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煙と熱
雨が上がったばかりの夜、窓の外はまだ濡れていた。
俺は彼女の背中を抱き、ゆっくりと腰を揺らす。
彼女の吐息が熱く、俺の首筋をくすぐった。
ベッドの横に置かれた灰皿には、火のついた煙草が一本。
ゆらゆらと立ち上る紫煙が、部屋の空気に溶けていく。
俺は、熱に浮かされながらも、時折、煙草に視線をやる。
もう、そろそろだ。
そう感じた瞬間、俺は煙草を掴み、荒々しく灰皿に押し付けた。
ジュッ、と小さな音を立てて、火が消える。
その瞬間、彼女が身をよじる。
「んっ……!」
俺は、彼女の熱に、すべてを解き放った。
同時に、彼女も、熱い吐息を漏らしながら、俺の腕の中で絶頂を迎えた。
互いの身体が、ゆっくりと弛緩していく。
俺は、まだ少し熱の残る唇を、彼女の唇に重ねた。
煙草の匂い。
汗の匂い。
そして、愛しい彼女の匂い。
全てが混ざり合い、俺の心を満たしていく。
雨上がりの世界は、まだ冷たかったけれど、俺たちの間には、熱だけが満ちていた。




