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巨人になった私  作者: EVO
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東京決戦 11

結局、件の映像を私には見せてくれなかった


warrior(戦士)

fierce god(鬼神)


現場の戦う兵士としては寧ろ頼もしく、好意的にリスペクトされているらしい。

但し普段温厚な彼女(わたし)にこんな面があるなんて、と映像を見た人達の間で「絶対に怒らせてはいけない」と統一見解になったとか・・・


いや、そんな怒らないし暴れないからね?

私だって軍法会議なんて掛けられたくないし、後そういう映像は絶対()に出ないようにお願いした。

ほら、アメリカの記録映画とかそういうのに使われるのはちょっと嫌だ。

気の荒い人なんて思われたくないし、戦場(バトルフィールド)の私はまた別だよ。


余裕が無くなれば荒っぽくなるし言葉遣いも悪くなる、これは私に限らずライアンもリリィもそうだ。

まあアンドリューとランディ辺りはいつも落ち着いているけどね。

戦いに於いては闘志を剥き出しにするタイプか、いつもと変わらないタイプか、神経質(ナーバス)になるタイプかの3通りに別れる、私リリィライアンは闘志タイプ、アンドリューランディは無変化タイプ、ドクターは手術の時の感じだとナーバスタイプだね。


「ま、その辺は軍関係者なら全員理解しているからねえ、悪評にはならないよ」


「私にだってイメージがあるから本当に外に出さないでね!」


「まあまあ、ほらサナ、コーラだよぉ」


「む、っ!?」


誤魔化す様に口に差し込まれた飲み口、コーラの炭酸はまだ私の口には早かった、ちょっと滲みる。


「あ、悪い、まだダメだったか、水にしとくか?」


「飲゛む゛」


口つけたし、折角のコーラだからね。


「サナのイメージは既に記録映画でバレてると思うけど」


「え?」


「泥の巨人との戦闘で視界を失いながらも退かず、闘志を前面に押し出して戦ってるの公開されてるから・・・」


「・・・、いいの!イブもリリィも引くような顔を全米に晒すとかどんな罰ゲーム!?

ダメだからね!もし公開されるような事があったらSNSの知り合い全員に声を掛けて訴訟起こすからね!」


「それは止めて!! 上に言っておくから!」


「Hahaha!」


慌てるイブを横目にリリィはケラケラと笑って私の頭をぽんぽんと撫でていた。

私だってやりたくないけど、怒っている顔とか泣いている顔を晒されたくはない。

こういう記録って当然所有者は軍になるし、いち兵士の私がどうこう言えるものではないけど、嫌なものは嫌だからね。



***



「えい」


バーーン!と電柱が砕ける、泥の巨人は衝撃で一時的に行動不能になった。


「ナイスサナ!」


「Hahaha.Good job」


飛龍の件で私が怪我をしてから2日休養、3日目には任務に復帰していた。

と言っても打撲や頚椎捻挫が完治した訳ではなく、リリィとライアンがフロントマン、私がフルバックで援護という体制での再開だ。


練馬区【穴】周辺の敵性生物の残りの数はそこまで多くもないので、ペースを控えめにしていけばそこまで問題も出ないだろうとの判断だった。

泥の巨人クラスの相手は厳しいけど、他の第一級敵性生物(カテゴリー1)程度なら今の私でも問題なく対処出来る。


リリィとライアンの裏取りをしそうな敵性生物に対して、少し後方から電柱や鉄骨をぶん投げて牽制足止めが私に与えられた主な役割になる。


「悪くないねえ」


「寧ろ最初からこっちの方が良かったか?」


「ラッシュの時は全員フロントマンじゃないと捌き切れなかったんじゃない?」


今のフォーメーションだとかなり余裕がある、まあ敵の数が比較的少なめに推移しているのもあるけどね。

1人につき敵性生物数体を同時に受け持っていた時にこのフォーメーションだったら、フロントマンが数に押し潰されていたと思う。


「ま、このペースなら数日で終わるかね」


「流石に感慨深い思いがあるな」


「終わり、かあ」


約1ヶ月にも及ぶ東京空爆作戦も終わりは目の前まで来ていた。

偵察機の情報によると残す第一級敵性生物(カテゴリー1)は数十、第二級敵性生物(カテゴリー2)は数百程度となっている。


私が問題無く動けて作戦に従事出来ていれば一日で片付く敵数だけど、今日のようなペースでも数日遅れで終わるくらいのものだ。

数万、数十万とされた敵性生物の黒い波を思えば、漸くここまで来たかと感慨深くもある。


「っと、えい!」


高圧電線の鉄塔の一部をバキバキと引きちぎり、槍投げの要領で投げつけると、狼型の敵性生物の後ろ足に当たる。


若干首周りの引き攣りは感じるものの、2日の休養を挟んでいるし、巨人としての回復力の高さもあるので全力で動かない限りは大丈夫だ。


「ふ!」

「おら!」


リリィもライアンも余裕を持って対処出来ていた。









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