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宝石級美少女の命を救ったら付き合うことになりました  作者: マムル
第三章・後編

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◆第112話◆ 『宝石級美少女のモーニングルーティン』


 星宮のモーニングルーティンを紹介しよう。


「......ん」


 朝六時。スマホのアラームが軽快な音を立てて鳴り響く。そうするとゆっくり意識が現実に浮上してきて、くりりとした瞼が開いた。目をこすりながら、とりあえずずっとうるさいアラームを止める。


「......ふぁ」


 それからベッドを出て、まず一番に暖房を付けた。冬なので朝はとても寒い。リモコンを机に戻してから、身を震わせて洗面所まで向かう。


「......」


 冷水を顔に浴びせて、洗顔をした。あまりの冷たさに泣きたくなるが、毎日これをしているのでいい加減慣れたかも知れない。それに、洗顔をすれば先程の眠気は嘘みたいに吹き飛んでしまう。


「......くしでいいですね」


 次に鏡を確認。見慣れた自分の姿。寝癖の度合いを確認して、気になったのを簡単にくしで整えてしまう。寝癖が酷いときは一度髪を濡らしてドライヤーをかけるのだが、基本的にそこまで酷い寝癖が付くことはあまりない。星宮は寝相が良いのだ。


「よし」


 それが終わったら朝ごはん。星宮は朝はご飯よりもパン派。安い食パンをレンジでチンして、いちごジャムを塗って食べる。寒いのでココアも飲み、体を温めておく。


「......えっと」


 朝食を食べ終えたら、だいたい七時になっている。学校は八時半までに着かないと遅刻になり、星宮のマンションから学校まで歩いて大体二十分かかる。なので、余裕を持つためにも七時五十分くらいにはいつもここを出発していた。


「ん」


 机からとある箱を取り出した。何をするかと言うと、メイクだ。とはいっても、自然なもの――ナチュラルメイク。やってもやらなくても可愛さは宝石級のままだが、この小さな一手間が星宮の魅力を更に引き立てる。


 メイクを終えたら、パジャマを脱いで制服に着替える。そしてカバンの中身を確認。カバンの中身は水筒と昨日予め作っておいた弁当と筆記用具。プリントなどが入ったファイルなどなどだ。忘れ物は無し。教材は学校のロッカーに仕舞ってある。


「......よし」


 そうしたら準備はほとんど終了だ。準備が終わる頃にはだいたい七時半になっている。今行くと早すぎるので、しばらくはスマホをいじったり、部屋の掃除をしたり、英単語帳に目を通したり時間を潰す。


「......」


 今日はスマホをいじることにした星宮。なんとなく写真フォルダを見てみる。中学生になったと同時に買い与えられたスマホだが、保存してある写真は百枚程とそこまで多くはない。それも、保存してあるのはほとんど中学生のときのものだ。高校生になってから撮ったものなんて、ほんの僅かで――、


「天馬くん」


 ふと、庵とのプリクラの写真が目に入った。形としても残してある写真だったが、スマホにも残してある。天馬庵は星宮の紛れもない彼氏だ。この写真を見るだけで元気が出てくる気がして、辛いけど今日も頑張ろうって思える。勿論、毎日庵の写真を拝んでいるわけではないが。


「――さて」


 そうして時間を潰したら、学校へと出発だ。制服の上にもこもこの上着を着て、玄関の扉を開ける。これが星宮のモーニングルーティンだ。外には綺麗な青空が広がっていて――、




「――おはよう星宮。一緒に学校行こうか」


「......」



 最近はここまでがモーニングルーティンになっていることを忘れていた。拒否権のない星宮はこの男と――北条と毎日登下校をする。


 二人の交際関係が始まって約一週間が経っていた。このことは既にクラスメイトには知れ渡っているし、庵の耳にも届いていることだろう。その事実がどれだけ星宮の心にヒビを入れていることか。


 マリンブルー色の瞳が光を失って、悲しそうに揺らめいていた。




第三章・後編スタートです。よろしくお願いします。来月中に完結させて最終章に入りたい所存。

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