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ある日世界がタイムループしてることに気づいて歓喜したのだが、なんか思ってたのと違う  作者: ジェロニモ
タイムループ編

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裏路地で男に絡まれて困っている女の子を助けたくはないか?

 僕も男に生まれたからには強くなりたいという願望はある。むしろ溢れ出ている。

特に、ガラの悪い輩に絡まれて困っている女の子を颯爽と助ける、というのは男なら一度は夢見るシチュエーションである。しかしそれも強くなければ不可能なのだ。


「あ?なんだ引っ込んでろ」と殴りかかってきた輩をコテンパンにして女の子からは「キャーステキ」とキラキラした瞳を向けられる。実に良いではないか。


 しかし実際そんな場面に遭遇した時、僕は絡む輩に立ち向かうより、見て見ぬふりをして女の子を見捨てる可能性の方が圧倒的に高い。なぜなら僕が弱いからだ。


 まずガラの悪い輩は見た目が怖いし、相手が格闘技経験者だった時には僕はボコボコにされた顔で涙をながしながら土下座させられ、女の子に惨めな姿を晒すことになるだろう。なんなら恐怖のあまり失禁してしまうかもしれない。

 だから僕のようなへなちょこ男にとって、夢のようなシチュエーションとは、所詮夢でしかないのだ。


 だが今の僕には無限とも言えるほどの時間がある。このループの中で気の済むまで修行しまくれば、僕も格闘技経験者を指先一つで弄べるくらいまでに強くなれるのではないか。天才的な僕はそんな天才的は発想をしたわけである。

 

 しかしその考えには一つ問題があった。それはループの度に僕の記憶以外のことは全てリセットされてしまうということだ。そこには眠気や身体的疲労、痛みも含まれる。

 つまるところ、筋トレをしても筋肉を増やせない。体を鍛えられない僕はマッチョメンになれないのである。


 これではいかん。僕がガラの悪いチンピラ野郎に失禁号泣土下座をして、女の子からゴミを見る目を頂戴するという未来のビジョンが見えた。


 なので僕はまた考えた。筋力だけが喧嘩の強さを決めるわけではない。格闘技には技というものがあるじゃないか。

 特に武術などは元々力のないもの、体格の優れないものが自分より優れた相手に勝つために作られたという話を聞いたことがある気がする。

 

 そういった数々の技を身につければ、貧弱ボディのままでも僕はムキムキマッチョメンにも勝てるようになるのではないか。 夢のシチュエーションを現実にできるのではないか。目指すは筋肉ゴリラではなくスマートな武の達人である。

幸い今のご時世ネットで検索すれば色々な技を観れるので資料には困らない。


全てはいつか女の子にキラキラした憧れの眼差しを向けられるために。やってやろうじゃないか。


 僕は決意を固めて自分の頰を平手で叩いた。ジンジンと痛む頰にクラスメイト達の視線が刺さるが、度重なる奇行を繰り返してきた事でそのような視線も向けられ慣れてきていた。

 ふん。ことごとく僕を振った女子共め。強くなって頼り甲斐満載になった僕を見て、なんて自分の見る目がなかったのかと後悔するが良い。僕はメラメラと負の感情を燃やした。


 ということで、僕は手始めに感謝の正拳突きに励むことにした。



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