七話 愛情メラメラ系ヤンデレヒロインに合流する話
「おいヤベーぞあいつら!!もう二人とも二樽目だ!!」
この酒……うっまぁ!!馬鹿みたいに美味い。前世のビールより美味いとは思わにゃかった。
「おいおいたけぇ。そろそろ酔いがまわっれきたのではにゃいか?」
「こちらにょセリフでしゅよ。」
新しい酒を受け取り、また呑み始める。
「どっちが勝つか賭けようぜ!!」
「おおぅ!!勝ったやつにゃ儂が酒をおごってやりょう!いくらでものめえ!金なら腐る程ありゅわ!」
その一言で会場がヤバいほど盛り上がる。
「ゴクッ…………ゴクッ………ゴクッ………………おかわり!」
「3樽目だああああああああ!!!!!!」
「ふう。儂も!!」
「はいただいま!!」
◆◇◆◇
勝者。師匠。
俺は酔いつぶれて爆睡。
「ふうヒック。儂に勝とうなど五千年早いわ。」
フロアのテンションが爆上がりする。その後は大宴会。
「ああ。宿を取っとるんじゃった。ヒク。【解毒】。」
俺の酔いが一気に覚める。
「儂の酔いは解かんぞ。ヒック。タケが宿に連れて行け。」
「おいおい普通逆だろ。飲み比べに勝ったほうが酔いつぶれたのを持ち帰るんだろ。」
「そういう関係では無いですよ。文字通り師匠と弟子です。」
「ZZZ。」
師匠が寝た。姫抱っこをして宿に連れ帰る。
「受付さん。約束通り師匠に賭けた人に、俺たちのお金で酒を奢ってやって下さい。」
「よっしゃああああ朝まで呑むぞ!!」
「コイツも馬鹿だな。あの時絡みに行ってなければこの名試合を見られたというのに。」
未だに気絶している赤い鎧の男を跨いで、ギルドを出る。
俺の腕の中で無防備に寝るクールビューティ系女師匠。
邪な考えが浮かばないでも無いが、振り払ってベットに寝かす。
俺も横のベットで寝る。
久々のベット!!寝心地最高。
◆◇◆◇
目を覚ますと、俺の上で師匠が寝ていた。熟睡している。
「なんで俺のベットに………」
寝ぼけたのか?
どうすることもできず、師匠が起きるのを待つ。
……これ、いつ起きるんだ?
その時。バタンと、扉が開いた。
驚いて扉の方を見る。
「先輩!やっと会え……………」
聞き覚えのある声。
「ん?なんじゃ?」
師匠も起きる。
冷や汗が止まらない俺。
「………誰ですかその女。」
いたのは、沢北直菜。前世の彼女であった。
修羅場。
そんな単語が頭をよぎる。
いやまだだ。まだ慌てるような時間じゃない。
俺は純潔だ。交際もしてないので浮気ではない。
というかなんで沢北さんが此処に?服を見るに冒険者っぽい。
沢北さんも異世界に?
「誰じゃこの女………なっ!タケの恋人じゃと!?」
「イエシカタナイデスヨネセンパイハワタシガコノセカイニキタコトヲシラナカッタワケデスシセンパイハステキデスカラダレニモホレラレナイホウガイジョウナワケデスシサイシュウテキニワタシヲエランデイタダケレバソレデデモセンパイノハツタイケンハワタシガホシカッタナア…………」
「いやそういうことしてないから!」
◆◇◆◇
こうなった経緯を説明する。
「……なるほど。一応ギルドで聞いた証言と一致していますが……本当に何もしてないんですか?」
「ああ。師匠とはそんな関係じゃない。」
よかったあああああ手ぇ出して無くてええええええ。
「それより沢北さんはなんでこんなところに?」
「えっとまず前世で先輩は死んじゃったじゃないですか。」
「うん。」
「私が後を追って自殺するじゃ無いですか。」
「うん?」
「そしたらこっちの世界で目を覚まして、先輩の気配がしたのでスキルを使って探し回って、漸く見つけたということです。」
気配って何?
「おいタケ。此奴、愛が相当重いぞ。」
「先輩を見つけられたのは私のスキルのおかげです。」
「ど、どんなスキル?」
「【探】です。」
「なんじゃと!?」
《【探】。伝説のスキルの一つ。条件を与えるとそれが何処にあるかが分かる。敵の弱点の位置、捜し物の発見。尋ね人など、文字通りなんでも探せるスキルです。》
「最初は、『人間』『優しい』『かっこいい』『富川武』で探したんですけど出てこなくて、『人間』『富川武』でも出てこなくて、『富川武』で探したら『トミカワタケル』として登録した人が居るっていうから、【飛空】で全力で飛んで来ました。」
「ああ。俺が人間じゃないからね。」
「そう言えば転生先が人間とは限らないですもんね。何に転生したんですか?」
「………」
「此奴は悪魔じゃぞ。」
「悪魔!かっこよくて優しい悪魔……推せますね。」
「今は【変身】してます。変身解くとこんな感じです。」
ドロンと、コウモリモドキに戻る。
「かわいい。」
沢北さんが俺を抱きしめようとするも、手は体を通り抜ける。
「其奴に物理攻撃は効かんぞ。」
「こ、攻撃じゃ無いですよ!」
ドロンと、人間に戻る。
「引いたりしないんですね。」
「そりゃあ。姿が変わっても先輩は先輩ですから。」
「いちゃつくならよそでやれ。」
ん?なんか師匠が機嫌悪い?
「そう言えばその女性は?師匠とのことですが……もし女狐なら……」
「師匠は女じゃ無いですよ。」
「男でもないがな。ほれ。」
ドロンと、虎に戻る。
『儂は神獣ファル。敬い奉っても良いのじゃぞ………』
「もふもふ。」
ん?
「もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふっもっふ!」
突然沢北さんがもふもふとしか言わなくなったと思うと、師匠に飛びついた。
『な、なんじゃ貴様!』
「もふもふかあ。もふもふならいいや。」
『ひゃあ!?あうっふうっそっそこわぁああ待てっちょひゃああ!!』
沢北さんが師匠をなで回す。なんと恐ろしい。あの師匠を指先一つで手籠めに………
『てってごめににゃど………』
「可愛いは正義。」
首の下辺りを撫で始める。
『ちょっまっひゃああっへ、【変身】!!』
師匠が虎からイケオジに変身。と同時に沢北さんが飛び退く。
「あああなんてことを……」
「うるさいわ。」
顔を赤らめて服も乱れているイケオジは、地味にエロい。
「エロくなど無いわ。」
ドロンと、いつものちび虎スタイルになって俺の肩に乗る。
「きゃああああかわいいいいい!!ねえ私にも乗って!」
「【神聖ほ………」
師匠。宿をぶっ壊す気ですか?
「じょ、冗談じゃよ。」




