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【43】いや、好きですけどね。


「疲労と、風邪でした」


 診察の間、ドアの外で待っていた所、セバスが出てきてそう言った。


「若いとは言え、普段からの無理と昨日の浜辺の風に当たりすぎましたかね……もう初冬の海でしたし……」

 私はしょんぼりして言った。


「……まあ、そうでしょうけど。最近、奥様に会うために仕事の回転率あげられてましたので……それもあるかと(コホン)」


「え」


 アベル様、私と会うためにそんなことまで!?

 も、もう……。


「……口元が緩んでますよ」


「はっ」


 セバスが淡々と無表情で言い放ってきた。

 旦那様の無表情って絶対セバスのこの表情が伝染ってるよね……。



「……えーっと……あの。私ができることなら、私が代わりに仕事をしますが」


「……いいえ」

 セバスは首を横に振った。


 ……しょうがないか。

 新参者に仕事を任せる場合、教えるところから始めないといけないし、かえって手間かかったりするよね。


「仕事のほうは、私が代行できるものはしておきます。……それより、旦那様の看病をお願いします、奥様」


「わかりました。引き受けます……が、旦那様を本棟のお部屋にお連れしましょうか?」


「いえ、こちらで大丈夫かと。本棟にいると仕事し始めるかもしれませんし」


「あ、なるほど。わかりました。ベッドに縛り付けておきますね!」


 そう言うとセバスが苦笑した。

 珍しい。笑ったぞ!


「旦那様は熱があっても仕事なさいますからね。ちょうどいい機会です。強制休暇です。……奥様が居てくださる事ですし、ストレス解消になることでしょう」


「……まあ別棟にいれば仕事に触れられないので、気分転換にはなりますよね!」


「ところで……私、思うのですが、奥様」


「なんですか?」


「旦那様との今の関係ですが……もう半年の契約終了を待つ必要もないのでは? 旦那さまと大層仲がよろしいように見受けられます。このままミリウス家に骨を埋められては?」


「ぁい!?」


「どう見ても仲睦まじい夫婦にしか見えません」

「いや……しかし。それは努力をしているからで」


 たしかに、もうだいぶ好きだ。とても好きだ。このまま結婚してたい。しかし。


「一生努力すればいいんじゃないでしょうか。使用人一同、すでに結婚式の指示をお待ちしているのです。なのでここで旦那様と骨を埋めましょう、奥様」


 セバス!! あまりにも態度が一変し過ぎでしょ!?

 というか心中するみたいな言い方やめて!?


「何より旦那様があなたをこのまま妻として迎えたいと仰って――」


「えーっと、世間ではこういうとき、『今更もう遅い!』、とか言うんですけど」


「そうですか? 『今更もう遅い』、とは私は思っていません。見た所、『全然余裕で間にあった上に、恋い慕ってしまった』ように見えます。旦那様のこと、好きでしょう?」


 セバスの口角が上がっておる!


「は、はあ!?」


「嫌いなんですか? 違いますよね? 地下洞窟から危険な場所にいる旦那様のところへ、すっ飛んでいくくらいには」


 せ、セバス……!!

 この老獪ろうかいめ……!!


「セバスさんんん!!! 仕事があるのでは!! 本棟へお帰りください!!」


 私は顔を真っ赤にしてセバスを追い出した。

 セバスは和やかに笑っていた。うぐぐぐ!!


 余計な口出しやめてくれますかね!?


 まだ!! トライアル期間ですから!! いや、好きだけど!!

 



読んでくださりありがとうございます。

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