◇After Story第10話◇ 『宝石級美少女と文化祭を回りました』
今日は待ちに待った高校の文化祭の日だった。
「――庵くんっ。次、あのお化け屋敷行きましょ!」
「おっけー」
おそろいのクラTを着た琥珀が、浮ついた足取りで、次の展示へ向かって歩き出す。向かった先は、お化け屋敷。教室の外装が新聞紙で埋め尽くされて、無数の赤い手跡がついている。なんともおどろおどろしい外見だ。
「お化け屋敷入られますかー?」
「はいっ。二人です」
「どうぞー。楽しんでください」
簡単に受付をすませて、二人はお化け屋敷内部へ侵入した。中は沢山の暗幕が垂れ下がり、光はほとんど遮断されている。
隣に居たはずの琥珀が、いつの間にか庵の背中に身を隠していた。
「......庵くん。先進んでください」
「怖いの?」
「怖いです」
さっきまで元気ハツラツとしていた声が、いきなりしおらしくなる。正直な琥珀に免じて、先頭は庵が担当することになった。
庵は内心かなり余裕を感じているので、どちらにしろ変わりはないが。
「じゃ、行くぞー」
「はい......」
一歩一歩、琥珀のことを考えてゆっくりと進む。数歩歩いたが、まだ何も来ない。
「いつ、驚かせてくるんですかね?」
「いきなり来ると思う。俺も、ジャンプスケアは結構苦手だからそれはやめてほしいかな」
「じゃんぷ、すけあ? ってなんですか?」
「あー、ジャンプスケアってのは、静かな場面でいきなり大きな音を出したりするやつね。ホラー映画とかでよくあるやつ」
「へぇ......私も多分それ苦手です」
ジャンプスケアといえば、B級映画のお約束みたいなイメージがある。低予算で作られるホラーというものは手っ取り早く視聴者を驚かせるため、この手法を多用するのだ。勿論面白いホラー映画にも使われていて、そういう映画は物語の緊張感と連動させて使われるので、安っぽい仕上がりにはならないのである。
と、ジャンプスケアの解説はさておき、ここで琥珀は気づきたくない違和感に気づいた。
「――え」
後ろから物音がした。それは庵の耳にも届く。咄嗟に後ろを振り返った。
するとそこに居た般若の仮面をかぶった怪物と目が合ってしまう。
「いやああああああ!」
瞬間、般若が段ボールのなたを振り上げて追いかけてくる。同時に琥珀の甲高い叫びが教室中に響き渡った。後ろからの襲来は予想外だったのだろう。
「逃げて、逃げて、逃げてください!」
琥珀に腕を引っ張られ、今度は琥珀が先頭に。あまりにも琥珀が怖がりなので、庵は逆に冷静になれてしまう。そういえば前に琥珀ママからお化け屋敷で大泣きした琥珀の写真を見せてもらったことを思い出した。もしかすると、琥珀はあのときから何も変わっていないのかもしれない。
「もう大丈夫だって琥珀。なた持った人、もう帰ってったから」
「ほんと、ですか? もう、居ないですか?」
「居ない居ない。安心して」
一直線の道を抜け、突き当りを右に曲がったところで般若は二人を追いかけることをやめた。般若が帰ったことを自分の目でも確かに確認した琥珀はほっと息をつく。
これで一安心。そう思ったのも束の間、次なるトラップが琥珀を襲う。
「――ちょ、琥珀! 前!」
「え?」
今二人が居るのは、右と左が暗幕に遮られた細い道。なんとその暗幕の隙間から、六本もの人間の手が飛び出してきた。
「い、いやああぁぁ!」
その想像を絶する光景に、本日二度目の琥珀の悲鳴が上がった。
***
「お化け屋敷はもうこりごりです。次はもっと楽しいところに行きます」
「俺は琥珀の叫び声の方が怖かったな」
「うるさいですよ庵くん」
というわけで地獄のお化け屋敷(琥珀にとって)を終えた二人。若干涙目の琥珀と共に、廊下をぶらぶらと歩いて、琥珀の言う楽しそうな展示を探してみる。
「あ、あれは? 占いだって」
庵がパッと目についたのは『占い屋敷』という看板が立てかけられた教室。何を占ってくれるのかは分からないが、とても面白そうだ。
「いいですね。せっかくなので、私たちのこと占ってもらいましょっ」
「そうだな。行くか」
次なる目的地が決まり、早速教室をお邪魔する。中に入ると、紫色の少し不気味な光が辺り全体を照らしていた。例えるとするならば、まるで魔女の家のように見える。
教室の奥には占い師らしき人物が三人、机に座って来場者たちを待っていた。
「......なんか一人だけ人気ない占い師いない?」
ここは人気コーナーだったのか、二人の占い師の前には長い列ができている。ただ、残りの一人の占い師には誰も並んでいなかったのだ。
琥珀はそんな哀れな占い師を見て、ハッと目を見開く。
「秋ちゃん! あの占い師、秋ちゃんですよ庵くん!」
「え? あ、ほんとじゃん。小岩井だ」
人気のない占い師の正体はまさかの小岩井秋。大きな魔女の三角帽子と黒いローブを身に着けていたので、すぐには秋だと気づけなかった。それに気づいたタイミングで、あちらも庵たちの存在に気がついたのか、ジト―っとした視線を送ってくる。
「せっかくなので秋ちゃんに占ってもらいます?」
「それはいいんだけど......でもなんで小岩井はあんなに人気ないんだ?」
「さあ......まぁでも、行ってみたら分かりますよ」
秋に占ってもらうのはいいとして、あまりの彼女の人気のなさが引っかかる庵。庵の目から見ても秋の容姿は優れているので、純粋に女の子と話したいだけの人間が、占いそっちのけで秋の元へ行ってもおかしくないのではと思うのだが。
「――秋ちゃん。私たちを占ってもらっていいですか?」
とりあえず秋の元へ向かい、席についた。すると秋が面倒くさそうにあくびする。
「じゃあ占い料100円頂戴」
「は?」
まさかの請求に庵から間抜けな声が飛び出た。隣の琥珀も「えーっと?」と苦笑いしている。
「出さなきゃ占わないから。よろしく」
「なるほどな。お前だけ人気がない理由がよくわかった」
「てへ」
「てへじゃねーよ! 金取んな!」
どうやら秋の占いだけは料金が発生するらしい。どうりで誰も来ないわけだ。それと、クラスの人間がこれを許しているのかどうかだいぶ怪しい。秋の独断でなければいいのだが。
「まぁコハの顔に免じて、今回は特別に料金免除してあげる。良かったね、彼氏くん」
「それで当たり前なんだよ。てか文化祭で小銭稼ごうとすんなよ......」
「そうですよ秋ちゃん。他の占い師の人はタダでやってるんですから、そこは公平にいかないとだめですよ」
「はいはい。おけおけ」
絶対分かってない秋の適当な返事に、庵は呆れ、琥珀はため息をついた。文化祭で金で稼ごうとする乞食ぶりには怒りを通り越して最早呆れてしまう。だが、まぁ秋だしという妙な納得感はあったが。
「じゃあこの青いボール......じゃなかった水晶に手触れてください」
「わざと言い間違えたよな?」
「触れろよ早く」
琥珀の顔パスにより、秋の占いが開始。まずは指示された通り、机の真ん中にある水晶を二人で触った。
「触ったら占いたいことを口にしてください。そしたら私がその結果を発表します」
そう言われ、庵と琥珀は顔を見合わせた。てっきり占い師が勝手に占ってくれると思っていたので、まさか占う内容を自分で選べるとは想定外だ。
「どうします? 庵くんが決めていいですよ」
「そうだな......じゃあ、俺らの将来とか?」
「いいですねっ。私が将来どんな仕事に就いてるかとか気になります」
「じゃあそうするか。占い師さん、俺らの将来を占ってください」
二人が占ってもらう内容に決めたのは将来。秋は真面目にやっているのかいないのか、目をつむって「むむむ」と棒読みで声を漏らす。占いの結果を水晶から受信しているのだろうか。
「――占い終わりました」
「結果はどうでしたか?」
占いが終わったらしく、いつもの眠たそうな目を開く秋。そして静かに結果を告げる。
「数年後、あなたたちは避妊に失敗して子供ができてしまい、できちゃった婚を遂げます」
「は?」
「は?」
真顔でとんでもない発言をするので、揃って同じ反応をする庵と琥珀。今の秋の発言を二人の脳が正確に咀嚼する前に、追い打ちをかけるかのごとく更なる占いの結果が告げられる。
「結婚後、ハッスルしまくって子供が十人生まれます。尚、二人の収入はそこまでなので、家計はとても厳しく――」
「秋ちゃん! 適当な占いやめてください!」
どこまでも無茶苦茶な占いに、琥珀が顔を真っ赤にして怒りの声を飛ばした。占いを中断された秋はつまらなそうな顔をして息を吐く。
「占いなんて全部適当でしょ。まともな占いなんてこの世に存在しないから。だったら思いっきり話盛った方が面白くない?」
「面白くないですっ。屁理屈言わないでください! なんなんですかっ、できちゃった婚とか子供十人とか! そんなに子供作れるわけないじゃないですか!」
琥珀からとてつもないパワーワードが飛び出した。
「庵くんもなんか言ってください! こんな占いでたらめですからっ」
「ああもちろんっ。俺はできちゃった婚とか絶対しないからな! 俺は紳士だから!」
「そうです! 庵くんは紳士......ですよ!」
「なんでそこ言いよどんだ!?」
琥珀の加勢に入ったつもりが、何故か琥珀に刺されてしまう庵。思い返せば4月に琥珀をベッドに押し倒しているので、おそらくそれが原因だろう。庵は少しだけ傷ついた。
「はいはい。お幸せに」
気だるげにしっしと手を振る秋。秋によるでたらめ占いは予想外の嵐を呼んで幕を閉じたのであった。
***
「秋ちゃんには、あとで私から沢山怒っておきます。あんなでたらめなの、占いでもなんでもありませんから」
占い屋敷から出た二人。琥珀は未だ、散々な占いの結果にぷんぷんと腹を立てていた。確かに、あのクオリティで金まで取ろうとするのだから、琥珀の怒りはもっともである。
「金は取るし、占いは終わってるし、琥珀の友達すげぇな」
彼女の前でぼろくそ言われて、心の疲労がだいぶきていた庵。溜め息混じりに、率直な感想がこぼれ落ちた。
「ほんとは良い子なんですよ......ちょっと変わってるだけで」
「あれはちょっとどころじゃないぞ。妹と違って何考えているかマジで分からん」
「確かに。みのりちゃんとは大違いですね」
ミステリアスで何を考えているか分からない秋と、天真爛漫で人に好かれる性格をするみのり。真反対の要素を持ち合わせている二人だが、ここは姉妹なのだ。同じ環境で育っているはずなのに、姉妹でこうも性格が変わるものなのだろうか。
「あっ! あれ見てください! フォトスポットって書いてあります!」
秋の話はさておき、琥珀が声を明るくしてまた何かを見つける。その指さす先には、『海のフォトスポット』という看板が立てかけられている教室だった。
ちなみに余談ではあるが、庵的に、フォトスポットを展示として選んでいるクラスは、展示にやる気がないという偏見がある。勿論、偏見でしかないが。
「フォトスポットか。ツーショット撮る?」
「はいっ。せっかくなんで撮りましょ」
文化祭で宝石級に可愛い女の子と、一生思い出に残るツーショット。そんな誰しもが羨む夢のお話を、庵は当たり前のように叶えることができる。それが彼氏の特権であり、数々の地獄を乗り越えたご褒美でもあるのだ。
***
「――わぁー。教室全体が水色っぽくなってますね。ほんと、海みたいです」
中に入ると、そこは『海のフォトスポット』という名に恥じない光景が広がっていた。
教室全体は淡い水色でライトアップされていて、床には手作りの貝や、サンゴ礁、魚が飾られている。それに加えて、黒板にはプロジェクターで本物の海の映像が流されていた。
琥珀は子供のように目を輝かせて、辺りを見回している。琥珀が楽しそうだと庵もテンションが上がるので、実に喜ばしいことだ。
「あそこで写真撮るんじゃないか?」
「ふむふむ。多分そうですね」
教室後ろには、水色のカーペットが敷かれたエリアがある。そこには沢山の寒色系の風船と海に関連した小物が置かれていた。
庵は早速上履きを脱いで、一足先に撮影エリアに向かおうとする。
「あ、待ってください庵くん。全体的に撮りたいので、誰かにツーショ頼みましょ」
琥珀の提案に、庵は恥ずかしさから少し微妙な反応をしてしまった。確かにこの綺麗な景色を広く映すには他撮りがぴったりではあるが。
「えぇー。いいけど、誰かに撮ってもらうのちょっと恥ずいな」
「大丈夫ですっ。私、ちょうど良い人見つけましたから」
庵が正直に言うと、琥珀は後ろを振り返って教室の前の方に居る人だかりに小走りしていった。それからしばらくして、めんどくさそうな顔をした一人の女を連れてくる。
「......なんで私があんたたちを撮んなきゃなんないのよ」
「ちょうどいいタイミングで朝比奈さんを見つけてしまったからですっ」
琥珀が連れてきたのは朝比奈だった。予想外の人選に、庵は少し反応に困ってしまう。一応知り合いでもあり友達でもあるが、これはこれで少しこっぱずかしい。
「なんかごめんな。俺と琥珀の写真、頼んでもいいか?」
「別いいけど。その代わり、友達待たせてるからさっさとして」
朝比奈は女友達と回っているようで、あまり庵たちに構っている時間はないようだ。
ちなみに、今日の朝比奈はいつもの見慣れたツインテールではなくハーフアップ。それも丁寧にアイロンがかけられていて、だいぶ気合が入っている。庵は初めて朝比奈のツインテール以外の髪形を見て、なんだか別人のような印象を受けた。
「じゃあ朝比奈さん、よろしくお願いします」
琥珀が自分のスマホをカメラモードにして朝比奈に手渡す。それから琥珀は写真用に手に持つ小物探しを始めた。
「庵くん。私ヒトデ持つので、庵くんはサンゴ礁持ってください」
「これか。お、結構ごつごつしてるな」
琥珀から指示を受け、庵も写真用の小物を手に取った。赤く塗られた段ボールサンゴ礁は、意外にも作りが細かく仕事が丁寧だ。
それから二人は上履きを脱いで、靴下でカーペットの上を歩く。柔らかな感触を確かめながら、カーペットの真ん中に立った。
「ここらへんでいいか?」
「庵くんもうちょっと寄ってください」
「おっ――あ、はい」
場所を微調整していたら、琥珀が肩が触れ合うくらいの距離まで近づいてきた。すごくいい匂いがして、心臓がどきどきする。おかげで表情が硬くなってしまいそうだ。
「じゃー撮るわよ」
朝比奈が合図を出す。庵はサンゴ礁を両手に無理やり笑みを浮かべる。隣の琥珀はヒトデを二つ両手に持ち、頬辺りに掲げ、満面の笑みを浮かべていた。
「――」
それから数秒の沈黙。シャッター音が聞こえたので撮影されたのだろう。
今どきの女子高生は「はいチーズ」と言わないのだろうか。それとも朝比奈が故意に言ってないだけなのだろうか。どちらともありえそうだが。
「撮れました?」
朝比奈がスマホを下したので、琥珀が我先にと朝比奈の元へ駆け寄った。それから朝比奈の隣に立ち、スマホ画面を覗き込む。
「多分ね。――どう? これでいい?」
「おーっ。すごく良いですっ。素敵です」
写真を見て、小さく拍手をする琥珀。どうやら撮影はうまくいったようだ。庵もどういう感じになったのか気になるのであとで見せてもらおうと思う。
「――なら良かった。んじゃね」
朝比奈は琥珀にスマホを返し、雑に手を振って友達の元へ戻ろうとする。用が済んだので当然だろう。しかし、そんな朝比奈を琥珀は呼び止めた。
「あ、待ってください朝比奈さん。私、朝比奈さんとも写真撮りたいです」
琥珀の言葉に、朝比奈の足が止まった。庵もさすがにその発言には衝撃を受ける。何せ、琥珀と朝比奈という一昔前では考えられなかった組み合わせなのだ。今はだいぶ仲が改善されたが、まだ壁があることには変わりない。それが果たしてどうなるのか。
朝比奈はゆっくりと後ろを振り返り、先ほどと変わらぬ表情を――否、少し微笑を含んだ表情を琥珀に向けた。
「......まぁ、別いいわよ」
少し間があったけれど、朝比奈は二つ返事で快諾した。それに庵は胸を撫でおろし、琥珀は嬉しそうに笑う。
「さっきあんたたちが撮った場所で撮るのは私恥ずかしいから、もうここでいいでしょ?」
「はいっ。あ、どっちのスマホで撮りますか?」
「星宮ので撮ってよ」
というわけで、その場で即写真を撮ることになった二人。琥珀がポケットから再びスマホを取り出し、カメラアプリを開いて内カメにする。そして至近距離に肩を並べる二人。昔の二人の関係性を知っている庵からすれば、本当ありえない光景だ。
「じゃあ撮ります」
琥珀も朝比奈も目元でピース。シャッター音と共に、琥珀と朝比奈という異色の組み合わせのツーショットが保存された。
「ありがとうございます朝比奈さん」
「どういたしまして。撮ったの、あとで私に送っといてよ」
琥珀が感謝を伝えると、朝比奈は写真を自分にも送るように要求する。ただ困ったことに、琥珀は朝比奈の連絡先を持っていなかった。
「送りたいんですけど、私朝比奈さんの連絡先持ってないですよ」
「あー......じゃあクラスラインで私のライン追加して送っといて。インスタでもいいけど」
「えっ。あっ、はいっ。分かりました!」
朝比奈とのツーショットに加えて、朝比奈の連絡先まで手に入れられた琥珀。それがだいぶ嬉しかったようで、琥珀は朝比奈との会話を終えてから小走りで庵の元まで戻ってきた。
「庵くん、朝比奈さんと写真撮れました! ラインも交換できそうですっ」
「良かったな。でも、琥珀ってそんな朝比奈と仲良くしたいのか?」
喜んでいる琥珀に水を差すようなことを言ってしまうが、こればっかりはどうしても気になるので聞いてしまった。以前、琥珀は朝比奈に”友達になる”という復讐をしたいと言っていたが、それが関係しているのだろうか。
「んーそうですね」
庵の問いかけに琥珀は視線を落として少し考えこみ、それからゆっくりと顔を上げた。
「私が朝比奈さんと仲良くしたいのは、やっぱり一緒の苦しみを味わったからですかね」
「あー......」
「だから私はすごく朝比奈さんに親近感が湧いているんですよ」
琥珀と朝比奈は、どちらも北条の被害者。だからこそ二人だけに通ずる何かがあり、それを琥珀は手繰り寄せようとしているのだろう。
庵はその理由に納得し、同時に琥珀の頑張りを応援しようと思う。琥珀と朝比奈は、秋とみのりのように似ても似つかない全く違う属性同士だけど、距離が縮まれば意外な化学反応が起きるかもしれない。
「とりあえずの目標は、朝比奈さんと一緒に遊びに行くことですね」
「いいな。俺、応援してるよ」
「はいっ。じゃあ次の展示に行きましょ、庵くん!」
そうして、琥珀に腕を引っ張られるがまま庵たちは青春を謳歌していくのであった。
◇宝石級美少女tips◇
料理が苦手
次章――卒業を控えて。




