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巨人になった私  作者: EVO
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夏季合宿 2

「やだ、アマンダの水着大胆!」


「アリッサ脚長いね」


「WOW! サナ、胸、WOW!」


「ちょっと止めてよね」


湖畔公園の湖には入って良いので、当然水着を持参している私達は休日に遊ぶ事にしていた。


「森林、湖畔、女子高生、夏の合宿、なんかB級映画みたい」


「アハハ!サナがいるからジョイソンが出て来ても一撃よ、ね!サナ!」


「叩き潰す? それとも生け捕り?」


「勿論生け捕り一択!」


「任せて!」


ふふふ、なんか私が居るだけで警備してるみたいな効果が有るらしく、変な声掛けやナンパは全く無いらしい。

特に休日のこういう無防備に水着で遊んでいたりすると多いらしく、コーチや引率の家族も毎年気を揉んでいたそうだけど、それが無いので楽をさせてもらっていると感謝された。


まあその分、私に声が掛かって写真を撮ったり話し込んだりとあるけど、巨人の私をどうこうしようなんて人が居る筈もない。


「えい」


ドッパーーーン!!


「キャーー!」


人が少な目の湖畔で私は手を水面に叩き付けた、10m程の水柱が上がって波がみんなを押し流す。


「サナお願いがあるんだけど」


「何?」


ザザザザザー!


広い湖をそこそこのスピードで背泳ぎする、みんなは私の胸の上や鎖骨辺りに乗って楽しんでいた。


「やば」「速っ」「最高よサナ!」

「バナナボートじゃなくてサナボートね!」


「ふふ、落ちないように気を付けてね」


本来なら沖へ出るのは危険だけど、救命胴衣はレンタルであったし、この湖程度なら私の足は着くので落ちても危なげなく助けられる。


「なんか少し冷えてきたかも」

「あー、水冷たいよね」

「困った時のサナよ!」


「ちょっ!?」


確かに湖の水ってかなり冷たいよね、私は平気だけどみんなが冷えて来たなら戻った方がいいかも知れない。

と思っていたら、みんなは私の胸の間に挟まった。


「あー、やばい、私同性愛者に目覚めそう」

「たぷんたぷんの胸、温かいわ」

「私、男どもが胸とかジロジロ見てくるの理解出来なかったけど、これは分かるわ」

「同感、数mのバストなんてサナ、恐ろしい子!」


止めたいけど、背泳ぎの体勢だから何も出来ない。

体が冷えたって言うのも本当っぽいし、皆ビキニの胸の間で暖を取り始めた、私はされるがままに胸を好き勝手されてしまう。


「せ、セクハラ!セクハラだよ!」


「Hahaha.ごめーんね」

「緊急避難だよサナ!」

「やば、サナパイ最高・・・」


私は急いで岸まで泳ぎ切りみんなを降ろした、幸い体調を崩す様子はなかったので一安心だ。


「ありがとサナ」

「サナは寒くないの?」

「私達以上に水に浸かってたよね」


「大丈夫、暑さ寒さには強いから、これくらいならね」


そんなこんなで3か月程ある夏季休暇の最初の1ヶ月は、チアリーディングクラブの活動であっという間に過ぎていった。


みんなとは寝食を共にしたので、いっぱい話してアリッサ以外のクラブメンバーとも仲良くなった。

そのお陰かチアの州大会で私達クラブは過去最高の2位表彰、私も個人で巨人参加タンブリング優秀賞を貰って手首にリボンを結んで表彰してもらった。

みんなと会場前で撮った写真は宝物のひとつになった。



***



「で、優勝した所は結局全米大会まで行ったみたい」


「そいつぁ凄い、て事は2位だったサナ達も凄いって事だね、胸を張りな」


「うん、へへ・・・」


ワシントンDCの【穴】も頻度が少なくなりつつあるものの定期的に敵性生物が出現している、巨人特殊部隊はその性質上【穴】から離れる事はあまり推奨されない。

それでもハイスクールやクラブの事を優先して構わないとみんな快く送り出してくれたので、みんなには感謝しか無かった。


基地に戻って合宿や大会の話をしながら、私はリリィに身を任せていた。

持って行ける荷物は限られていたので、夏の日差しに晒された肌は赤くなったのを見たリリィがケアを買って出てくれたのだ。


「ほら、左腕上げて」


「うん」


「あー、水着の跡が着いているじゃないか」


「ン、別に良いのに」


「ダメだよ、アタシが許さない」


「リリィだってあまり気にしないでしょ」


「アタシは良いんだよ、赤くもならないし、大して焼けない肌質だからね」


むう。

ベッドにタオルを引いて、その上でリリィは手の届かない所を中心にスキンケアの液体を塗ってくれている。

悔しい事に私は焼けないけど肌が赤くなるタイプで、リリィは割りと雑なケアなのに肌質を保っていたりするので不公平感がある。


「あ、そう言えば小夜さんから連絡来た?」


「ああ、来たよ、一応話は通しておいたよ」


「ありがとう」


合宿先に滞在している時小夜さんから連絡が有った、自衛隊を辞めてアメリカに移住したいから仲介して欲しい、との事で私はリリィに連絡を取って米軍に渡りを付けた。


米軍でも割りと手薄な【穴】の対策本部や、巨人の担当官としての経験を詰んでいる小夜さんはかなり有用な人材として人事部の方も乗り気らしい。

数日後こちらへ来る予定らしく、面接と健康診断を受けてもらって問題が無ければ基本的に経験者採用でいけると聞いていた。


「まあ小夜は問題無いさ、それよりアタシらにちょいと追加任務が出来た」


「追加任務? 泥の巨人が大量に現れたとか?」


スキンケアを終わらせたので私はキャミソールを着た、リリィはそのまま私を後ろからハグをして首筋にキスをした。


「いや捕虜が、違うな、亡命者になるのか?」


「ん?」


「日本の北海道でロシアと武力衝突、あったろう?」


「うん、あったね」


アレには驚いた、私達が帰国したと同時に日本とアメリカ合同の記者会見が開かれた。

サハリンを出港したロシア艦隊が北海道稚内市の港に接舷、侵略行為と認定した自衛隊と米海兵隊の合同部隊が自衛権の行使で当該艦隊を殲滅した、というニュースだった。


ロシアは即座に日本とアメリカに対して非難声明を出した。

しかし海上保安庁の巡視船から延々と領海侵入の警告を受けて尚無視、戦車揚陸艦が稚内港に接舷した確固たる証拠映像が公開されて、全世界がどちらの声明を信用するかなんて論ずる必要は無かった。


米軍の分析によると、ロシアは海軍全体の約31%の戦力を喪ったとされている。

現在西側へ侵攻を行っているロシアの地上部隊は、その75%が投入されているらしい。

戦車揚陸艦に積まれていた戦車は余剰戦力であった25%の戦車や自走砲で、日本侵攻に投入された戦車揚陸艦10隻の内9隻は撃沈、1隻は拿捕と、軍の立て直しには20年は掛かる程の打撃を与えたとされている。


日本が無事なことにホッとしたし、どうやら初戦で米日合同部隊が完勝した事で戦争にはならないらしい。

勿論、露と米日の国家間の関係は最悪なものになってしまったのだけど・・・


「撃沈した旗艦に巨人が乗っていて、そいつの身柄がアメリカ預かりになったんだ」


「へー」


・・・


「えっ!? ロシアの巨人?」


「ああ、稚内市の岸壁で拘束、後に保護、日本に置いておくにはロシアから近過ぎるし、暴れられたら堪らないって事でアタシらが保護監督役として此処で預かるんだとさ」


「それはまあ分かるけど、ロシアってモスクワに【穴】有ったよね?」


「有った、というか今も有るねえ」


第一級敵性生物(カテゴリー1)とか領域外敵性生物(カテゴリー0)はどうするの?」


「さあ?」


ええ? さあ、って・・・

ロシアも日本の私と同様に巨人は1人だった筈、海軍の3分の1を喪って、地上部隊は余裕が皆無。

これって大変な事じゃないのかな?


アメリカとロシアはかなり仲が悪い、日本は問題がありつつもそれなりに国交を結んでいたけど侵攻でそれもパァ。

ロシア国内の情報は限定的で、国防総省やホワイトハウスの非公式の見解では自力でなんとかするだろう、といった突き放したものだ。


「まあ気にしても仕方ないか、それでロシアの人は何時来るの?」


「北海道から空母で西海岸まではそろそろ到着している予定だから、何も無ければ1週間以内には、ってとこか」


「そうなんだ」


日程は私の時よりかなりゆったりとしたペースだ、何かあったのかな?







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