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巨人になった私  作者: EVO
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静養 2

「サナ」


「何?」


「サーナー」


「だから、何、って」


脚のマッサージを30分ほど続けた後、多少落ち着いたリリィはちょいちょいと手招きをした。

私が近寄ると彼女は手を掴んで少し強引に私を膝の上に乗せた。

リリィはゴロゴロと猫が体を寄せて戯れる様子で私に撫で絡む。


「付き合いたてのカップルが初めての休日を迎えたらやることはひとつ」


「な、何?」


「それは、こうして確かめることさ」


リリィは言いながら私の手を取り指を搦めた、所謂恋人繋ぎと呼ばれる手繋ぎだった。


「どうだい?」


「どうって、少し、恥ずかしい、かな?」


慣れてない事もあるし、意識してそう言う触れ合いはしてきていない。

勿論彼氏が居たりとかも無いので初めてのことになる。


「アタシは大好きだよ、触れ合うのも、こうして身体を寄せ合うのもね」


「うん」


「何でも試して経験しないと分からないだろう、相性だってあるし、個人の好みもある」


「うん、まあ」


「だからこうして、いっぱい時間を掛けて、沢山試して、そうして出来上がるのがパートナー、家族だとアタシは思っている」


リリィはそう言うと私の頬っぺにキスをした、これはどう?と瞳は言っていた。

私はリリィの頬に手を寄せて、反対の頬にそっと口付けをした、う、改めてすると恥ずかしい、普段挨拶代わりに何回もやっている行為なのにね。


「へへへ、いいね」


リリィはニカーっと笑って、それはもう上機嫌に私のお腹に手を回してハグを強めた。

次はうなじに触れ、首筋や耳たぶ、肩にも触れてきた。


「サーナー、愛してるぜ」


「う、わ、私も、好き、だよ」


「あいあい、へへへ」


付き合うってこういう事なのかな、私は初めての経験だからこれが正解なのか分からない。


「・・・、ゲンキソウデナニヨリデス」


「え、うわっ、小夜さん!?」


「お、どうしたよ、いきなり」


「呼び鈴は鳴らしまくったんですけどね、お楽しみだとまあ気付かないですね」


全然気付かなかった。

人に見られるなんて恥ずかし過ぎるっ!


「コホン、火傷用の点眼薬と消化器に良さそうなアロエドリンクを持って来ました」


「ありがとう小夜さん」

「サンクス小夜」


「い、いえ、その、オシアワセニ」


小夜さんはとても気まずそうにして足早に立ち去っていった、点眼薬とかの都合上、後でとはいかなくて呼び鈴→出ない→静養だから居るはず、の完全な事故だった。

分かる、分かるよ、ママとパパが仲良ししてる時に「あっ」っていうの何回か経験あるからね、顔見知りのイチャコラって何となく気まずいよね、ごめんなさい。


「ーー♪」


リリィは殆ど気にしていないのか、サイドテールにしていた私の髪を解いて別の髪型にしようと勝手にいじっていた。

うーん、伸びたなぁ・・・


「髪、切ろうかな」


「ダメ」


「なんで」


「アタシが好きだから、サナの髪質も色も長さも」


「手入れ大変なんだけど?」


リリィは緩い天然パーマのかかった黒髪で、肩より下、肩甲骨付近くらいの長さだ、これくらいが色々いじって遊べるし、そこまで手間の掛からない長さだよね。

私の髪は金髪ストレート、くせっ毛なしで長さは腰に近い、手入れもヘアメイクもかなり大変な長さだ。

任務の時はほぼポニテ、オフの時も楽だからポニテ、ハイスクールの時は下ろす事もあるけど大体ポニテだ・・・


そもそも私達は巨人なので、リリィでも髪の長さは3mくらいあるし、私だと5mは有るんじゃないのかな。


「いつも手伝ってるだろ、アタシロングヘアがフェティッシュだから、このままな」


えっ。

確かにリリィは風呂上がり、自分の髪をそっちのけで乾かすのを手伝ってくれるし、なんなら洗う時も丁寧にトリートメント掛けたり、ソファに一緒に座ってダラダラしてる時も枝毛のケアをしてくれたりする、意外と甲斐甲斐しいなあって思ってたけど、好きでやってたのかぁ。


「リリィも伸ばしたらいいじゃん」


「違うんだよ、自分の髪だと良くないんだ、だからサナに頼む」


「ええ? まあ、これからも手伝ってくれるなら良いけどね」


「アタシが好きだから伸ばせ!頑張れ!だったら相当鬼畜だろ、勿論手伝うに決まってるさ、髪が長いのは面倒だからねえ」


面倒さが分かっててもこのままと言うのも中々なんだけど、リリィが好きだと言うのなら私も吝かでは無かった。

サラサラと髪に指を通して撫でられるのは好きだからね。


私は近くに立て掛けてあったブラシを掴み、リリィに手渡した。


「ん! 折角纏めてたのに、責任持ってちゃんとしてよね」


「あいあい、お姫様」


リリィは先程自身が言った通り、嫌な顔どころか楽しそうに私の髪にブラッシングを始めた。

割りと、・・・ライアン程じゃないけど、大雑把なリリィでもその手つきは丁寧で、髪が絡んで引っかからないように優しくブラシを通した。


「サナの髪は本当に綺麗だねえ」


「そう? リリィの髪もフワフワで綺麗だよ」


スタイル良いし、緩いパーマが掛かった黒髪は艶があってとてもセクシーだ。

ドレス着てメイクをバッチリ決めたら、多分ドラマや映画の女優と遜色ないと思う。


「ありがとサナ」


リリィって普段男っぽいけど、偶にこういう感じにポッと照れるのめちゃくちゃ可愛いよね。

ふふ。

言うと「げえ」って顔で嫌がるから言わないけどね。







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