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三話 戦闘力つよつよ系虎師匠と旅立つ悪魔の話

 い、いちおくきゃい。おわったぁ


 時々回復してもらって、ぶっ通しで振り続ける。


 この空間はずっと雷が鳴っているだけ。


 雨は振っておらず、千本鳥居とその周りの広大な竹林が美しい。


 だがかなりヤバい。


 逃げ出そうとしても、千本鳥居を抜けるとまたこの本殿に帰ってきてしまう。


 竹林に逃げ込んでもいつの間にか千本鳥居の中にいる。


 空に逃げてもなんやかんやでいつの間にか本殿に帰ってくる。


 何処に隠れようとも師匠は見つけてくる。


 そして逃げるたびに最初からやり直し。


「良し次は型の確認!上段壱から拾を一万回!下段壱から漆を一万回!抜刀壱から参を三万回!!」


 クソガアアアアアアアア!!!


 ◆◇◆◇


「良し。終わったな。【回復】っと。次!!素振り一億回!」


 ファアアアアアアアアアアアアア!!!


 ◆◇◆◆


「良し。次は………言わなくても分かるな。」


 ファアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!!!!!


 ◆◇◆◇


 ゼエ………ゼエ………………………ガホッゼエ………ゼエ…………………………ゼエ。


「【回復】」


 ふう。


「イカれてやがる!!!!!」


「五月蝿いのお。これで貴様に勝てる人間はそうそう居らんわ。まあ鍛錬を怠らなければじゃけどな。」


「ふっざけっ……!!」


「無駄な声を叩く元気があるんじゃな。では次。儂との対戦じゃ。来い。」


「上等!!積年の恨み、晴らさでおくべきか!!!」


 ◆◇◆◇


「やはり実戦を経験せねば型を覚えてもそんなに役に立たんな。」


 い、今、首飛んだ!!え?なんで俺生きてんの?


「【回復】じゃ。」


「生き返んのそれ!?」


「綺麗に殺して、且つ死んでから10秒以内であればな。自分を生き返らせるのは無理じゃが。」


「こっわ。」


「貴様は臆し過ぎじゃ。『戦線』に踏み込めて居らん。」


 戦線?


「自分の間合いに相手を入れ無ければならんということよ。さあ、もう一回。」


 ◆◇◆◇


 何十回やっただろう。


「ふむ。儂では歩が悪いか。よし。[帝位召喚魔法:墜ち武者、千人斬り級]」


 現れたのは、黒い鎧の武者。


「まずは此奴に勝て。」


『推して参る。』


 はっやいけど、師匠程ではない。


「雷獣流抜刀術、壱、不知の荒野、響く雷鳴」


 次の瞬間、自分でも驚くことが起きた。


 俺の居合の一閃が、雷鳴と共に鎧を横に両断したのだった。


「え、俺こんなに強くなってたの?」


「なんじゃ自分の力量も分かって居らなんだか。なら戦線を越えられんのも仕方ないのう。次。」


「は、はい!」


 そこから毎日、毎日、一日という概念は無いけど毎日毎日訓練した。


 途方もない時間、ずっと訓練し続けた。


 ◆◇◆◇


 太陽。


 今となっては懐かしい、樹海。


「帰ってきたぞおおおおおお!!!」


「五月蝿いのお。こちらでは2ヶ月しか経っとらんぞ。それにしても儂に傷を付けるとは。努力の化身じゃの。」


「六千年掛かってつけられたのが切り傷一つって、冷静に考えればヤバいですけどね。」


「そうじゃ六千年もたったんじゃが、此処のことは覚えておるのか?」


「はい。前世の事までバッチリと。どうやら悪魔の脳は記憶力がかなり良いようですね。」


「さてと、次は何を教えようか。【吸血】は只血を吸えば体力と魔力が回復するだけで何も教えることは無いし………」


「あの……じゃあ良いですか?」


「ん?なんじゃ?」


「旅、しても良いですか?」


「………旅?」


「せっかく異世界に来たのに俺この世界を何も知らないと思ったんで。人とも話したこと無いですし。なのでこの世界を自分の目で、見て回りたいんです。あと同郷が居るかも知れませんし。」


「……そうか。ふむ。良いぞ!存分に楽しんでこい。」


「何言ってんですか。師匠も来るんですよ。」


「え?」


「え?」


「いや、儂が行っても良いのか?」


「逆になんで駄目なんですか?」


「いや儂は此処の護り神じゃし……責務が……」


「どうでも良くないですか?」


「え?」


「話を聞く限り、神獣になったのって、只強かったからですよね。」


「そうじゃ。」


「だったら別に使命も何も無いじゃないですか。」


「? 強き者に責務があるのは当然では?」


「此処にいても暇何でしょ?まあ気配だけの分身を置いていけばいいじゃないですか。」


「………言われてみればそうじゃな。そうかもしれん。」


「人里には美味しい物もいっぱいありますし、見たこと無い絶景もあるでしょう。もしかしたら師匠より強い者も居るかも知れませんし、運命の出会いもあるかもですよ。」


「はっ運命の出会い?そんなものはどうでも良いとして、なるほどな。旅か。考えた事も無かったが、面白そうじゃ。乗った!儂も連れてゆけ!」


「はい!」


 ヘイNavi。人里迄の道を教えて。


 《承諾しました。》


 ◆◇◆◇


 先輩……私も、すぐそっちに逝きます。


 ビルの屋上に、一人の女性。


 警備員が見つけ、止めようとするも、虚しく手は空を切り、女性は落下。


 先輩。先輩は知らなかったかも知らないけれど、私は貴方が大好きだったんですよ。


 3年前、お年寄りを助けるところを見たのが最初。


 そこから事ある毎に貴方を見かけ、いつも誰かを助けている。


 先輩が通う大学に進んで、先輩の事をもっと知った。


 知れば知るほど好きになった。


 貴方と一緒になりたかった。


 貴方は私の所為で死んでしまった。


 先輩……先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩……


 すぐに、すぐにそっちに行きます。


「大好きですよ。先輩♡」


 グシャリと、地面に落下する。









 目が、覚める。


 目覚めたのは、平原のど真ん中。


 ここ、何処?


 ドラゴンが頭上を通った。


 え?なに?異世界転生?



 ……………………………………………………先輩の気配がする。



 誰かと一緒に居る?



 女の子?だったら嫌だな。何しちゃうか分からない。



「先輩♡すぐにそっちに行きます。浮気しないでくださいね♡」

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