13話 神の用意した奇跡
どこかの国が行った実験により、無理やりこじあけられた空間。向こうからこちらへ這い出たものと同じ質量の黒い物体が世界中に降り注ぎ、それらは生き物を引き込むように押し縮めていく。
降り注いだ黒い物体は全世界の人間の数だけあったわけではない。当然免れた人々も沢山いた。いや、免れた人々の方が多かった。しかし生物を丸めて吸い込んだ空間はやがて合体を始め大きな空間の歪みに成長していった。それはどんどんと捻れ広がり周りを巻き込み飲み込んでいく。安堵した人々だけでなくそこにある全ての物を吸い上げて今度は小さく小さく縮んでいく。地球は内へ内へとひしゃげていった。最後には月も巻き込み、そこには何もなくなった。
神はきまぐれに奇跡を用意した。
1度目はスキルの奇跡。2度目は選ぶ事がむずがしい未熟な人間(幼い子供)を救済するための奇跡。
幼な子にはスキルではなく『守り』を与えた。
『守り』は空間であった。
スキルの代わりにその者がその時に存在した空間を切り離し与えた。
幼な子はその時に居た部屋ごと転移をした。その部屋は守られている。
それらは子供が居た部屋であったり、保育園や幼稚園、産院や小児病棟などの一室でもあった。
移動中の車など乗り物の空間ごと、消え去る運命の星(地球)から新たな世界へと切り離し転移が行われた。
しかし空間に幼な子がひとりきりだった場合、奇跡の授与は行われなかった。なぜなら、転移した新しい世界でひとりで生き残るのは難しいと判断されたからだ。
そしてまた、奇跡のおこぼれをあずかれる者も居た。それは偶然にも幼な子と同じ空間に居た者達だ。




