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巨人になった私  作者: EVO
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クリスマスバースデー1

「hey!サナ、パンケーキは上手く出来そうかい?」


「うん」


「Hahaha!今日はクリスマスパーティーだからね、いっぱい焼いてくれよ」


「OK」


そう、今日はクリスマスで、私達の居るワシントン前線基地ではパーティーの準備に大わらわだ。

リリィと私が一緒に住んでいる平屋建ての巨人用ホームには、大きなオーブンレンジとオール電化コンロが最近になって設置されたのでパーティーで食べるパンケーキの用意を進めていた。


クリスマスと言えばホールケーキが良かったんだけど、いくら大きなオーブンレンジがあっても、中にまで熱を通そうとすると表面の方が焦げてしまうので替わりにパンケーキを焼くことになったのだ。

まあパンケーキもふっくら焼き上げて生クリームをたっぷりにすればオーケーオーケー!

流石に生果物は用意出来ないけど、特製のベリージャムが数種類トレーラーで運ばれているので彩りも綺麗に仕上がりそうだ。


そして、私達のホームと基地を挟んで反対側にあるランディ達それぞれのホームには、大量の牛肉豚肉鶏肉が運び込まれてメインディッシュを作っているみたいだ。

この日ばかりは任務もなく、一応スクランブル対応は布いているみたいだけど、ほぼ基地全体がオフと決められている。



***


「————————♪」


滑走路上に特設されたステージには、何やらライブの準備がされていた。

ドラムやギター、ベース、キーボードが置かれ、大型スピーカーからはクリスマス定番のBGMが穏やかに流されて雰囲気を盛り上げている。


そんなステージから200m離れた所に私達は専用のレジャーシートをひき、クッションの上に座ってパーティーを始めていた。


「Ha-hahaha!」


黄金色の飲み物が入ったグラスをガチーンと合わせたランディとライアン、アンドリューは陽気に笑ってゴキュゴキュと中身を飲み干した。


「「「プハ、ジンジャーエールだ、コレー!!?」」」


「ビールは!?」「oh」「sit」


「馬鹿言ってんじゃないよ、聞けよサナ、コイツら以前に酔っ払って基地の一部を壊したんだぜ? だからアルコール禁止になってんだ」


「ふふふ、そうなんだ」


ガックリと肩を落とす3人を横目に私はプレートに盛られたパンケーキを1口切って口に運んだ。

プレートには数枚、併せて3m程の高さのパンケーキにたっぷりの生クリームとジャム、ハンバーグステーキとターキーの丸焼き、パパの自家製ピザが所狭しと乗せられている。

ライアン達がレシピを聞いて、パパ監修の元で作ってくれたピザはひどく懐かしく、とても美味しかった。


隣を見ると安全確保の為の鉄骨構造の囲いの中にママとパパ、巨人部隊のみんなの家族が集まって一緒にパーティーをしている。

パパはビールを片手にグリルで肉を焼き、ママは横から小皿に取り分けたターキーを食べていた。

ふと私の視線に気付いた2人は飲み物をそっと掲げて「メリークリスマス」と言ったので、私もコーラのグラスを持って返した。



「Hey,guys.」


と、ステージ上から呼び掛けされると周囲に居た米軍人達がワッと沸いた、何故ならそこには10数人の有名シンガーやタレントが立っていたのだ。


「わ、リリィ!凄い、エアースミスにビョンジョビ、レディーギャギャにクイーン・ロックまで居る!」


「揺らすな揺らすな、見てるよ」


「あれ、驚かないの?」


「驚いてるよ、ジョセフからはサプライズゲストが来るって聞いていたからね、・・・流石にこんなビッグネームばかりとは思ってなかったけどさ」


「流石に事前に錚々たるメンバー、ゲストの名前は明かせなかったんだよ、悪かったな」


隣りに居るリリィの肩を揺らして話していると、近くに骨付きリブを齧りながらジョセフさんがやって来て言った。


「いや、サプライズにしても良くもまあ呼べたねぇ、クリスマスだよ?」


「あ、確かに」


クリスマスと言えば家族で過ごすのが一般的だ、当日に仕事をわざわざ入れる人は居ない。

なのにあれだけの有名人が勢揃いなんて・・・


「ああ、普通なら先ず呼べなかったな、但し、このワシントン基地という事であちらさんから申し出があったんだ。

子供達が巨人に会いたいって言ってるから、家族を含めたクリスマスパーティーなら参加しても良い、ってな、何ならギャラは要らない、とも言われたよ」


「なるほどね」


「え、じゃあクリスマスパーティーしに来た()()()()歌っていくの?」


「まあ、そんな建て前だ、後でゲストが来るから頼む」


「頼む、ってジョセフ、アンタね」


「今後の巨人の去就にも関わる活動の一環なんだ、今は軍の広報で対応しているけど、この先ずっとメディアや国民から避けるのも難しいだろう?」


「巨人の社会復帰、その一歩って事かい」


「ああ、見世物のような扱いも多々有るだろうけどな、それとホワイトハウスからクリスマスプレゼントのタブレットが届いている、SNSも解禁だから好きに扱って良い、常識的な範囲でな」


「え、タブレット!?」


やった!巨人になって何が不便て、衣食住は当然そうなんだけど、娯楽が皆無な事なんだよね。

ホームにはシアターセットがあるから大画面でテレビとサブスクは楽しめるけど、スマホは無かったからね。

わー、ホワイトハウスにはお礼しないと、アカウント作って、あ、大統領もSNSやってるからそこに書けばいいかな?


「くく、サナには何よりなクリスマスプレゼントのようだよ?」


「メンタルヘルスも軍の仕事だからな、娯楽も欠かせないだろ」


「違いない」


「Boo!heyジョセフ、メンタルヘルスを言うなら酒をくれよ!」


「それはNoだ、酔っ払いの話は聞かん」


「クソッタレ!!」


神はいない!と叫ぶ3人に、ジョセフさんは呆れ、私とリリィはおかしくて笑ってしまった。






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