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タイトルと世界観で大コケした作品のその後っていりますか?

 私は地面に伏してうなだれていた。近くにいるはずのナロ様は私に声をかけてこない。


「タイトルと世界観で大コケした作品のその後っていりますか?」

「それ大コケじゃない⋯⋯多分通常運転⋯⋯じゃ⋯⋯」


 今までで1番言葉が詰まっているナロ様。


「えっうそだ⋯⋯」


 私は大コケだと思っているよ。

 だってあんなにPVも少なかったし⋯⋯。


 評価がついた時は思わず泣きそうになった。


「今回の作品は時間をかけて作ったんです⋯⋯」

「⋯⋯ほう」


 時間をかけた分、PVも評価もほとんど無かった。


 前みたいにひっそりとしている。


 他の作品よりも時間をかけて世界観を練り、作り上げた⋯⋯その分悔しさは込み上げる。


 胸が苦しくなる私は力なく地面に頰を付けた。


 近くでは産まれたばかりのヘルメットひよこがよちよち歩いている。


 こいつ石ころとかに躓いたら転んじゃうんしゃないか?


「二角よ、それで何か言いたいことがあるんじゃろ? 話を聞いてやろう」 

「ナロ様ー! 聞いてください、あまり人気の無いジャンルだったのかなと思うのです」


 私の数少ない作品を振り返る。


 今回のお話は転生し続けるという「死生観」がない世界。


 そこに持ち込まれた“突然の死”。

 それに対して説明は簡潔にしようと思ったけど説明感は拭えない。

(後に説明部分は全部削除しました。)


「私の中では、“悲恋”と“死”は一般的に評価が難しいものかと感じました」


 私は心が潰されそうになるのを耐えながら、なぜかナロ様の前で正座している。


「それでも⋯⋯それでも名前に意味を持たせて、私なりにお話は綺麗にまとまったと思ったんですよ⋯⋯分かっています⋯⋯ただの嘆きなんです」

「⋯⋯」


 私は悲しみからナロ様に、聞かれてもいない設定を説明する。


 この短編に出てくる主人公のグレイブという名前はグレイブが由来。

 そこで出会うミッシェルはミカエル(大天使)の意味から。


 死生観の無いという世界観の中で主人公たちが1番それに関わっているという対比のようにしています。


 ちなみにネタバレになりますが、最後にミッシェルが転生した先の名前はコニー・リーパー。


 コニーは古語で野うさぎを表す言葉だそうで、イースターバニーからも来るように生命力という意味をかけています。


 そこにリーパーは死神であるグリムリーパーをかけています。


「でも世界観が受けなかったのかなぁ⋯⋯?」


 でもここから世界観とったら何のお話になるんだろう⋯⋯。


 これが料理だったら

 ただでさえ変なスープなのに

 スープを取っちゃってただの具材ですよ。


 私はすっかり何かの沼に片足突っ込んでしまった。


 ナロ様は私が何かを聞くまでは静かに聞いていてくれるらしい。


 私は書く技術を上げたくて短編を書き進める⋯⋯。


「ナロ様、短編の文字数ってどう思います? 5000〜8000くらいが読みやすいと思うんですよね」


 ちょうどクレアが辺りだった。


「まぁ、読みやすいボリュームだと思うぞ。ただ⋯⋯」


 私はナロ様の話を聞かずに短編を、書き始める。 


 まずは短編(異世界変愛)。

 内容からもやっぱりこのジャンルが書きやすい。プロットを作ってなるべく書きぶりに気をして書いたつもり。


 タイトルは

 隣国のピエロ王女と自国の影法師王子の幸せな結婚

(後に、「傾国の王女と王子、実際に国を壊したその後」と改題)


 ⋯⋯その後もわずかながらつけてもらえた評価に感謝しつつも思ったより私は評価のつかないことに落ち込んでいる。そこへあることを発見してしまった⋯⋯。


 本当に個人的なことですが

 私の零細短編に評価(多分★5)をつけて下さった方が、退会したのか5作品くらいポイントが減りましてね⋯⋯


 二角の作品はポイント少ないんだから気がついちゃいますよ!


 その方は一体どうされたのかは分かりませんが、その方に思いをはせて⋯⋯


「ちょっと疲れたんで、自分の好きな内容で、お話を書きます」

「おっおう、良いんじゃないか?」


 最近ナロ様は私のぐだぐだっぷりに遠巻きの様子。


 多分変なループに入っていることに気がついているんだ。


 お話を書く→評価されない→悲しみをお話を書くことで紛らわす


 の地獄ループを繰り返し。


「それでもクレアのおかげで読んでくれる人もいるじゃろ?」

「そうなんです! 知らなかったけど、クレア以降私をお気に入りに登録してくれる人もいるようで、嬉しいを通り越して驚いていますよ」


 そう、見てくれる人はいるのだ。


「それなら書いて書きまくるしかない! ナロ様そうでしょう?」

「⋯⋯まぁ、やってみるのじゃ」


 この後、先が見えない第2層にもがくことになることを私はまだ知らなかった。

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