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これから広まるかもしれない怖い作り話  作者: 井越歩夢


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20/70

其の十八「歌ってはいけない歌」

これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない

いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。


全部で壱百八話。どれも短い物語です。


しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、

時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、

時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。


そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。

これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。


この話、本当なんです。

カラオケ好きな私が、あるカラオスナックで働いている方から聞いた話。

それは、今でも時々思い出しては背筋が冷えるような、ちょっと不気味な話でした。


この世には、カラオケで歌ってはいけない歌があるらしい。

彼の話では、その曲名は分からない。誰が歌っていたのかも、どんなジャンルなのかも曖昧。

ただ、洋楽であることだけは確かだという。


その曲をカラオケで歌うと、不思議な現象が起こる。

まず、セットしていないはずの「採点カラオケ」が突然始まる。

通常、採点機能は自分で選択しない限り作動しない。

だが、その曲を選ぶと、何の操作もしていないのに画面に「採点中」と表示されるのだという。


そしてその採点には、ある“条件”が設定されている。

その曲を歌いきったとき、既定以上の点数を取ることができなければ

数日以内に、謎の死を遂げるというのだ。


嘘でしょうと思ったのだが、彼が言うには実際にその現象を体験した人がいるらしい。


ある日、若い男性が一人で来店し、洋楽を選んで歌い始めた。

店員は、彼が採点モードを選んでいないことを確認していた。

だが、歌い始めると、画面に採点表示が現れた。

「おかしいな」と思いながらも、店員は黙って見守っていた。

その男性も、歌い終えたあと画面に表示された点数を見て、少しだけ首をかしげたという。


点数は、72点。


その後、彼は何事もなかったように帰っていった。

だが、それから数日後。その男性が亡くなったという話が、常連客から伝わってきた。

死因は不明。事故でも病気でもなかった。

男性は自宅で突然倒れ、そのまま息を引き取ったという。


店員は、その話を聞いたとき、背筋が凍ったそうだ。


「もしかして、あの曲だったのかもしれない」


それ以来、その店では洋楽の選曲に少しだけ注意を払うようになったという。


私はその話を聞いて、正直とても不安になった。

私もカラオケが大好きで、週末には友人とよく行く。

曲を選ぶときは、邦楽を中心に、懐メロから最新のヒット曲まで幅広く歌う。

だが、洋楽はほとんど歌わない。


それでも何かの間違いで、その“歌ってはいけない曲”を選んでしまったらどうしよう。

知らずに歌ってしまい、採点モードが突然始まって点数が足りなかったら。

そんなことを考えると、カラオケの画面を見るのが少し怖くなった。

でも、大丈夫。私は洋楽は歌わないから。


洋楽を歌う方は、どうかご注意ください。

そして、もし設定していないのに突然採点カラオケが始まった時は

全力で歌うことをおすすめします。

声を張り、音程を外さず、リズムを正確に。

その曲が、あの“歌ってはいけない歌”だったとしたら…


あなたの命は、その点数にかかっているかもしれないのだから。


この話、本当なんです。





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