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張偉は祖国を裏切らない

 大統領の口から語られた真実はあまりにも衝撃的過ぎた。まさか50年前の大衝突が人為的に引き起こされた大災害であり、現在も未だ、世界はたった一握りの人間たちによって支配されているだなんて、誰が想像ついただろうか。


 あの大衝突によって、祖国は数億にも上る民間人の犠牲を強いられたにも係わらず、ジェノサイド国家の汚名まで着せられたのだ。いや、祖国だけじゃない。その祖国と戦ったルナリアンなど、世界ごと貶められているではないか。


 こんな身を引き裂かれるような理不尽が、たった一握りの者たちの都合によって起こされたのだとしたら、そんなことが許せるだろうか。その両方の世界の混血児である自分だからこそ言える。こんな間違った世界は正さねばならない!


 だが……


「大統領……あなたの話は理解しました。俺も大衝突を引き起こした連中のことを絶対に許せないと思ってる」

「そうか! なら頼まれてくれるか?」

「いや、俺も許せないし、そいつらを倒したいという気持ちは同じだ。だが……俺があんたに協力したらどうなる?」

「……どうなるとは?」

「もしもメリッサを手に入れたとして、あんたは具体的にはどうやって50年前のアメリカの間違いを正すつもりなんだ。この真実を世界に公表して、俺の祖国に賠償でもするのか。ルナリアンたちを元の世界に戻してくれるのか。今、不遇をかこつ全ての者達が救われると、あなたは約束できるのか? あなたはただ協力しろと言うだけで、具体的なことはまだ何も語っていないじゃないか」


 大統領は暫しの間、じっと張偉のことを観察していたが、やがてなるほどと鷹揚に頷きながら、


「ただ感情のまま突っ走ったりしない、中々見どころのある青年だ。君は政治家向きかも知れないな。確かにそうだな。協力を得たいなら、こちらも条件を受け入れなければならない。まず、ルナリアンが元の世界に戻りたいと言うなら、私は協力は惜しまないよ。ただ、そんな方法があればの話であるが。今のところ私には分からない。それから、君の祖国への賠償だが……これは難しい」

「やはりか」


 予想していた通りだったから、張偉は別段驚くこともなかった。大統領は彼の冷たい視線を受けながら続けた。


「残念だが、もしもこの事実を公表すれば、世界は大騒ぎになる。特に中国人たちの反発は想像を絶するだろう。すぐに戦争が始まるとは言わないが、もはや回避するのは不可能だろうな。私は合衆国大統領として、それだけは絶対に阻止せねばならない。その代わり、もう誰にも決して君の祖国が傷つけられるような真似はさせない。それだけは約束しよう」

「しかし、それでは今不遇をかこっている者たちが救われることもなくなる。俺の母も、学校の連中も、故郷を追い出された何億もの人たちも。彼らは何も悪いことはしてなかったはずだ」

「起こってしまったことはもう仕方なかろう。君は君の祖国が、今もどれだけの核兵器を保有しているか知っているのか。もし米中で戦争が始まれば、ただでは済まないぞ。最悪の場合、世界が滅びる可能性だってあるだろう。そうなってしまっては、君も、君の母親も、君が救おうとしている全ての者達が不幸になるだけだ」


 大統領は言い切った。その主張は大統領として至極当然のもので、張偉も納得できるような気がした。


「だが、マグナム・スミス大統領。50年前に大衝突を起こした連中も、今のあなたと全く同じ理屈だったじゃないか。彼らは必要以上に祖国を危険視して、何をしてもいいとAIに命じた結果があの大災害だ。そんな連中と今のあなたと、どこが違うというのだ? もしもあなたにメリッサを託せば、また同じことが起きるんじゃないか。


 あなたなら上手くいくなんて保障はどこにもない。やはり真実はどんな形であっても白日のもとに出さねばならない。良かれと思ってついた嘘でも。一つ嘘をつけば、二つ。二つは三つ。そうやって嘘が増えていき、いつか雁字搦めになってしまう。もし俺がそうなった時、自分が正しい判断が出来るとは思えない。大統領、あなただってそうだ。今のままでは、俺はあなたに協力できない」


 張偉は大統領の目を真っ直ぐ見ながら言い切った。まさか子供に諭されるとは思わなかったであろう大統領の顔は、まるで瞬間湯沸かし器みたいに一瞬にして真っ赤になり、彼は口をパクパクして何かを言おうとしていたが、結局声を発することはせず、暫くすると苦々しそうにソファにもたれ掛かりながら言った。


「……君もアレックスみたいなことを言うな。世界は現状のまま維持する。その代わり、もうこれ以上個人の都合で動かされないよう、神のシミュレーターはアメリカ合衆国の名の下に厳重に管理する。これ以上ベストは方法が他にあるというのか?」


 アレックスとは、アレックス・ローニンのことだろうか……? そう言えば最初、彼は同志だと言っていた。報道では、選挙期間中は蜜月関係だと言われていたが、今はケンカ別れしたと言われている。既に大統領は同じようなことを忠告されていたのだ。なのに考え直そうともしない彼を説得するのは、おそらく不可能だ。


「実は、さっきから疑問に思っていたんだ。チベットに革命派が入り込んだのは、あなたが言う通り最初は『ユーリ』を探すために、世界の敵が仕組んだことかも知れない。だが、連中の目的が分かったのなら、何故、あなたは革命派を引き上げさせなかったんだ? それどころか、あなたは大統領に就任してから、再三に渡ってチベットに多国籍軍を進駐させるように圧力を掛けてきたはずだ。


 研究室にハッキングを掛けてきたのもそうだ。あんたは、あれは物部さんが世界の敵じゃないか試していたんだと言ったが、だったら最後にドラゴンが出てきたのは何だったんだ。今、ここに叔父が居ることからしても、あれは事故じゃない。あんたはどうすればドラゴンが出てくるか、ちゃんと知っていて、物理的に研究所を破壊しに来たんだ。


 その結果、物部さんが死んでもあんたは構わなかったんじゃないか。あんたが必要としてるのは、物部さんではなく、その成果物だけだからだ。そんなあんたに、大事な親友を託すことなんて絶対に出来ないね」


 目をつぶって黙って張偉の言葉を聞いていた大統領は、彼の啖呵が終わるとうっすら目を開けて、


「……交渉決裂ということかね」

「少なくとも、今のあなたには協力出来ない。シミュレーターを託すにしても、アメリカよりは、物部さんのほうがまだ信用できる」

「考え直す気はないか。物部有理の安全は絶対に保証する」

「考え直すのはあなたの方だ」


 大統領はまったく嘆かわしいとでも言いたげに、大袈裟なアクションをしてみせてから、


「まったく君は……賢い! 賢すぎるくらいだ。しかし俺は賢すぎて失脚してきた友人を、今まで何人も見てきたよ。世の中、正しいことだけが正しいわけじゃない。時には汚物を黙って飲み込む度量も必要なのだ。それが賢い大人というものなのだよ」


 大統領の言葉に呼応するかのように、続きの部屋から黒服たちがゾロゾロとリビングルームへやって来た。全員が胸元の膨らみに手をやりながら、張偉のことを取り囲むように見下ろしてくる。張偉はそんな連中に向かって、


「一人で立てる。近づくな」


 と手で払いのけるよな仕草を見せると、さっきまで隣の席に座っていたはずなのに、今は大統領の後ろに立っている叔父に向かって、


「叔父さん。叔父さんだって同じ中国人のはずだ。こんな話を聞いて、まだ大統領の味方をするつもりなのか」


 すると叔父はため息混じりに、


「チャンウェイ……残念ながら、党の上層部は中国をあのままにしていたほうが良いと考えているのだよ。その方が甘い汁を啜れると」

「なにっ!? 嘘をつくな!」

「嘘じゃない。大統領の言う世界の敵……支配層は我が国にも居て、党はそいつらに牛耳られているのだ。彼らは中国の解放など望んじゃいない。人民たちを抑圧していたほうが管理がしやすいからな。だから大統領が現状維持を約束してくれるならと、乗り換えようとしているのだ」

「……狂ってやがる」


 張偉は開いた口が塞がらないと肩を落とした。大統領はそんな彼の姿を嘲笑いながら、


「そうとも、世界は狂っているのだ。だからこっちも狂わずにはいられないのだ。君にはこれから物部有理と交渉するための材料となってもらう。最初から素直に応じてくれてれば、こんなことにはならなかったろうに、恨むんなら私ではなく、自分の正義感を恨むんだな」

「……そうかよ。でも大統領、俺は別にあんたのことは恨んじゃいないぜ? 寧ろ感謝しているくらいだ」

「減らず口を」


 しかし、張偉は皮肉そうな笑みを浮かべて、


「本当だ。あんたが学校にドラゴンなんかを送ってくれたお陰で、俺はこういうことも出来るようになった……グラビティ・バースト!」


 彼が叫ぶと同時に、ズシンという衝撃が大統領と側近たちを襲った。彼らは上から叩きつけられるような重力押しつぶされて、その場に膝をついた。部屋中の照明機器が破壊され、一瞬にして真っ暗闇になった。


「アクセラレーション」


 そんな暗闇の中で張偉はバネのように低く屈むと地面蹴って、予め確認しておいた窓へ向かって信じられない速度で駆けていった。そんな彼を逃がすまいと、大統領のSPたちはすかさず拳銃を抜いて容赦なくぶちかましたが、


「やめろ! 大統領に当たる!」


 マズルフラッシュで点滅する部屋の中にそんな声が響いて、すぐに射撃を止めざるを得なかった。張偉はそんな中、素早く窓の外へ躍り出ると、ベランダに潜んでいた男たちの腕をかいくぐり、手すりを飛び越えて夜空へ飛び出していった。


「馬鹿な! 何階だと思ってる!?」


 もしかして、捕まるくらいなら自殺しようとでも思ったのだろうか。慌てて大統領が窓に駆け寄ると、しかし張偉はそんな彼の目の前で急上昇し、あっという間にどこかへ飛び去っていってしまった。


 悠々と飛び去っていく張偉の背中を、数十人からの屈強な男たちが手を拱いて見送ることしか出来なかった。彼らからしてみれば、異世界人は空を飛べても、混血児は飛べないというのが常識だった。だから空を飛んで逃げられることは想定していなかったのだ。もし想定していたら、窓のある部屋になんか通さなかっただろう。


「これなのだ! これだから、神のシミュレーターは厄介なのだ! こちらの常識など通じない。当たり前のように現実を捻じ曲げてしまう……そんなものをたかだか二十歳の黄色いガキが玩具にしているだなんて、一体どんな悪夢だ!?」


 大統領はベランダの手すりをガンガン叩くと、地団駄を踏むようにその場で足踏みを始めたが、すぐに自分を落ち着かせるように深呼吸を繰り返すと、


「まあいい……空を飛べると言っても、日本までは飛んでいけないだろう。各地の飛行場に手を回しておけ。それからメキシコ国境にも兵を送り、厳重に封鎖しろ。奴らを絶対に逃がすな」


 大統領は側近たちにそう命令すると、照明が壊れて真っ暗になった部屋へと取って返し、ソファにドスンと腰を下ろした。忙しそうにSPたちがバタバタと駆けていくと、床にぶち撒けられたワインが月明かりに照らされキラキラ光った。


 まったく、これ一本で何十万ドルすると思っているんだ……? 辛酸を嘗めるように眉根を寄せていると、さっき国境を封鎖するよう命じた側近の一人が慌ただしく帰ってきて、


「大統領! 大変です!」

「今度は何だ?」


 大統領がイライラするように睨みつけると、側近は一瞬怯んだような目を見せたが、すぐに気を取り直すと、


「ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴ……あらゆる主要都市で中国人の暴動が発生しているそうです!」

「……なんでだ?」

「わかりません! ただ、彼らは口々に叫んでいるそうです。50年前の恨みを晴らせと……」


 大統領は、自分の頭から血の気がサーっと引いていくのを物理的にも感じていた。彼は貧血を起こしたようにくらくらとソファに体を預けると、


「まさか、アレックスか……? あの野郎……やりやがったな!! もうホワイトハウスには帰らん。すぐに隣の空港にエアフォースワンを用意しろ!」


 彼はそう叫ぶように命じると、自分も慌てて駆け出した。


***


 遮蔽物が全くない夜の砂漠を張偉は低空で飛行し続けていた。見渡す限り人工の明かりはなく、周囲に追手の影も見当たらないのに、やたらと誰かに見られているような気がするのは、空に月が出ているせいだった。月の光をこんなにも眩しく感じたのは生まれて初めてだった。


 大統領の要請を断り逃げ出してきたからには、もう自分も有理と同じくお尋ね者になっているのは間違いないだろう。既に近場の街の警察署には彼の顔が手配書として回っているはずだ。まだ青葉たちが潜伏しているモーテルは平気だろうが、それもいつまでもつかは分からない。あの場所は、さっきのホテルからそう遠くもないのだ。


 ところで、相手はいつからこっちの行動を把握していたのだろうか。大統領は、張偉たちが天穹のオフィスを調べていた最中に接触を図ってきたわけだから、それ以前と考えるべきだが、しかしあれだけ念入りに砂漠を迂回してまで追っ手を巻いてきたというのに、追跡の気配をまるで感じられなかったのは変ではないか。大統領は、どうやって自分たちを追跡していたのだ?


 ふと見上げると夜空には煌々と月が輝いている。


 もしかして、空から……? 監視衛星からなら、自分たちがいくら追っ手の巻こうとしてても、その気配も感じられなかっただろう。そして相手が相手だけにその可能性は否定しきれなかった。


 だとしたら、青葉たちが危ない。張偉は彼らの潜んでいるモーテルまで急いだ。


 ハイウェイ脇のモーテルは、張偉が出てきたときと同じく静まり返っていた。場所が場所だけに泊り客は張偉たちだけのようで、車は彼らの一台しか停まっていなかった。


 受付の窓から明かりが漏れていたが、人の気配はそれ以外にしなかった。念の為、探知魔法を掛けてもみたが、辺りにはなんの生命反応も感じられなかった。どうやらまだ、ここは見つかっていないようだ。ホッとしながら彼は部屋の呼び鈴を鳴らした。


 しかし、待てど暮らせど部屋の中から返事はかえってこなかった。再度鳴らすも反応はなく、おかしいと思ってドアノブを回すと、鍵がかかっていなくてそのまま開いた。物騒な……などと呑気に思うよりも、何か異変が起きたと察知した彼は、息を潜めてゆっくりドアを開けると、音を立てずに部屋の中へと滑り込んでいった。


 部屋の中は電気がつけっぱなしで、奥のベッドルームまではっきり見えていた。人の気配がなく静まり返っており、荒らされた様子も見られなかった。ただし、部屋に入った瞬間に異変に気付いた。その異変は視覚ではなく、嗅覚に強烈な刺激として現れていたのだ。


 この鼻を突く鉄が混じったような臭いは……血か?


 強烈な血液の臭気が部屋の中に充満していた。それは奥のベッドルームから漂ってきており、ご丁寧に窓がカーテンまできっちり閉じられていたから、近づけば近づくほど臭いは強くなっていった。


 張偉が嫌な予感を抱きながら近づいていくと、その部屋のベッドの影に、誰かがベッドにもたれかかるようにして倒れているのに気づいた。こちらからでは良く見えず、彼は慌てながら、それでも慎重に近づいてくと、


「まさか……宿院さん!」


 ベッドの影に回り込んだ彼は、そこに青葉が倒れているのを見つけた。彼女の体は真っ赤な血で染まり、首元には黒い穴のような傷が見える。慌てて駆け寄って抱き上げるように脈を取ろうとするも、その首元の傷を見ただけで、既に手遅れであるのが分かった。傷口からはもう血が吹き出ることもなく、手で触るとベタベタと粘り気を帯びており、死んでからそれなりの時間が経っていることがわかった。


 おそらくは自分が大統領と話をしている間ではなかろうか……大統領は最初から自分をただで帰すつもりはなく、万が一に備えて、先に刺客を送り込んでいたのだ。そう言えば、黒の方はどうしたんだ?


 と、彼の存在を思い出し、部屋を見回そうとして顔を上げた瞬間だった。


 パンッ! ……っと乾いた音が鳴って、張偉は自分の腰のあたりからガクリと力が抜けていくのを感じた。続いて、パン! パン! パン! と鳴る度に、彼の体は下手くその操り人形みたいに跳ね上がり、そして動かなくなっていった。


 全身の筋肉が弛緩しピクリとも動かない。肺に穴でも開いているのか、吸ったそばから抜けていく。全力疾走しているかのように呼吸が激しくなり、心臓はバクバクと音を立て続けていた。激痛のせいで思考が上手く回らない。


 彼は地面に倒れ伏しながら、何が起きた? と首を回して仰ぎ見た。するとそこに、さっきまで誰も居なかったはずの場所に、黒が立っていて、彼は筒状の何かをこちらに向けながら冷徹な瞳で張偉のことを見下ろしていた。


「なん……で……?」


 部屋に入ってきた時は、誰も居なかったはずだ。いつからそこに居たのか? と思ったところで黒の能力を思い出した。こいつは張偉が部屋に入ってきた時から、ずっとそこに居たのだ。自分は、彼の目の前を通り過ぎ、アホみたいに背中を無防備に晒して、青葉を介抱しようとしていたのだ。


「おまえが大統領と接触したら、始末するように言われていたんだ」


 黒は、張偉の疑問の目を見ながらつまらなそうに返してきた。張偉はその言葉に、声にならない声を上げた。


「おまえ……大統領……の、差し金……だったのか?」

「まさか」


 黒は首を振った。


「最初から大統領は関係ないさ」


 最初からとはどういう意味だ? と聞き返そうとしたが、声が出なかった。張偉は薄れ行く意識の中で、ふと、その大統領の言葉を思い出した。


「世界の……敵……」


 世界の敵は『ユーリ』を探していた。そこへ異常な魔法適性値の物部有理が現れたから、彼らはすぐ始末しようとした。しかし、失敗した。


 もしかして、あの廃工場の時から既に……? それを確かめたくとも、彼はもう声を出すことが不可能になっていた。


 黒は、そんな張偉の姿を冷酷な眼差しで見下ろしながら、手にした拳銃のマガジンを抜き、空薬莢を抜いてまた新しい弾を込めた。そしてまた張偉に狙いを定めると、パンパンパンと機械的に銃弾を撃ち込んでいった。


 今や超人となったこの男が万一復活したりしないように、念には念を入れておきたかった。そうして彼は全弾撃ち尽くすと、床に横たわる張偉の体を蹴飛ばすようにひっくり返し、念入りに脈がないことを確かめてから、二人の死体をその場に残し、部屋から出ていった。


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ただいま拙作、『玉葱とクラリオン』第二巻、HJノベルスより発売中です。
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よろしくお願いします!
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俺の青葉さんが!!!!
うおおおおお、そういうの話だったのかこれ…! 水月さん作品の社会SF要素が全力を出してきましたね!!!! これがあるから水月さん作品大好きです。
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