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エピソード18 仲の良い5人(俺があまり絡まない場合)

どちらかというと太一君があまり彼女達に絡まない場合の話です。


少し短めです。視点は太一君のままです。

「ダイエットと食事を繰り返すのはとても体に悪いらしい。過食症や拒食症といった危険性があるんだ」

「それは怖いな。だが太るのは怖いんだ」

「由美の場合は食べる日と食べない日を決めているから問題ないだろう」

「そういうものか……」


「それよりも由美みたいに高い身長になってみたい。一応気をつけてはいるんだけど」

「わ、私みたいに大きいのはいいとは思わない。杏里は小さくて可愛いだろう。私は全然女性らしくない……」

「そんなことない。由美はとっても綺麗だとと思う。話し方も丁寧で美人だし、尊敬できる」

「そ、そんなに褒めないでくれ。それに話し方なら杏里もそんなに変わらないだろう」


杏里と由美は非常に相性がいい。


杏里は読書が大好きで、多くの知識を持っていて、由美の不安の悩みをよく聞いている。


反対に由美の大人っぽさには小柄な杏里は尊敬の念を持っているらしく、その話をよく由美にしている。

由美は褒められて照れているが。


俺の知らないときにも、2人で時々会っているようで、俺の知らない話を時々していた。


「わ~、どうしよ~」


そうしていると、水城がまた何かやらかしている。どうやらプリントをばら撒いてしまったようだ。


タッタッタ。

スタスタスタ。


すると俺の横を抜けて、杏里と由美が水城の元にいく。


「大丈夫?」


「あ、杏里ちゃんに由美ちゃん。ごめんなさい~、またやっちゃった」


「き、気にしないでくれ。水城が困っていると私も困る。するとクラス全員が困り、先生も困り、あげくに学校全体の問題に……」


「いやいや、そうはならん。早く手伝え」


杏里と由美が真っ先に水城を助けにいったので、俺は何もしないでおこうと思ったが、由美の後ろ向きモードが発動して片付く前に授業が始まってしまいそうだったので突っ込んでしまった。


「ああごめん太一。由美がこうなると私も止められない」


「うう、手伝うつもりが迷惑をかけてしまった……。もう私に手伝う資格はない……」


「ふ、2人とも、手伝おうとしてくれてるんだから、ありがとうしか思わないよ~。あ、太一君もありがとう」


「し、しまった。杏里、ここで私達が水城を助けてはいけなかった」


「どうして?」


「ここは水城が太一に助けられて、感謝する展開だ。ここで私達が助けては、それが台無しになる」


「な、なるほど。確かに水城は私達と同じように太一を好きと言ったライバルではあるけど、条件は一緒にしなければならない。クラス長としての仕事については、水城に優先権があるのだから、譲らなければいけないな」


「あの~2人共?」


「「じゃあ太一、水城を助けてあげて」」


「助けづらい! 2人とも手伝ってくれよ。結構こぼれたプリント量あるから!」



「さ、3人ともありがと~」


2人が余計なことをしていたのだが、4人で作業したのですぐに片付いた。


水城も非常に杏里と由美と仲がよく、クラス内に他の友人はいたが、2人の会話に混ざったり、水城を2人が手伝うこともよくあった。


水城のクラスで仲のよい友人が皆部活をしていたこともあって、放課後3人で行動する姿も見られることがあった。


「美香先輩ありがとうございます~」


俺が水城の勉強を見ていたときに、偶然通りかかった先輩も時々水城の勉強を診てくれることがあった。


水城と先輩は非常に親密な関係になったいて、遠慮なく絡みに行く水城に、先輩も気を使われないことが嬉しいのか可愛がっていた。


「でも、たっくんとの2人の時間邪魔しちゃっていいの? たっくんも女心が分かってないんじゃないかしら?」


「確かに俺が先輩に頼みましたけど。俺だけじゃ力不足かと思ったんで」


自分で言うのもなんだが、水城は俺のことを好いてくれているのだから、確かに2人でいる時間が少しでもほしいと思うものか?


「美香先輩いいんですよ~。もしこの時間がなければ、太一君はカフェに行くはずです。ですから、私だけが太一君を独占しちゃってますから」


「あーもう、水城はいい子ね。本当に可愛い」


「わー、やめてくださいよ~」


先輩が笑顔で水城に抱きついて頭を撫でる。


「先輩、一応放課後とはいえ人が通る可能性ありますよ。そんな風に素で大丈夫ですか?」


「あら、出来た子を褒めるのは当然よ。別に見られても大丈夫でしょう。それともうらやましい?」


「いえ別に」


「即答!? 冷たくないかしら? 一応告白した相手よ」


「ですけど、うらやましいですとも言えませんし。質問が悪いですよ。せめて2人きりのときにしてください」


「え……、つまり、2人きりならいいのかしら……」


「まぁ……、そうなりますけど……」


「美香先輩~。私を抱きしめたままで、いちゃつかないでください~」


「ああ、ごめんなさい。たっくんをからかうつもりだけだったんだけど、つい 盛り上がっちゃって たっくんもそうでしょ?」


「盛り上がる……。太一君が……、フフフ」


「水城? 何で笑ってるの?」


「いいえ、なんでもないですよ」


「ああ、水城は癒されるわ~。水城も以前は私と距離あったもの。最近は私に遠慮なく話しかけてくれ本当に嬉しいわ」


「わ、私も尊敬してる美香先輩によくしてもらえて嬉しいです~」


先輩にとっては自分を慕ってくれる水城は可愛い後輩であり、水城にとってはずっと憧れていた先輩。


水城はもちろんだが、先輩もかなり喜んでいるのは、できる人として憧れられることは多くても、身近な意味で慕われるということはなく、雲の上の相手のような扱いを受けていたからだろう。


そんな先輩に、水城はいい意味で馴れ馴れしく接しているので、実によい先輩と後輩の関係に思えた。




「はい、今日はクッキーです」


カフェの2階で京がクッキーを振舞っていた。


「ああ、ありがとう京ちゃん。ちょっと今目が離せないから置いといてくれないかしら?」


京はここに来るときは絶対に何か作ってきてくれる。


俺にくれるお弁当と同じで、家族のためにつくったおやつを多めに作って持って来ているらしい。


カフェのマスターには悪いが、京の手作りの方が美味しい。


女子ばかりが集まってるここにおいて、お菓子は何をするにも必需品。


しかも、ダイエットを気にしている由美のために、カロリー控えめだとか、杏里や先輩のようにゲームや読書をしながらでも食べやすいように、片手で食べられるものを作ってくるところが彼女らしい気遣いが出来ているところである。


「美香先輩、ここに置いておきますね。あ、このゲームまたやってるんですか? 見ててもいいですか?」


「ええ。好きにしてちょうだい」


京はここに来ると俺の横にいることが多かったのだが、先日その件で揉めて、由美が落ち込んだ事件があったため、横に居続けることはなくなった。


そして、先輩のやっているゲームを横で見ていることが多くなった。ゲームをやることは今までほとんどなかったらしく、非常に興味を持っていた。


「美香先輩はこの方が好みなんですか? 年下ですね。こっちの年上の先輩の方がよくありませんか?」


「そんなことないわ。この子は年下だけど、頼りがいがあっていいわよ。というか京ちゃんは、こういう人がいいのね」


「やっぱり男の人は年上がいいですね。でも頼りがいのある相手ということについては同意見です」


一緒に楽しんでいるようだが、会話の内容が非常に気になる。


最近先輩のゲームをちらっと見ると、偶然かもしれないが年下のキャラばかり攻略しているのだ。


そして、京が口を出すと、先輩キャラの攻略をし始める。


2人が以外にもゲームで意気投合しているのは良いのだが、京が先輩みたいにならないか心配で仕方ない。


「杏里先輩、この本も面白いですね」


そして杏里のところに行って本の話をしたり、


「よろしければ作り方お教えしますよ由美先輩。簡単にこのクッキーは作れますから」


由美にダイエットにいいレシピを教えたりと、皆の気遣いをしていた。



兄弟姉妹が多い中の1番上ということで、本当にまわりが見えている。俺のことが絡むとちょっとだけ暴走するが、他のメンバーに非常に好かれているようだ。


「私もこの前教えてもらったよ~。でも京ちゃんいいの? せっかくこの中で1番お料理できるのに、皆に教えちゃったら、損じゃないの~?」


「いえいえ、お料理やお掃除は楽しいですから、それを皆さんと共有できるのがうれしいんです」


「京ちゃんはいい子ね~」


「わわ、美香先輩、抱き寄せるのはやめてください」


「京ちゃんずるい~。それは私が美香先輩にやられるんだよ~」


「ぎゅっ」


「由美? なんで私を抱きしめる?」


「なんか杏里の目が寂しそうに見えたから……」


「気にしすぎだ」


「え~。杏里ちゃんも私のハグが欲しいの? いいのよ、杏里ちゃん小さくて可愛いし、ついでに由美ちゃんもいいわよ。由美ちゃんも小さくて可愛いし」


「「小さいの気にしてるんですけど」」





そんなこんなで、5人とも非常にお互いの存在を大切に思っていて、非常に仲良くしている。


そんな5人が俺のことを全員好いているのだから、とても申し訳ない。


誰か1人を選ぶことで、このカフェの2階で過ごせる楽しい空間は失われてしまうのではないかと、みんなの笑顔の影で俺は不安に思っていた。

感想、ご指摘ありがとうございます。


次回から、少しだけ話を動かします。ちょっとだけですが。

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