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巨人になった私  作者: EVO
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HALO

「おぉー!!」


指定高度に到達して見えた光景は壮観の一言だ、地球の輪郭を見られるなんて凄い・・・

宇宙と大気、そして地球と太陽を同時に視界に捉えるなんて体験は本当にないよ。


『流石にすげえな!』

『アタシもここまで上がった事は無いよ』


「綺麗だね」


『ああ』『そうだねえ』


言葉少なに私達は美しい地球を堪能した。






『サナ、寝るなよ?』


「えっ、ね、寝てないよ!」


ちょっとポーっとはしていたけど、まだ寝てなかったよ!


『Hahaha!高度6万フィートで居眠りなんて、サナは大物だぜ?』


「ね、寝てないってば!」


『くく、人類最高高度のHALO降下だってのに呑気だねぇ』


「寝てないって! って最高高度? なんかもっと高い所から降りてる人とか居そうなんだけど?」


『いや、軍のHALO降下は10000mまでだよ、それ以上は無理だ、アタシらはもう少し上から、流石に6万フィートからは落ちないけど』


「宇宙飛行士とかは?」


『ありゃあ帰還用モジュールに乗って落ちてるだけだ、生身を空に投げ出すHALO降下とは訳が違う。

いいかサナ、通常のHALO、10000mでの降下でさえ寒さや気圧の変化で頑強なダイバーでも体調不良を引き起こすんだよ。

だから、HALOを行う隊員はパラシュート降下訓練を十分に行われている隊員が望ましいとされている』


「・・・、私、これが初めてのダイブなんだけど」


『Hahaha! Hahahaha!!頑丈に産んでくれた親に感謝するんだよ!』


「ええ・・・、そういう問題?」


今リリィ2回笑ったよね! Hahahaじゃないよ!?


『ジョークだよ、まあそれだけアタシらの適応力ってのは優れている証だね、じゃなきゃあこんな軽装で吊ってくなんて出来る訳がない』


「そ、そう・・・」


アンドリューが心底同情していた理由が分かったよ、これがどれだけ非常識な作戦なのか。


「そもそもこんなに高く飛ばなくて良かったんじゃ・・・」


『サナ、極超音速の飛行ってのはね燃料を馬鹿食いする、だから空気抵抗が少ない高高度飛行は常識だ、じゃないと燃料が足らなくて目的地に到達出来ないからね』


「へえー、そうなんだ」


『他にも理由はあるぜ、隣国がうるせえんだよな』


「隣国? 隣国って・・・」


『あそこは米日どちらが何をやっても穏当にはいかないさ、米軍仕様の機体もあまり見せたくない』


『低空だと燃料がもたねえ、となると高高度降下低高度開傘(H A L O)しかねえ訳だ、まあ敵国への降下じゃねえから低高度開傘は必要ねえけど、・・・これ俺らが日本に行くだけでも面倒くさくねえか?』


『トラブルしかないよ、あちらさんこそ好き勝手やってるってのに外への文句だけはご立派と来たもんだ』


『カー、特に大陸の方は巨人全員が軍の()()()なんだろ? キナくせぇ・・・』


『だから極東の同盟国として日本は必要不可欠なんだ、東京をモンスターに落とされる訳にはいかない、どちらにせよアタシらがやる事は変わらないよ』


Yes(イエス),ma'am(マム)


「???」


リリィとライアンの会話はどうやら隣国、政治にも関係しているようで、その辺りの情報が不足している私にはあまり良く分からなかった。

取り敢えずは東京解放の為の任務を成功させるのが私達の使命だ、目の前の出来る事に集中してベストを尽くそう、うん!



***



極超音速の空の旅は体感でも長く感じる事は無かった。

実際、北米の東側にあるワシントンDCから日本まで片道数時間というのは破格の速度だ。


『降下準備良し』


『良しだ』「良し!」


リリィの掛け声にライアン、そして私も応える、まあ準備良しと言っても切り離されて落ちるだけ、あくまでも心の準備良し、ってだけだ。


『HALO開始、守護者(ガーディアン)幸運を祈る』


機体のパイロットからも祝福を受け、私達は降下を開始した。

一方向へ引っ張られていた感覚は浮遊感と共に喪失、目下10000mオーバーのスカイダイビングだ。


『イーーー、ヤッハーーー!!』


「ちょっ、ライアン!?」


ライアンが姿勢を変えて頭を下に1人加速していく


『60秒はサナも遊んで構わないよ、HUDコンタクトにもナビゲーション出てるだろ?

作戦領域から外れない限りは自由な空の旅だ』


え、と一瞬困惑したものの、確かに降下速度や目的地、作戦領域など、視界には必要な情報が全て揃っている。

自由落下中だから領域を逸脱する程流されないし、姿勢を変えて落下を加速するか、大地に平行にバランスを取って風を受けるくらいしか出来ない。


「じゃあ、ちょっとだけ・・・」


『あいよ、何も気にする必要はないよ、もう落ちてるんだから到着時刻も変わって数秒さ』


私は姿勢を変えると先に加速したライアンを追い掛け始めた。

ちょっとだけ、ね、スカイダイビングなんてそうそう出来ないもんね、えへへ。







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