶる記号かなと、私としては愚考いたします。




