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天才魔法オタクが追放されて辺境領主になったら、こうなりました ※第1部完  作者: 優木凛々
第2章 謎の古城

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18.2つのピアス


本日2話目です。


 

 エントランスから出て外に出ると、空は既に明るくなっていた。

 朝の爽やかな風に中庭の野菜の葉が静かに揺れている。



「朝だね」

「ええ、結局徹夜してしまいましたね」



 アリスは、大きく伸びをすると欠伸をした。

 外に出てホッとしたせいか、急に眠くなってくる。


 彼女はテオドールと並んで廊下を歩き、部屋に戻った。


 ベッドに座ると、目をこする。

 眠くて仕方ない。


 目をシバシバさせるアリスに、テオドールが気遣うように言った。



「俺はちょっと出てきます。ビクトリアさんにも言っておくんで、アリスさんは寝てください」

「……うん、ありがとう」

「あ、それと」



 テオドールが、ポケットから何か取り出した。

 アリスに手渡す。



「これ、落ちてました」



 見ると、それはアリスがいつも付けているピアスだった。



「あれ、これどこにあったの?」

「最初に入った部屋の中です」



(いつの間に落としたんだろう)



 そう思いながら、アリスはお礼を言って受け取った。

 彼が部屋を出て行くのを見送る。


 そして、なくす前にピアスをつけようと、髪の毛をかき分けて耳を触って――――



「……あれ?」



 アリスは固まった。

 耳にはすでにピアスが付いている。



(え、どういうこと……?)



 それを耳から外して、テオドールから受け取ったものと並べてみて、彼女は呆気にとられた。


 目の前にあるのは全く同じピアス。

 まるで、右と左、対のようだ。



「…………は? …………え?」



 固まる彼女の脳裏に、養父であるビクターとの会話がよみがえった。



『あたしのピアス、どうして片方だけなの?』

『うちに来た時は、片方だけだったんだよ』

『ふうん、そうなんだ』



 対としか思えない2つのピアスをながめながら、彼女は呆然とつぶやいた。



「これって、どういうこと……?」



 胸の奥が、ひやりと冷える。



 外から、朝を告げる鳥の鳴き声が聞こえてくるが、

 アリスには、それがやけに遠く感じられた。






本日はここまでです。

お読みいただきありがとうございました ̗̀ ( ˶'ᵕ'˶) ̖́-


誤字脱字報告ありがとうございます。

大変助かっております!

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