一大事
「学園長!」
宿から出るとやはりというか、ユーパイセンが緊張した面持ちでこちらに話かけてきた。
なんだねデートのお誘いかね。
今、10兆ほど金が必要だが俺は一向に構わんよ。
お金より不純異性交遊のほうが大事に決まってるだろ。
「父の遣いで来ました。一緒に家に来てくれますか?」
うん?
デートから二段階飛ばして結婚の報告か?
いやいやそれは早い。
早すぎる。
まだ密室でエロいことしただけだ。
いやこれはあれか、もしかして淫行の責任を取れというあれか。
いかん、なんだかそっちの方に思えてきた。
しょうがない、一人の男としてバシッと責任をとってくるか。
11歳にして既婚者になってしまうか、かあつれえわ。
「わかりました。行きましょう」
──
「初めまして、この商会──バロー商会の長を務めさせておりますユーデリカの父のバローと申します。学園再建のためにお金が御入り用になるのではないかと思いましてお話をさせていただけたらと。来るまでに娘が粗相をしなかったでしょうか?どうしても迎えに行くと聞かなくて」
「ちょっとお父さん!?」
普通に商談だったわ。
いや、よく考えればこんな賢い子が学園が壊れて困っているという背景も考えずにデートしようと結婚しようとか迫ってくるわけないか。
「それは嬉しいことを聞きましたね。仰る通り、学園再建のために今10兆ほどお金が入り用となっていまして、いいお金の話があるというのなら是非ともお伺いしたいです」
「10兆?」
「やはりそれくらいは必要ですか」
ヒロインの家族がゲスなはずはなかろうし、事情も大体バレていそうなので赤裸々に再建費について話すとユーパイセンが目を丸くし、心中お察しするみたいな顔でバローが瞑目した。
「私のお話に乗っていただければ必ず10兆のお金が手に入ることはお約束させて頂きます」
「ほう」
いかん、罠ではないとわかっているけどユーデリカパパのムーブが詐欺師に見えすぎてやばい。
ここから幸運になるツボを買わされてこれで10兆があなたのもとにされそうなんだが。
「10兆を一気に稼げる話というのはとても信じられませんが、話の具体的な内容を聞かせていただけますか?」
「信じられないのは無理はありません。通常はありえないはずですから。領主様が我々平民からの通報を無視されていることで、今この町には違法組織が大量に逗留して膨大な黒い金の流れができています。それらの組織を取り押さえて、お金を回収すれば、10兆には届くはずです。各々の組織が強大で市井の我々ではとても太刀打ちできないのです。どうか助けて頂けませんか」
なにやってんだジジイ!
仕事しなかったせいで町がめちゃくちゃになってんじゃねえか。




