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巨人になった私  作者: EVO
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アメリカで私は

アメリカ西海岸、サンディエゴ海軍基地に到着した私は先ず正式にアメリカ合衆国、ホワイトハウスとの話し合いに赴く事になった。

と言っても大統領や大臣と直接会う訳じゃなくて、リリィの担当者である代理人ジョセフさんとの話し合いになる。

ママとパパ同席の元、ジョセフさん、そしてリリィも加わっての話し合いだ。


「まあ、取り敢えず米軍に入ってみたら良いんじゃないかい?」


リリィがドッカとソファーに身を預けて言った、事前に私とママ達もそれなりに米軍内での巨人の扱いについて聞いていたので、以前の自衛隊の時より忌避感は少ない。


自衛隊の時の何が問題だったのかって、私は自分でやると言った事がリリィやジョセフさんからすれば「言わせた」状況に防衛省が追い込んだように思われたそうだ。


そもそもの話、天王洲駐屯地から全く外へ出ないのも軟禁と言って差し支えない状況で。

生活の保証を盾に、見えない鎖で私の心身を縛り付けた虐待事例だとリリィは憤慨していた。


「ナアナアでモンスター駆除? ハッ!!」


有り得ねぇと鼻で笑い、契約社会のアメリカではそんなやり方はしないから安心しな、そう言ってワシワシと私の頭を撫でた。



***



結論から言うと私は米軍に入る事になった、所属はリリィと同じ巨人特殊部隊。

ママ達の反対は当然あったけど、リリィとジョセフさんの説得を受けて渋々了承してくれた、勿論私は自分の意思で入隊を決めている。

説得の材料として大きなものは先ず私が「新兵」である事だ。


「新兵をいきなり最前線に放り込むバカが何処に居るんだい」

「実地と学科の基礎訓練を受けて頂いてから、適性を考慮して配置しますよ、少なくとも我が国は」


日本は違うのか? と言外に言われても私は自衛隊の正規訓練なんて受けていない。

精々一般的な道路交通法くらいで、それだって巨人が都内を歩いたらどうなるか、電線を断線してしまう、人や車を踏み潰してしまう、そんな交通状況を勘案して私の移動はトレーラーのみという話に終始した程度だった。

つまり十分な教育サポートを受けて、それからの話だということだ。


次に報酬、月給は15000ドルから始まり、経験や能力を考慮してここから上がるけど、食費に関しては米軍による完全サポートが約束されている。


月給15000ドル、日本円にして160万円以上の額が報酬として破格なのは私でも分かる、それでもアメリカ合衆国では巨人の生活費として適正な額と定めたそうだ。

服にしても特注になるから1着1000から2000ドル位にはなるそうで、その辺りを基準にするとこの額はそれほど高額でもないとリリィは言い切った。


「野郎共は4人居るから、まだ量産効果で安いんだよ?

アタシはアメリカじゃあ唯一の女巨人だから服が高くてね、でもサナが来たから少しは量産効果も期待出来るだろ」


「私服・・・」


「そうだよ、モスグリーンの自衛隊服なんか毎日着るこたぁない、スカートでも何でも作って貰える、自分が稼いだ報酬でね」


モスグリーンの長袖長ズボンの服だけを着ていた私にとって、オシャレなんて考える事は全く無かった事だ。

リリィは勿論私服を持っていて、ロングスカートもミニスカも有るし、下着もちゃんと(?)可愛いレースや刺繍の入ったものを着けているのでこれは本当のことだ、私は綿パンとスポブラの様なタンクトップだけだし、これには少し、ううん、結構惹かれるものがある。


「こんなに好待遇なんて・・・」


ぽつりとママが呟いたのも無理はない、私もそう思う。


「Hahaha、簡単な話だよ、アタシら巨人は圧倒的少数派(マイノリティ)で、多数派(マジョリティ)を生かす民主主義の理念からすると切り捨てられる側だけどね、切り捨てるにはデカ過ぎたのさ。

浮浪者になったら最後、あっという間に飢える、そこらで野垂れ死にしてみなよ、デカすぎて誰も処理の出来ない死体、・・・目につくだろう?」


「だからこそ【穴】のモンスター騒動に紛らわせて、巨人特措法の大統領令を通したんですけどね、モンスターは混乱も齎しましたが巨人にとってはある種のプロパガンダとして価値のある存在を定着することが出来ました」


「立場だなんだってめんどくさい話だよ、いいかサナ、軍属たってアタシらには権利と自由が有るんだ、合わなかったら辞めたら良いのさ!」


イヤなら辞めて良い、なんとかなる!と笑うリリィが私にとってはとても頼りになると思えた。







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