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天才魔法オタクが追放されて辺境領主になったら、こうなりました ※第1部完  作者: 優木凛々
第3章 魔法陣解析

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07.結界修復

 

 謎の地下から戻ってきた翌日から、アリスは再び魔法陣の分析にのめり込んだ。


 謎の地下でメモしてきた魔法陣と、古城地下の魔法陣を見比べながら、



「やった! わかる! わかるよ!」



 とテンション高く叫ぶ。


 ちなみに、この魔法陣の動力は、地下深くから吸い上げている魔力であることが分かった。

 裏にある魔法陣で吸い上げ、それを表に流すことにより結界を維持しているのだ。



「これって、つまり、ほぼ永久機関ってことだよね」



 アリスは心の底から感心した。

 地下深くを魔力が流れていることは知られているが、吸い上げる方法なんて聞いたことがない。



「すごい技術力だよね、100年どころか500年くらい先をいってる」



 そうなると不思議なのは、この場所が一体何なのかということだ。


 ボロボロの古城を見た時は、滅んだ文明の跡かと思ったが、

 ドラゴンを弾くほどの結界魔法や、転移魔法陣など。

 そう簡単に滅びるとは思えない。



「ここにいた人たちってどこに行ったんだろう……?」



 気になるのは、あと3つある転移魔法陣だ。

 おそらくそれぞれ違う場所につながっているだろうから、ここにいた人たちの現在の住処につながっている可能性もある。



「あの持ってきた地図も、つながっている先の地図かもしれない」



 転移陣を動かしてみたい欲望に駆られるものの、アリスは首を横にブンブンと振った。

 一人で転移するのは危険だ。



「……とりあえず、魔法陣を修復しよう」



 そう自分に言い聞かせて、再び結界の魔法陣の分析に没頭する。




 *




 そして、アリスとテオドールが、謎の廃墟から戻って来てから、約2週間後。

 天気の良いお昼過ぎ。


 黄金色に輝く結界の大魔法陣の前に、

 緊張の面持ちのアリスが立っていた。


 その後方、入口近くにはテオドールが立っており、

 こちらも緊張の色を浮かべている。


 今日は、結界の魔法陣を修復する日だ。

 昨日とうとう全ての解析が終わり、今日修復する運びとなった。



 アリスは深呼吸した。

 昨日まで寝不足でフラフラだったが、今日はぐっすり寝たお陰で元気になった。

 魔力も満タンで、体調もいい。


 アリスは後ろを振り向いた。

 テオドールが軽くうなずく。



「……よし、やるよ」



 アリスは、気合を入れるように、頬を両手でパンと叩いた。

 袖をまくってしゃがみ込むと、両手で魔法陣に触れる。



「……では、いきます」



 彼女は息を小さく吐きながら、ゆっくりと魔力を注ぎ始めた。

 魔法陣とアリスの体が、同じ金色に光り始める。



「ゆっくり……ゆっくり……」



 そうつぶやきながら、アリスは魔力を注ぎ続けた。

 正しい魔力の流れを意識し、少し弱くなっている部分に念入りに魔力を注ぐ。


 そして、弱くなっている部分が補強され、魔力の流れがスムーズになった――その瞬間。



 ぶわっ



 魔法陣がまばゆいばかりの黄金の光を放ち始めた。

 魔力を帯びた風が吹き荒れる。



「……っ!」



 あまりの風の強さに、アリスはとっさに目をつぶった。

 薄目を開けると、周囲が黄金の光に満たされているのが見える。



「アリスさん!」



 後ろからテオドールが飛んできた。

 アリスを抱えて壁際に避難させる。


 テオドールに抱えられながら、アリスは薄目を開けて魔法陣の様子を見た。

 黄金の風が吹き荒れており、目が潰れそうなほどの輝きを放っている。



(だ、大丈夫かな、これ)



 間違いがないとは思うものの、あまりの凄さに心配になってくる。




 ――そして、しばらくして。


 ふっと光が消える気配がした。

 風が止む。


 アリスがゆっくりと目を開けると、そこには前とは比べ物にならないほど美しく輝く魔法陣があった。

 魔力の揺れは一切なく、ただ静かに流れている。



「や、やった……」



 アリスは、脱力してテオドールに寄りかかった。

 ほう、と息を吐くと、ホッとした気持ちで黄金色に輝く魔法陣を見つめる。


 そして、



「……っ! やった! とうとうやった!」



 アリスは喜びを一気に爆発させた。

 テオドールの腕をすり抜けると、踊りながら何度も万歳をする。


 そんなアリスに、テオドールが微笑んだ。



「やりましたね」

「うん! テオドールのお陰だよ! ありがとう!」



 2人、笑顔で拳をコツンと合わせる。



 *



 その後、アリスたちが地下を出ると、外はちょっとした騒ぎになっていた。

 魔力がある程度以上ある者は、魔法陣が修復された際の波動を感じたらしい。



「急に、ぶわっと何かが横切った気がする!」

「なんかすごかった!」



 口々にそんなことを言い合っている。


 結界内の空気も良くなっており、中庭を爽やかな風が吹いている。

 子どもたちも何かを感じているのか、どこか嬉しそうに走り回っている。





 *




 そして、とっぷりと日も暮れた、その日の夜。

 オレンジ色のランプの光に照らされた一室で、会議が行われた。




(つづく)



お読みいただきありがとうございました!


それと、誤字脱字報告、ありがとうございます。

いつも助かっております ̗̀ ( ˶'ᵕ'˶) ̖́-



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