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第十五回

翠『ドリムちゃんドリムちゃん』


舞『このやりとりもなんだか懐かしいね。ミドリムラジオの精さん』


翠『ここのところリズムが狂っていた感じがするよね。

  二本撮りのはずなのに、先週は一回しか撮らなかったし。

  まだ十五回目のはずなのにね』


舞『十回と十四回とでゲストが来てくれたのもあるのかな。

  こうやって考えてみると多い……んだよね?』


翠『多いと思うよ。十回でゲストって言うのはわかるけど、次は二十回とか。五十回とかになることも多いし。

  でも、一ヶ月に一回って考えたら、あるのかも』


舞『一ヶ月に一回って言ったら、二本撮りのミドリムラジオは、二分の一でゲストと顔を合わせることになるね』


翠『ともかく、なんだか久しぶりのミドリムラジオ通常回。第十五回目のスタートです』


~♪♪♪~


翠『改めてこんばんは。ミドリムラジオ「ミ」担当の綿来翠です』


舞『えっと、「ドリム」担当のドリムです。いきなりですが、この挨拶何ですか?』


翠『前回ユメちゃんと桜ちゃんがこんな感じの挨拶をしていたから、真似してみようと思って。ミドリムを分けるならやっぱりこうなるよね』


舞『正直なところ「ドリム」担当のドリムって、頭痛が痛い感じがするんですよね』


翠『頭痛が痛いのは当たり前だよ。痛くない頭痛って何があるのかな?』


舞『ドリムじゃないドリムって何があるんですか?』


翠『そんなに真顔で言わなくても……』


舞『はあ……もういいです。通常回ですし、頂いたメールを読んでいきましょうか。

  沢山のメールが放置されている状態ですからね』


翠『一回の放送で何通も読んでないしね。コーナーもあってないようなものだしね』


舞『コーナーがあってないようなものでいいんでしょうか』


翠『いいんじゃないかな。このラジオのコンセプトは「自由」だから。

  私たちの役目は、私達の声を届けることだって、テーマソングでも言ってるし』


舞『顕微鏡を使わないと見えないんでしたっけ?』


翠『そっちじゃない!』


舞『それでは一通目……なんですが、これ読んだら、たぶん次のメール読まない可能性ありますよね』


翠『読んでくれないと困るって、スタッフ軍団が言っているから』


舞『でも、なんかこのメール……いえ、なんでもないです』


翠『ドリムちゃん、どうしたの? なんか一瞬スタッフの方を見て、言葉を濁したけど』


舞『それでは読みます。ラジオネーム「ととのののとと」さんから頂きました』


翠『帰れー』


舞『「ドリムさんお久しぶりです。その近くに座っている人もちっす」』


翠『ちっす、って……大体ととのんだってわかるんだから、十戸倉希でメールくれたらいいのに』


舞『「先週の放送、本当に本当に楽しかったです。特にユメさんが出るとは思っていなかったので、耳が幸せでした。

  でも、同時にある人が憎らしくなってきました。なんで、その場にあたしがいないのか。なんで、翠がそこにいたのか。どうしてあたしを呼んでくれなかったのか」』


翠『私たちも当日知ったから、呼びようがなかったんだけど……』


舞『「考えれば考えるだけ、翠が羨ましいので今日はその日の放送の裏話をしてもらおうと思いましたが、実際に行って話を聞くことにしました」』


翠『ドリムちゃん、私の手元にあるメールと内容が少し違うんだけど』


舞『わたしの方だけ書き換えられていたんですよ。手書きで』


翠『手書きって……』


希『ってことで話を聞かせてもらいましょうか』


翠『ととのん、急に現れないでよ。というか、なんでいるの?』


希『さっき自分で言っていたでしょ? ミドリムラジオのコンセプトは「自由」だって』


翠『確かに言ったけど……今日はね通常回なの。つう・じょう・かい。アンダスターン?』


希『まあ、あたし準レギュラーみたいなものだし? それに今日はゲスト扱いじゃないんだよ。何といっても、ギャラないからね。完全にプライベート』


翠『それもどうかと思うんだけど……』


希『別にドリムちゃんはいいよね?』


舞『なぜか十戸倉さんへの質問も結構ありますから、それに答えてもらえるのであればいいと思いますよ』


希『ほら』


翠『ドリムちゃんがそういうんだったら……』


舞『では、ミドリムラジオ第十五回。今日は3人でやっていきます』


~♪♪♪~


希『先週の事を根掘り葉掘り聞きだそうのコーナー。

  このコーナーは、あたし十戸倉希が満足するまで、翠から話を聞くコーナーです』


翠『プライベートで来た人が何で、コーナーを乗っ取っているのかな?』


希『ちゃんと許可は取っているよ』


舞『自由がコンセプトを否定できなくなりましたね』


希『では、早速。翠の事だから、収録の後遊びに誘ったんでしょ?』


翠『うん。誘おうとして、予定を聞いたよ。そしてフラれたよ。それからカラオケに行ったよ』


希『ん? んー? ととのん、翠が何言っているかわからない』


舞『あれ? 一回断られたんですか?』


翠『うん、桜ちゃんがね「翠さんに遊びに誘われるので、楽しみにしているんですよ」って』


希『なにそれ、やられたい。この後予定あるって聞いたんだよね?

  で、予定があるって言われたから、理由を聞いたんだよね? そしたらそのセリフが返ってきたんだよね?』


翠『すごいね、ととのん。その場にいたみたい』


希『そのご褒美ってどうやったらもらえるの? いくら払ったら、そんなことしてもらえるの?』


舞『たぶん、十戸倉さんと接する機会が増えたら、自然とそんな態度をとるようになると思いますよ。桜ちゃんの素って感じですから』


希『それが難しいんだよね。活動拠点って言われているライブハウスに顔は何回か出しても、話しできたことないし。というか、あたし変装してるし』


翠『ととのん、そんなことしてたんだ……。詳しく』


希『それは後で話すから、まずは先週の話を聞かせてもらおうか。

  カラオケ行ったって言ってたよね。ユメさんいたよね?』


翠『私は歌ってないんだけどね』


舞『なんかごめんなさい。わたしたちばかり歌っちゃって』


翠『それで、すごい発見をしたんだけど、カラオケって自分で歌う場所じゃなかったんだよ。超近距離で行われる、限定ライブそのものって感じ。でね……』


希『まって、言わないで。想像できるから。言われたら悔しくなるから』


翠『で、終始ドリムちゃんとユメちゃんが自由に歌うのを見てたってわけですよ。

  それぞれ歌うのはもちろん、デュエット始めるし。ユメちゃんってなんだかカラオケ慣れしてるっぽかったよね』


舞『ユメちゃんもともと、カラオケで歌っていた人ですから。

  聞いた話だと、途中に15分休憩入れたら丸1日でも歌っていられるらしいです』


希『ユメさんの生歌を一日聞けるって天国じゃん』


翠『私はエデンを見たんだよ……』


希『やっぱり、翠はここでやっておくか……』


舞『先週の話はここまででいいですか? 大体話したと思いますし』


希『最後に1つ』


舞『何ですか?』


希『ユメちゃんはどんな曲歌っていたの?』


舞『ドラマの主題歌から、アニメのテーマソング、アイドルの曲、演歌、洋楽……まあ、いろいろですね。ななゆめの曲は入っていなかったので歌っていませんが』


希『レアい、レアいよー。あーあー』


翠『ととのん、あんまり壊れない方が良いよ思うよ。この番組たぶん、ななゆめの子達聞いているから』


希『ピタぁ……』


舞『2人って、結構似ていますよね』


翠『似ているようで、微妙に違うんだよね。ということで、ドリムちゃん、ととのんへのメール読んじゃって』


舞『わかりました。えっと、じゃあ、ラジオネーム「温泉たまご」さんから頂きました。

  「ドリムさん、翠さん、それからいるであろう十戸倉さんこんばんは」』


希『はい、こんばんは』


舞『「僕は新参者で、十戸倉さんと翠さんをこのラジオで知ったのですが、お二人が仲良くなったのって、いつからなんですか? どんなきっかけがあったんですか? 出来れば教えてください」

  とのことです。わたしもちょっと気になりますね』


希『出会いっていうと、現場だよね』


翠『うん。ととのんが最年少で、私がその次くらいに若い現場だったから、自然と話すようになったんだよね』


希『でも仲良くなったのは、同じ漫画好きだったから。

  二人で盛り上がって、どのキャラが好きかって話になった時に……』


翠『私たちは袂を分かったの。まさか、ととのんが主人公派だったとはね』


希『ライバル派の翠には言われたくないな』


舞『お互い相手の好きなキャラは嫌いなんですか?』


翠『いや、全然』希『ううん、全く』


翠『まあ、以降ことごとくニアミスしててね』


希『でも、おかげで翠が押している人の良さがわかるからいいんだけどね』


舞『最近意見が食い違った事って何かあるんですか?』


翠『そりゃあ、もちろんドリムか、ななゆめかってやつだよ』


希『ドリムちゃんが良い子だっていうのも、アイドルとして頑張っているっていうのも知ってるし、ファンだけど、やっぱりあたしはななゆめ派なの』


翠『そんな、ととのんに空のCDケースを贈呈しましょう』


希『空って……まさか、これは……翠、貴女が神だったのね』


翠『いいえ、私の力では2人分が限界だったの。だから、残りの4人は自分の手で集めるのよ』


舞『翠さんって空のCDケース好きですよね。いつも持ち歩いているんですか?』


翠『色紙とCDケースは常に持ち歩いてるよ?』


舞『まあ、今更驚きはしませんが、次のメールに移りましょう。ラジオネーム「竹馬」さんからのメールです。

 「きっといるととのん、初めまして」』


希『初めまして。でも、あたしのラジオじゃないから、メインパーソナリティーにも挨拶はしといた方が良いよ?』


舞『「ととのんが、ななゆめを好きなことは前々から知っていたんですが、いつからファンなんですか? ななゆめって最近出てきたバンドですよね?」』


希『んー、とりあえずドリムちゃんに翠、なんかごめんね』


翠『まあ、こういうとなんだけど、もっと変なのとか来てるから大丈夫だよ。

  駄目だったら読まないし』


舞『そんなに変なの来てましたっけ?』


翠『ドリムちゃんが見る前に、私が省いているからね。

  そんじょそこらのウイルス対策ソフトよりも厳しいよ。

  で、さっきのライブハウスの話もあるし、どうなのととのん」


希『実はななゆめが、まだ「ななゆめ」って名乗る前から知ってたんだよね』


舞『確かバンド名が決まったのって、半年くらい前ですよね。ななゆめの皆が通っている高校の文化祭にわたしが呼ばれたときですから』


希『あたしが知ったのは、その半年くらい前かな。仕事で前乗りしてたんだけど、暇で何かないかなと歩いていた時に、ライブハウスがあったからフラッと入ったんだよね。

  そこで前座をしていたのが、ななゆめの前身のバンドだったっていうのが出会いかな』


舞『もしかして、男女比が1:1時代ですか?』


希『そうそう。ドリムちゃん良く知ってるね。翠も知らなかったのに』


翠『私はドリムちゃん派だからいいんですー。っていうか、ととのんだって偶々じゃん』


希『偶々じゃなくて、神様が導いてくれたんですぅ、運命ですぅ。

  話を戻すよ。で、他のバンドには悪いんだけど、前座の子達以外の印象がなくてね、ライブハウスのオーナーさんに、彼女たちが出演するときには連絡欲しいって頼んだんだよね』


翠『本人たちに話しかけようとは思わなかったの?』


希『あの時のななゆめって、どこかアンバランスな感じがして、下手に触らない方が良いかなって思ったんだ。

  そのあとちゃんとオーナーさんから連絡が来て、お忍びで何度もライブを見に行っているうちにドはまりしちゃったね。忘れられないのは、ユメちゃんと一年生の2人が初めて出演した時のライブだね。あれは神回だった』


舞『その時も十戸倉さんライブハウスにいたんですか!?』


希『いたよ、いたよ。始まるかと思ったら、急に停電になったんだよ。

  結局トラブルだったのか、演出だったのかわからないんだけど、たぶん前者だね。

  だからこそ、あの時のユメちゃんの歌には感動したね。ヤバかった』


舞『聞いた話ですが、”ユメちゃん”が学校以外で初めて歌ったのがその時だったみたいですね。一応』


希『そうなの。だから今思い出しても泣けてくるよ。ううん、今だからこそ泣けるのかも』


舞『えっと、たぶんその時のユメちゃんは、最高に楽しんでいたと思いますよ』


希『でもね、見ている側としては感動せずにはいられなかったんだよ』


翠『ななゆめと言えば、ある大学の文化祭に行ったときに、ととのんどっか行ったよね。

  私はドリムちゃんのライブ見てたけど、ととのんはななゆめを見てたって、どういうことだったの?』


舞『あの時翠さん来ていたんですか?』


翠『むしろ、なんでいないと思ったの? ちゃんと一般公開するって言ってたよね』


舞『そういわれると反論できませんけど……。ななゆめとあの大学の軽音楽部の人が仲いいらしくて、軽音楽部のライブコンテストに参加していたんですよ。

  わたしも最初だけ見ていました』


希『ななゆめ対決だよね。あれも見ものだったなぁ……。何が良かったかって、久しぶりに男の子のボーカルを見られたことなんだよ。

  翠には言ってもわかってくれなかったんだけど、あのボーカルの子ずっと辞めたのかなって思っていたのに、急に現れて、前よりもずっとずっと上手くなったの。

  彼を見ただけで、あたし泣きそうだったもん。なんか、消息不明だった友人に再会できたみたいな。1回戦でユメちゃんの方のチームに負けちゃって、一曲しか聞けなかったけど、それだけで行った価値はあったよ。時間の都合上最後まで見られなかったんだけど……ななゆめ優勝したのかなー』


舞『優勝したみたいですよ』


希『流石だなー。でも、それ以降またあの子見なくなっちゃったんだよね』


舞『彼が表で歌うことは多分もうないかもしれないですね。部外者のわたしがどれくらい話していいかはわかりませんが、納得したうえで裏方に回ったんだそうです。

  わたしやななゆめの他のメンバーが頼んでも、歌ってくれないんですよね。彼もよく考えた上での現在なので、そっとしておいてほしいです』


希『そっかー。まだ高校生だしね。いつか会えることを楽しみにしていようかな。

  で、なんで翠はそんなに考え込んでいるの?』


翠『え!? あ、えっと。何でもないよ』


希『変なの。まあ、翠が話さないなら、あたしがななゆめについてずっと語るけど』


翠『むしろ、ここまで染めておいてまだやるの?』


希『冗談だよ。そろそろ、良い時間だしね』


翠『良い時間って……本当だ。もう、エンディングになっちゃう。

  それでは、エンディングに移ります』


~♪♪♪~


希『これバックで流れているの、crazy painterだよね。

  ななゆめver.だけど、ずっとこのままでいいんじゃない?』


翠『私もそう思うんだけど、ドリムちゃんが歌っているのが聞きたいから、複雑かな。

  ドリムちゃんとユメちゃんが歌ってくれたら完璧だと思う』


希『それはわかる』


舞『えっと、十戸倉さん今日はどうでしたか?』


希『有意義であった』


舞『それは良かったです』


希『ドリムちゃんと話すと、ななゆめのいろいろな話が聞けて最高だね。

  今度「ととののラジオ」に遊びに来ない?』


翠『駄目』


舞『はは、機会があったら伺わせてもらいます。

  放送内ではあまり読めませんが、メールをお待ちしています。

  ホームページにメールフォームがありますから、そちらから送っていただければ嬉しいです』


翠『一応、全部読んではいるんだよ。

  ってことで、本日最後のメールは「あしあと」さんから頂きました。

 「新年度に入って、新学年も始まったころだと思います。お二人の今年度の目標などがあれば教えてください」だそうです。

  二人って書いてるけど、ととのんも言って帰ってね』


希『ななゆめとの共演』


翠『ミドリムラジオの発展』


舞『えっと、じゃあ大学合格で』


翠『それではミドリムラジオまた来週。そういえば、ととのん2本目にも出てくるの?』


希『今から仕事あるから無理』


~♪♪♪~


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