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ショートショートシリーズ

ここは白い部屋

作者: ユーリ・S・イブニングムーン
掲載日:2018/05/08

「入って」、と言われたから目の前のドアを開け部屋に入る。

 そこは、一言で表すと白くて何もない空間だった。


 先ほどの声の主は、部屋の隅っこにいた。白かった。

 そもそも人ではないような感じがした。白い布をかぶってそこにいた。


 そう、それは幽霊みたいな存在だった。


 あれが何なのか、ボクにはわからない。ただ気付いたらいた。

 そこの幽霊みたいなものは誰なんだろう。


 ああ、きっと、これは物語の始まり。

 これは、きっと夢。何かの始まりを予感させる夢。



 キーワードは、始まり、幽霊、夢、白い部屋。



 もう役者はそろった。

 さて、何から話そうかとボクは考えた。


 そうだね、面白いことなんかは何もないんだけどさ、願望とは何か。

 それついて、話そうと思うんだ。嘘だけど。ボクはくすりと笑う。

 

 ここは白い部屋。幽霊みたいな人と、人みたいな幽霊がいる。

 さてどっちがどっちなんだろうね。


 気付いたらここにいた。きっと、これは夢なんだろうなとボクは思う。

 でも、これが現実の可能性もある。そもそも現実ってなんだろう。


 いろいろと考えてみたけど、面倒になって辞めた。

 幽霊みたいな人に聞いてみる。「ここはどこなんですか?」、と。



 白い布をかぶったその人は、ゆっくり立ち上がり、ふらふらそこら辺を彷徨さまようみたいに歩き始めた。

 しばらく様子を見ていたけれど、特に何も言う気はないらしい。



 さて、どうしたものか……



 ここは白い部屋。壁も、家具もみんな白い。

 ドアはない。どうやって入ってきたかは知らないし、もしかしたらあったのかもしれないけど、今はない。



 ボクは、いつまでここにいればいいんだろう。

 白い布はまだふらふらしている。



 ここは、白い部屋。全てが白に染まる部屋。

 入口はないし窓もない。家具が少しある程度。



 人は、人といっていいのか分からないけどボクを含めて2人。

 白い布をかぶった幽霊みたいな人、あとはボク。



 その幽霊みたいなやつは、まだふらふらとそこら辺を彷徨ってる。



 質問しても答えてはくれない。



 ボクがここにいる理由? 


 何だろうね、気付いたらここにいた。


 この白い部屋の前に合った白い椅子に座っていた。



 もしかしたら、これは夢なのかもしれない。

 だって現実的におかしいよね、こんな白い入口も出口もない部屋があるなんて……。




 ふと気付くと、幽霊みたいなものがすぐそばにいた。

 いつの間にか、ボクの隣にいる。そこで――。




◆ ◆ ◆ ◆




 ここは白い部屋。入り口も出口もない閉ざされた部屋。

 家具は椅子があるくらい。其れ以外はすべて白。




 気付いたらここにいた。入ってきた気もしないわけではないけれど。

 入ってきたドアもない。入り口もない。


 人はいない。幽霊みたいなものはいた。

 ボクのすぐ隣に座っている。



 さっきまで椅子なんか隣になかったのに、いつの間にかあってそこに座ってる幽霊みたいなもの。


 ここはどこなんだろう、わからないや。

 でも不思議と怖くない。なんでか昔もここに来たような感じがする。



 昔は向かい。今はそば、未来は見えない。

 人生は後ろ向きに進んでる感じがするね。



 だって、未来は見えない、現在は変化、過去は良く見えるじゃない。

 過去だけがよく見える。過ぎたことばかり。


 まぁ、普通だよね。未来が見えないのも。不確定なのも。

 決まった未来を進むほど退屈なものもないのだから。



 決まった未来は未来でありうるのかな。

 もはや、予定となるのかな。



 どうなんだろう。

 そこでボクの思考は止まる。


 だって、傍の幽霊が話しかけてきたから――





◆ ◆ ◆ ◆





 ここは白い部屋。ここは何処でもなくどこでもある部屋。

 白は清純の証。何物にも染まってないという証。



 そんなことはどうでもいい。何故ここにいるのかもわかってない。

 気付いたらここにいた。ただそれだけ。そして幽霊みたいなものに話しかけられた。



「今日はどうしました?」不思議な響きの声で幽霊が言った。

 今日は? ……ボクが前にも来たことがあるかのような言い草だった。



 記憶がない。というか思い出せない。ボクに関することが分からない。

 掛け算や引き算、物の名前はわかる。でも、ボクが昨日したことなんかは思い出せない。



「まぁ、いいでしょう。ゆっくりしていってください。ここはいつでもあいてますから」そう、頭の中まで響くような声で幽霊は言った。



 そして、またそこら辺を彷徨うように動き始めた。



 あぁ、ボクはここにいったい何をしに来たのだろう。

 たぶんそれを思い出せばここから出れるような気がした。


――そんな夢を見たんです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 夢の不思議感があり、なんとも言えない不明瞭な感じですね。 [一言] 彼等はどうして出会ったんでしょうね?夢だから理由など無いのでしょうけど、そこが気がかりになりました。
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