第76話 虹色の噴水を抜けて、入学式の講堂へ
広大な学園の敷地を、さらに歩いていく。
やがて、目の前に大きな噴水が見えてきた。
水晶のように透き通った水が、空高く、噴き上げられている。
水飛沫が太陽の光を浴びて、きらきらと虹色に輝いていた。
入学式は、確かこの先の一番大きな建物よね。
ホールのようになっている、講堂のはずだ。
私が噴水を回り込んで、その巨大な建物に近づいていく。
すると、それまで静かだった周囲の雰囲気が、急に変わった。
たくさんの新入生たちが、緊張した面持ちで、あるいは期待に満ちた表情で、次々と講堂の中へと吸い込まれていくのが見える。
皆、私と同じ新入生たちだ。
誰もが、フリルやレースで飾られた真新しい服に、身を包んでいる。
私は、少しだけ不安になる。
だけど、すぐに首を横に振った。
服がどうとか、家柄がどうとか。
そんなことで、私は下を向かない。
私は、私の実力で、ここに立っているんだから。
私はその人の流れに合流すると、講堂の入り口にたどり着いた。
そこには、受付が設けられている。
「失礼します。新入生の、エリス・フォン・アーベントです」
私がそう名乗ると、受付にいた上級生らしき女性が、にこやかにリストを確認した。
「はい、エリス様ですね。こちらに、手のひらをかざしてください。簡単な魔力検知で、本人確認を行います」
私は言われた通り、水晶のプレートに手をかざす。
プレートが、淡い光を放った。
「はい、確認できました。講堂の中は、自由席となっております。お好きな席にお座りください」
「ありがとうございます」
私は礼を言うと、いよいよ講堂の中へと足を踏み入れた。
中は、想像を絶するほどの広さだった。
高い天井、壁を埋め尽くす美しいステンドグラス。
その無数の座席は、すでに多くの新入生たちで埋まりつつあった。
私は、あまり目立たないように、後方の端の席に、そっと座る。
一体、どんな出会いが待っているんだろう。
私は高鳴る心臓を抑えながら、そわそわと、式の開始を待つのだった。
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