魔人の狂想(42)
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それから、俺たち三人はブティックでいろいろ服を試着してはセーブして、いろんな服を着飾るのを楽しんだ。
正直、今は服を何着も買えるほどお金がなかったので、値段を見ては顔を顰めたりをしていたのだが、そんな様子の俺たちを見た店員さんが、どういうわけか半額にしてくれるというサービスを提示してくれた。
おそらくは、俺たちの様な美少女たちがこの店の服を着て歩けば、効果的な広告塔になる、とでも踏んでのことだったのだろう。
……と思っていたが、実際はどうやら、事前にロゼッタがそうなる様交渉していたらしい。
天才的な魔道具技師は、どうやら作るだけが専売特許というわけでもなさそうだ。
そんなわけで、手持ちの現金では買うのが難しそうだった最初のあの衣装を購入し、三人揃って店を出るのだった。
「服を買うのがこんなに楽しかったなんて、初めて知ったよ」
俺は青いケープコートを翻しながら、そんな風に口を開いた。
今の俺たちは、あの店で買った服をそのまま身につけて歩いている。
元々着ていた服は全て俺のストレージの中に回収済みだ。
「そう。喜んでくれたならよかったわ」
ちなみにあの店で服を買ったのは、俺とロゼッタだけではなく、もちろんそこに彼女も含まれていた。
白を基調とした肩を見せるデザインのブラウスに、黒のプリーツスカートに、胸を強調する様なデザインのコルセットベルト。
その上から羽織るように、これまた肩を出すデザインの黄色いロングコートを羽織り、胸元をベルトで留めている。
シンプルだが、なかなかかわいらしいデザインだ。
「うちも、服なんていっつも適当やからこんな楽しいなんて思いもせんかったわ……。
あと、こんなに高いとも思わんかったわ……」
乾いた笑いが最後に付け足され、ちょっとだけ現実に引き戻される。
そんな風に話しながら街を歩いていると、不意にあるものが目に止まった。
「これは……」
ある武器屋のショーウィンドウ。そこに飾られていたものを見て、俺は足を止める。
「ん、どしたん急に止まって?」
「あぁ、いや。そろそろ武器も新調したいなぁって思ってさ」
小首を傾げて見せるロゼッタに、俺は自分の剣を抜いて見比べながら応える。
俺の使っている『ショートソード』は、長さや重さは申し分ないのだが、いかんせん、初期装備だけに攻撃力がかなり低い。
今のままではこれから先攻撃力に不便するだろうし、それでなくても、今よりもっと強い武器が目の前にあれば、それを欲しがるのもプレイヤーとしても道理というものだろう。
「んぁー、確かに、その剣はちょっとマーリンの戦闘スタイルと合ってへんもんなぁ。
握りも微妙に合ってへんみたいやし」
見比べながら、ロゼッタがそんな風に指摘する。
「え、ロゼッタ。あなたそんなことまでわかるの!?」
「ん、まぁ。
うち魔道具作りが専門やけど、厳密に言うたら魔道兵器やからなぁ。
あ、良かったらうちがええのん作ったろうか?」
「えっ、いいの!?」
魔道兵器専門、というのが初耳で驚いていたその上から、さらに予想しなかった提案を繰り出してくるロゼッタに、俺は目をぱちくりさせた。
彼女の作る武器と聞いて真っ先に想像するのは例のレールガンだが、果たしていったいどんな武器になるのだろうか?
「へへん、任せときんしゃい!
ついでにアリスのんもいい感じのん作ったるわ!」
「ホント!?
やった、嬉しい! ありがとうロゼッタ!」
横から少し羨ましそうにしていた彼女の視線に気が付いたのだろう。自信満々にそう告げてみせるアリスに、ロゼッタは嬉しそうに胸を叩いた。




