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エピソード23 お金持ちの家の日常の風景

なんとなく書いていたら、文字数が多くなった割には内容があまりなくなりました。


次の話が今回の話の本題になります。

「ここが私の家」


杏里の家はいわゆる豪邸というもので、とんでもなく大きかった。


「お帰りなさいませ。お嬢様」


そして入り口には何人も執事とメイドが並び、会釈をして出迎えてくれる。


「ふふ、どうも」

先輩はもう慣れたのかさすがである。リムジンに乗っている途中くらいから、落ち着いていた。


「わ、私などに会釈など……、どうか頭を上げてください」


由美は慌てていた。ある意味ではいつも通りなのだが。


「わぁ、メイドさん本物ですね!」


なぜか知らんが京は興奮していた。世話好きだから、メイドに興味があるのかな?


「ふふふ~ん」


水城は特に慌てる様子もなく、ずっと落ち着いていた。基本的にいつも落ち着いていない水城が1番落ち着いているのは珍しい光景だ。


「いらっしゃい。藤川家にようこそ」


そして大きな屋敷の入り口で1人の男性が出迎えてくれた。




俺が知っている藤川正義である。確かテレビで48歳って言ってた気がしたが、年齢を感じさせない若々しい顔と、しっかりとした体格であった。

「どうもはじめまして、岩瀬太一です」

「や、山口由美です」

「佐々木美香と申します」

「高津京です。杏里先輩にはお世話になってます」


俺、由美、先輩、京は直接会うのは初めてなので挨拶する。


「うむ。皆礼儀正しい挨拶ができておる。さすが明星高校の生徒だ」


「お久しぶりです正義さん」


「永川さんのところのの水城さんか。君も杏里の友人になってくれていたのだな。きみの家ではよく見るが。こうしてうちに来てくれるのは初めてだね」


「はい、いつも正義さんにはお父さんがお世話になってます」


「いやいやそんなことはない。私のほうこそ、杏里と仲良くしてもらって感謝しかない」


水城は正義さんと面識があるようで軽く雑談を交わしている。ううむ、普段やらかしが目立つ割にはこういうところはさすが一応お嬢様だな。しっかりしている。


「君が太一君かね?」


俺が水城と正義さんが話しているのを見ていると、正義さんが俺の方に歩いてきた。


「は、はいそうです」


目の前に正義さんに立たれたのだが、身長は同じくらいなのにとても迫力がある。これが世界で活躍する人ということか。ちょっと声が裏がえってしまった。


ポン。


肩に手を置かれた。


「君の話は杏里からよく聞いている。明星高校に入学してからというもの杏里から学校の話はまともに聞くことはなかった。だが君の話をするようになってから学校が楽しそうだ。君は娘を特別扱いせず、1人の友人として付き合ってくれたんだろう。感謝している」


「あ、はい。杏里……さんは、友人が少ないのですか?」


「ああ、藤川家の娘というだけで、どうしても特別扱いされている。だからいろんな地方からの志願者が多く、地元の生徒ばかりでない明星高校に入れたのだが、父親びいきを抜きにしてもあの容姿でどうしても目だってしまう」


「ああ、それでですか」


「君だけじゃない。由美さんに美香さんに京さん。君たちの話もよく聞く。だから1度会ってみたかったから、今日は歓迎している。今日は兄もいるから後で紹介しておくが、楽しんでいってくれたまえ。では私は失礼するよ。杏里が気を許せる友人を一目見ておきたかったのでな」


そう言って正義さんは屋敷に戻っていった。


「杏里にはお兄さんがいるのか?」


「うん、8歳年上で、お父さんの仕事を手伝ってるすごい人だ。俊って言う」


「へ~、正義さんの子供なら優秀だろうな」


「じゃあ来て、中庭に打ち上げの準備をしてあるから」




中庭も明星高校の大きなグラウンドと変わらないくらいの大きさでそのど真ん中に、テーブルや椅子があり、そこにシェフや執事、メイドが多く揃っていた。


「うわ~、至れるつくせりじゃない。気分いいわ~。じゃあとりあえずジュースを準備してもらいましょうか」


慣れたとは言え、先輩がいきなり執事やメイドに命令し始める。


「先輩、一応人の家の使用人ですよ」


「大丈夫ですよ、今日は杏里様と、他のお連れ様の使用人です。ご自由にご命令ください」


俺が心配すると、何人かいる執事やメイドの中で、少し年齢が上に見える人が話しかけてきた。執事長とかかな?


「あの~、すいません」


そんな中、京が何か気になったようだ。


「はい何か?」


「今日は何をお作りになられるんですか? キッチンはありますけど食材が見当たりませんよ」


「何でもおつくりで来ます。このシェフは和、洋、中から何でも1人で作れます。正義様からのご指示ですので、何でも申し付けてください」


「いいじゃない! 私こういうの好きよ。じゃあまずはお肉がいいわ。鳥? 豚? 牛? にくどれー? 」


「にくどれー、にくどれい? 肉奴隷……、うふふ」


「水城! ここで暴走するな」


先輩が完全に乗り始め、その流れ弾が水城にあたり、水城が暴走しかける。


「わ、私が命令など恐れ多くてできない……。どうしよう」


「慌てるな! 命令じゃない。よく考えろ、普通に外食して注文するってことだ」


由美がネガティブを発生。ご命令くださいという発言をはき違えている。


「わー、高級なお肉に、綺麗な魚に新鮮な野菜。素敵……」


家事好きの京は食材を宝石でも見ているかのように眺めていた。


とは言ってもそれは言い過ぎではない。


霜が多く降った肉に、優秀なと見間違うような形の大きい魚。身がつまり、大きくみずみずしい野菜。

おそらく俺がスーパーで見ているような安物ではないのだから、つまり高級品。宝石と言っても過言ではなかった。


「じゃあ、たっくん。乾杯の音頭をとってちょうだい」


何とか全員なだめて席に座らせ、適当に飲み物を並べる。席は俺の横に杏里と由美。


反対側は俺の正面に先輩、その両隣に水城と京が座っていた。


そんな中先輩が急にそんなことを言った。


「何で俺ですか? ここを作るきっかけは杏里ですよ」


ふるふる。


すると杏里が首を横に振って、俺を見る。


「そんなことはない。私だけじゃ駄目だった。私は太一に話しかけるだけで一杯で、それ以上のことはもう無理だった。私を受け入れてくれた太一と一緒にいたくて、由美にやきもちをやいたりしちゃったけど、今は太一がたくさん人を連れてきてくれて、とてもにぎやかになっただから太一のおかげだよ」


「わ、私も嬉しい。たくさん食べたり、ダイエットしたり、好き勝手しててもそれを共有して許される場所が出来るなんて思わなかった。とても楽しい」


「そうね。私は今までずっと仮面かぶってたし、好き勝手やれるのは楽しいわ。お、なにしてるの? って聞かれる怖さもないしね」


「うんうん~。私のドジや下ネタを受け入れてくれるのもここくらいだよ お、なに? オナ○ー? うふふふ」


「私も、ここにいるのは楽しいです。家事はもちろん好きですけど、刺激のある皆さんと付き合えるのは面白いですしね」


「聞いたか太一。これは皆太一が私達を受け入れてくれたことが始まりなんだ。だから、ここは太一が作ってくれた場所だ。だから、太一が音頭をとってくれ」


全員から、親愛のこもった視線を向けられ恥ずかしくて仕方がない。


使用人の方が、反応せずに真面目な顔をしているのが逆に気恥ずかしい。


「えーと、杏里に由美に、水城に先輩に京。正直平凡な俺には誰か1人と仲良くできるだけでも幸運だと思う。そんな皆の秘密を俺が知っちまったけど、それがきっかけでこういう場所が作れたことは、もう奇跡だ。俺も皆といると楽しいし、この場所がちょっとでも長くあることを望んでる。だから、明日からもよろしく。乾杯!」


「「「「「かんぱーい」」」」


皆テストの終わった開放感からか、とてもテンションが高かった。


あ、もちろんお酒は飲んでいませんよ。



「わぁ、噛んでないのに肉が溶けるわ。これが白色の霜ふりってやつね」


「こ、こんなのを食べたらもう戻れなくなっちゃいます~。この魚1匹で私がいつも食べてる魚何匹分なんしょう?」


「タレが美味しいね~。うちのよりレベルが高いよ~」


「……………(モグモグ)」


「うんこれはうまい」


庶民である俺、先輩、京はもちろん、水城もかなり喜んでいた。


「水城はこういうの食べなれてないのか?」


「食べたことないわけじゃないけど、杏里ちゃんの家と私の家は同じお金持ちでもランクが違うんだよ。お父さんのことは尊敬してるけど、お父さんは日本の官僚。正義さんの家は世界でも名前が知られてる家だもん。家も大きいけどここほどじゃないよ」


なるほど、資産家にもランクはあるということか。


「由美はどうだ」


「…………モグモグ」


「黙々と食べてんだな、ここでも」


杏里が大食いをするときは、誰かに見つからないように俺がついていることが多くなったので、彼女が本気で食べるときのことはよく知っている。


彼女はとにかく無言でひたすら食べる。


美味しいともまずいとも、一切の感想を言わずただひたすら食べる。食べることのみに集中し続ける。


彼女は学校ではまずそういう姿は見せない。カフェの2階でも、確かによく何かを食べているが、大食いをしているシーンはあまり見せなかった。


そのせいかその食べる姿に、他のメンバーや、使用人の人も驚いていた。


まず、肉は他の人の5倍を食し、魚も15尾、サラダは俺達が全員で食べても多い量を完食したため、シェフが慌てて料理を追加することになった。


「いや~、皆が食べきれないほどの量を作ったはずだが、これは驚いた」


シェフの人も驚き、ずっと仕事の営業スマイルだった使用人も、ポーカーフェイスを崩していた。



「あれ? 杏里がいない?」


いろいろな騒ぎが起こっているのに、ここの企画者である杏里がいなかった。


俺は気になって少しだけその場を離れた。











感想ありがとうございます。


勢いで書いておりますが、一応終わらせる形を確定させましたので、あとはなんとかその目標までがんばっていきます。







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