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巨人になった私  作者: EVO
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新たな脅威

ブオオオオオッ!とヘリから放たれた弾丸は蟻が蠢く【穴】方面へと消えて行く。

蟻は、あっという間に掃討されて行った。


「まーさか国内で発砲出来るなんてな」

「俺らは撃てねえけどな」

「サナちゃん見えてんの? どう?」


「うんと、バーって撃って蟻退治してる」


「ははは、そりゃそうだ、・・・暇だよなぁ」

「いやいや俺ら暇じゃなかったらやべーからな」

「流石にあの大きさの蟻に接近されたら、なあ」

「しかも市街地近いから小銃持ってても俺らは撃てねえし」


足下では隊員が話をしていた、聞きかじりだけど世界でも自衛隊の隊員はとても優秀で、命中の精度は世界に誇れるとか。


1番最初は私が踏み潰していた蟻も、特措法?が成立して自衛隊が撃てるようになってからはこんな感じに雑談して遠くから眺めている、割りと気楽な感じに落ち着いていた。


「おかーさーん!きょじーん!」

「かっけー!!」


近くが市街地なので家の窓や道路には人が出て私を指差したりするものの、イヤな思いをすることはほぼ無かった。


【穴】から蟻が現れ続けている内は公園の整備計画は

凍結となっていて、その間の私はこうして封鎖に立ち会う事になっていた。

万が一、そう万が一市街地に蟻が向かいそうなら、それを止める事を命令されている。


倒してはまた現れる巨大蟻、それを遠くから眺める、そんな数日を過ごしていた数日。

それはまた蟻と同様に【穴】から突如現れた、蛇だ、大きな蛇、1匹ではなく大量に、球状に絡み合った蛇達が・・・


「蛇が・・・」


「は?」

「え、なになに、今度は蛇? デケーの?」

「どうなってんだよ、あの穴・・・」


蛇は1匹の長さが10mから20mくらい、それが球状に絡み合っている。


『【穴】から蟻ではなく蛇が出現、射撃許可求む』


『目標確認、射撃を許可する、引き続き流れ弾に留意せよ』


『了解、射撃を開始する』


蛇が現れて1度射撃を止めたヘリは、数分後再び射撃を再開した。

ブオオオオオ!!と弾丸が蛇へと殺到する


チュチュチュイン!


『何!? 射撃中止!射撃中止!』


蛇に当たった弾丸は、蟻の時のように身体を引き裂く事はなく、硬質な音を立ててあちらこちらへ弾き返した。


『跳弾多数!機関砲の使用を禁止する!』


『馬鹿な』


「え、何何、射撃止まった?」

「サナちゃん見えてる? どうなってんの?」


「バーって撃ったんだけど、弾が弾かれてあちこちに飛び散って・・・」


「は、え、は?」

「跳弾!? 蛇なのに20mm機関砲が通んねえの?」


動揺の声が挙がるけどそれどころでは無い、ぬるりと蛇球は市街地へと動き出した。

最初はゆっくり、しかし市街地に近付くにつれて速度が上がる、そしてこちらへ向かって急加速した。


「おいおいおい!」

「なんだよそれ!」

「デカすぎんだろ!」


私は前へと走った。


ズン!!!!


200m程前に出た所で蛇の球とぶつかる

(重い!)

戦車を持ち上げた以上の質量を感じた、そのまま勢いと重さに負けて押し込まれた。


「うっ」


ズザザザザー!


このままじゃ後ろに居る隊員がっ、市街地も目の前だ。

何とか止めようと後ろ足でアスファルトを踏み抜くも、ゴリゴリと足首で地面を剥がす痛みを感じた。

漸く止まったのは封鎖している隊員まで50mもない位置。


「サナちゃん!!」

「発砲許可を!」

「馬鹿野郎!20mm機関砲が効かねえのに小銃が効くか!?」

「住民の避難だ!」


と聞こえたけど、振り返っている余裕はなかった、蛇の塊から数匹シュルリと伸びて私の両腕に巻きついて咬まれる。


「痛ッ!」


咬まれた箇所は熱く、腕はギシギシと締め付けられた。


「おかーさーん!きょじん戦ってるー!」

「やべー!大迫力じゃん」ピロリン

「すげー写メ写メ!」パシャパシャ

「離れて下さい!避難を!!」


声があがる、人が、市街地が近過ぎる。

私は痛みに耐えながら前蹴りで蛇球を引き剥がすと、近くの電柱を引っこ抜いた。

この辺りは送電がまだ止まっていないのか、バリバリと火花が散るけど構っていられない。


「はああああ!!!」


振りかぶって、野球のバットのように思い切り叩き付ける、ズシリとした手応えも一瞬、電柱は粉々に砕け散った。

幸い、力は伝わったのか【穴】の方へ蛇球を数百m程吹き飛ばす事に成功した。

蛇球から蛇が数匹千切れたものの、シャーシャーと威嚇する様に無数の頭部が向けられた、殆ど堪えていない。


「無反動砲は!?」

「知ってるだろ、んなもん持って来てねえよ!」

「ヘリにロケット砲積んでるだろ」

「いくらなんでも爆発物なんか許可下りねえよ!東京のど真ん中だぞ!」

「かいじゅーだ!」

「速やかに避難して下さい!」


あちこちから色んな声が挙がっている。

自衛隊の武器は効かない、効きそうな武器は持ってきていない、蛇球は速い、避難は間に合わないだろう。


ふー、と息を吐いて私は電柱を両手で引き抜いた。



***


「ああああ!!!」


電柱を何度も何度も叩き付けた、砕けては新しく引き抜いて、何度も何度も。

蛇球自体はそこまで機敏ではなく大振りの電柱を躱すことは無かった、このまま押し込んで【穴】に落とす!

【穴】から出て来たので又来るとは思うけど、時間は稼げる筈だ。


行ける!

後、2度程電柱を叩き付ければ【穴】に落とせる、そんな距離まで追い込み、何度目になるか電柱を振りかぶった私は突然右足をとられて転んだ。


見れば足首に1匹、それはもう極太の蛇が巻きついていた、すかさず電柱で叩き潰そうとしたけど今度は腕にも別の蛇が巻きついて咬まれる。


「ッ!」


ゆったりと蛇球本体が近寄ってくる、私は力づくで腕の蛇を引き剥がして投げ捨てる。

足の蛇も顎をこれでもかと広げ、拘束が緩んだ瞬間に尻尾を掴み、ぐったりするまで地面に何度も叩きつけた。


間近まで迫っていた蛇球にはすかさず電柱を拾って叩き付け、どうにか【穴】へと落とす事に成功したのだった・・・





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