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第4話 【収納】スキル、熟練度9999その3

「ふーむ。こいつはええのう――」


 特に目を引いたのはミスリルソードだ。


【ミスリルソード】

 収納時のステータスボーナス:

 腕力+50(上限値:400)


 収納時、特技『ソニックブーム』を使用可能。


 ステータスの上昇値も上限も大きく、更に『ソニックブーム』まで付いて来るとは。

 これはぜひ欲しい逸品だと言えるだろう。


 他に目ぼしいものは――


【炎の宝玉の杖】

 収納時のステータスボーナス:

 魔力+30(上限値:280)


 収納時、魔法『ファイアアロー』を使用可能。


【氷の宝玉の杖】

 収納時のステータスボーナス:

 魔力+30(上限値:280)


 収納時、魔法『フリーズバレット』を使用可能。


【修験者の杖】

 収納時のステータスボーナス:

 精神+20(上限値:250)


 収納時、魔法『ヒール』を使用可能。


 魔力や精神を引き上げるアイテムは何も持っていない。

 こういうものを買っておくのも手だろう。

 特に『ヒール』があると、旅や冒険には心強いだろう。


 他には――


【白銀の鎖帷子】

 収納時のステータスボーナス:

 体力+20(上限値:250)


 収納時、特性『自動回復・小』を使用可能。


【魔導石のペアリング】

 収納時のステータスボーナス:

 腕力+30(上限値:500)

 体力+30(上限値:500)

 敏捷+30(上限値:500)

 魔力+30(上限値:500)

 精神+30(上限値:500)


 収納時、持ち主同士が特性『一蓮托生』を使用可能。


 鎖帷子の『自動回復・小』も安全のためにはいい。

 魔導石のペアリングは、やけに上限が高いな。

 これはその分値が張るかもしれない。


 『一蓮托生は』は、繋がった相手と強化効果や弱体効果を共有する特性だったはず。

 これは有利にも不利にも働く場合があるだろう。

 双子の生まれの者に、稀に自然と備わったりするらしい。


 しかし、ぽんぽんと特技や特性や魔法が出て来るが、普通はこんなにあっさり身に着くものではない。

 自らのスキルを鍛え、修練を重ねて身に着くもののはず。

 それがアイテムボックスに放り込むだけで身に着くとは、恐ろしい。


 【収納】スキルを9999まで上げるのが前提なので、苦労に見合うと言えば見合うかも知れないが――もっと強力な、例えば伝説の聖剣や魔剣を収納したらどうなってしまうのだろう。


「のう、ミスリルソードはいくらになるかの?」

「そいつは看板商品だからな、一点ものだし希少なミスリル製だし、値は張るよ。金貨25枚だな」

「ふぉ! そりゃお高いのう……!」


 これだけで手持ちが殆ど無くなってしまう計算になる。


「そんじゃあ、この杖達はどうじゃ?」

「金貨5枚だな」

「白銀の鎖帷子は?」

「それも5」

「魔導石のペアリングは?」

「それは一番高いよ。50だな」

「とんでもないのう……! ボっておらんか?」

「んなわけあるか! 素材も貴重だし、有名な職人のブランドなんだよ、これでも金持ち連中には、結構売れるんだぜ?」

「なるほどのう……」


 ちょっとこれは縁が無いだろう。


「鋼鉄の剣は?」

「2かな」

「ふむふむ――」


 ということは、とりあえず今はちょうど使って――

 これを収納してステータスを強化し、更に稼いで他の商品にも手を出すとしようか。


「よしでは、鋼鉄の剣とミスリルソードをくれんか?」

「まいどあり! けど、剣二本買うのかい? 二刀流か?」

「いやいや、それも捨てがたいが、ちょっと事情があっての。ちょっと試し切りをしてもええかの?」

「ああいいぜ、爺さん。奥に来なよ」


 と、店主は剣二本を携えながら、店の地下にワシを通してくれた。

 木の案山子がいくつか置いてある、簡易な訓練場のようなスペースだ。


「よしでは、剣を貸してくれい」

「ああ、どうぞ」


 受け取るとワシは、早速ミスリルソードをアイテムボックスに収納し――


 使用率:1/100%


 品目リスト:

 石ころ:160

 薬草:122

 デスコカトリの羽根:62

 ミスリルソード:1


 ステータスボーナス:


 腕力:200

 体力:100

 敏捷:180


 追加特技:

 『気弾』

 『ソニックブーム』


「ようし……! では早速――」

「おいおいアッシュ爺さん、せっかくのミスリルソードを使わないのか?」

「うむ。ワシはこれでいいんじゃよ」


 ミスリルソードは収納用、鋼鉄の剣は実際に使う用。

 ワシの場合、こちらの方が強い。

 ステータスボーナスも高いし『ソニックブーム』も身に着く。


 ワシは鋼鉄の剣を構え、息を整え精神を集中。


「じいさん、的まで遠いぞ? 素振りか?」

「いや、いいんじゃよ。はあぁぁぁぁっ! 『ソニックブーム』!」


 縦に斬り下ろした剣の軌道に沿うように、衝撃波が発生。


 ズガガガガガガガッ!


 衝撃波は地面に轍を残しながら、木の案山子に向けて肉薄し――


 バガァァァァン!


 景気よく木っ端微塵に吹き飛ばした!


「うむ……! こいつぁ使えるのぉ!」

「おおおおぉぉぉっ!? い、今のは剣の大技じゃないか! 爺さんいつの間に!? そんなの使えなかっただろう!?」

「ふぉふぉふぉ。じじいといえども、たまには成長するんじゃよ?」

「すっげえなぁ! いやあ、いいもん見たぜ!」

「それよりすまんのう、的を壊してしもうたわい」

「ああ、全然いいよ。いいもの見せてもらった礼さ」

「かたじけないのう。それじゃあ、お会計を頼むぞい」


 ワシは満足して買い物を終え、店を出る。

 とりあえず今日はもう腰が痛いので、家に帰って休むとしよう。


 そして明日からは――

 先程ギルドでエリーが言っていた、ギント水道遺跡に行ってみようか。

 凶悪なモンスターが出るという事は、倒せば高く買い取ってもらえるはず。


 まだまだ、武器屋に目ぼしい商品はあるし、ステータスボーナスももっと積める。

 ワシは腰痛持ちのジジイだが、そこらの子供に負けないくらい、強さに飢えている。

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[一言] 3話目の終わりのミスリルソードと4話目の始まりのミスリルソードの効果が異なります。
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