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二角、ナロ様に会う

 ざっざっざっ(勇ましく歩く姿)


 私はスマホ1つしか持たずにダンジョンをさまよい始めた。


 なろうダンジョン(小説家になろう)に登録をしたものの右も左も分からない。


 とにかく文字を書いてはお話を進めていく。


 登録するとすぐに職業がついた(RPG的職業)


 職業:底辺なろう作家


 他のスキルは何も持っていない、ずぶの初心者である。


「ほーっほっほー」


 フクロウにしては不自然な鳴き声をしながらダンジョンの崖の上のくぼみに留まりながら私を見下ろしてくる。


 私は目を細めてそのフクロウを見つめた。


「旅先案内人か。ちょうど良かった。迷っていたところなんです」


 フクロウは翼を広げると優雅に旋回しながら下りてくる。それを見た私は布を巻いた腕を前に突き出した。


 ふわっ


 フクロウは私の腕に留まる。


 ほう、これはなかなか絵になるな。すでに人気が出た予感。


「ほっほっほっ、何を馬鹿なことを考えているのじゃ。私はなろうダンジョンに住むナロじゃ。そなたはナロ様と呼べ」


 図々しい物言いだが、彼は紛れもない先達者であり、なろう先輩なのでナロ様に従う。


「ナロ様、このダンジョンはどういったものでしょう」

「そなたの望むものが得られるまで、同じ層を彷徨くことになる。そしていつしかレベルを上げて下の層へと旅立つのじゃ」


 私は大きく頷いた。そしてスマホの【作品の作成・編集】ページを見る。


 私が持っている相棒は1つ。


 いけっ初投稿作品!!


 ぼふん、と煙を立てて何かが出てきた。煙が横へすぅーと動きながら消えていくと、ヘルメットを被ったひよこ軍団がいた。


 それを見たナロ様は満足そうに笑った。


「ふぉっふぉっふぉっ、さすがはずぶの素人じゃ。安全第一のひよこじゃな」


 長編だからかひよこ軍団は意外と数が多い。そのひよこたちはわらわらと四方へ気ままに散っていく。


 お前らよ、1つの作品なんだか統率を取らんかい⋯⋯って自由気ままに書いたんだった。しかもお話の運びが分からないので、セリフばっかりで進行したんだった。


 これではひよこが何処かに行ってしまうのは仕方のないことだ。


「さすがは右も左も分からない書き手が書いた話じゃな」


 ナロ様がそう呟いていると、ダンジョンの部屋へとやって来た。


 見た目はガラリと変わる。


 ジャンル:ローファンタジー


 系統:バトルもの(割とガチで戦っている)


 舞台:戦国時代っぽい感じ


 登場人物:忍者


 攻撃力:セリフばっかり(読みにくいな)


 特殊能力:熱意は100点満点(伝わらない)


 一応、初投稿作品はこんな感じにまとまった。


 次回予告(もう?) デデーン♪(なんか凄い音)


 とりあえずひたすら書いている二角。初めは30話(30羽のひよこ)を持って、ローファンタジーの世界へと踏み込む。その初期に起こる伝説・初期ブーストに会うことは出来るのか?

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