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72.

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。


 案内された場所は、宮殿の裏手に広がる聖域だった。

 そこにそびえ立っていたのは、見上げるほどの巨木――『叡智の大樹』だ。

 その幹は城壁よりも太く、枝葉は空を覆い尽くすほど巨大だ。本来なら、その葉の一枚一枚が知識を宿し、妖精族の歴史を語るはずの場所。


 だが、今のその姿は異様だった。


 灰色だ。

 幹も、枝も、葉も。全てが石化したように色を失い、完全に静止している。

 風が吹いても葉の一枚すら揺れない。

 まるで、そこだけ世界の時間が切り取られたかのような、死の世界。


「……こいつは」


 俺は大樹の根元に近づき、手をかざした。

 指先に伝わるのは、拒絶の波動。

 物理的な壁ではない。時間と空間の概念そのものが、ここで断絶されている。


「分かりますか、リクト様」


 オベロンが沈痛な面持ちで尋ねてくる。

 俺は眉間のシワを深くし、頷いた。


「ああ。間違いない。……これ自体が『久遠封縛くおんふうばく』だ」


 俺たちが求め、フレアに施そうとしていた封印術そのものが、目の前の図書館にかけられているのだ。


「なんじゃと!?」


 俺の言葉に、背後をついてきていたカーミラが素っ頓狂な声を上げた。

 彼女はコウモリのような羽をバサつかせ、目を丸くしている。


「それは神々が魔神を封じるための、失われた奥義じゃろう!? なんでこんな田舎の図書館にかかっておるんじゃ!」

「俺に聞くな。……オベロン、一体誰の仕業だ」


 俺が問い詰めると、オベロンは憎々しげに空を見上げた。


「……『天使』です」

「なに?」

「数年前、突如として飛来した天使の群れが、我らの図書館を襲撃しました。奴らは中の書物を奪うでもなく、ただこの術式を施し、叡智ごと封印して去っていったのです」

「天使が、なんで……?」


 俺の中に、冷たい違和感が走る。

 おかしい。

 『久遠封縛』は、強大すぎる魔力(=天使や魔神)を封じるための檻だ。

 それを、当の天使たちが使った?

 自分たちを殺すための毒薬を、自分たちが管理しているようなものだ。


(……嫌な予感がするな)


 天使たちは、この術式を知っていた。

 それどころか、自在に使いこなしている。

 もしかすると奴らは、自分たちの弱点となるこの術式が、人間に――あるいは他の種族に知られることを恐れたのではないか?

 だからこそ、詳細が記されたこの図書館を「封印」し、誰も閲覧できないようにした。


「……なるほどな。パズルのピースが少し嵌った気がする」


 俺はニヤリと笑った。

 この封印を解けば、天使に対抗する手段(奥義書)が手に入るだけでなく、奴らが隠したがっている「不都合な真実」まで暴けるかもしれない。


「リク様……いかがなさいますか。この術式は神の御業、解除するなど不可能に近いですが……」

「不可能? 誰に向かって言っている」


 俺は一歩、灰色の結界へと踏み出した。


「中にお宝(奥義書)があるなら、こじ開けるまでだ」


 俺の掌に、膨大な魔力が収束していく。

 天使がかけた絶対の錠前。

 それを破壊できる鍵があるとしたら、それはことわりすらねじ曲げる俺の力(暴力)だけだ。


「下がってろ。……神話の封印ごと、ぶち壊してやる」


【おしらせ】

※2/11(水)


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