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第254話 青い髪の女


 青い髪の少女の尾行はそう難しいものではなかった。


 《ウェイブスキャナー》により位置は把握しているので、曲がり角にずっと隠れていても見失うことはない。向こうがさらに廊下を曲がったところで、落ち着いてこちらも進めばいいだけ。


 そうしてしばらくののち。メイドとおぼしき青い髪の少女は、廊下の丁字路を右へ。それから十数メートルほど進んでから、扉らしきものを開けてその先へ進む。


 波動探査の感知によれば、扉はかなり大きい。扉のある廊下も、左右に彫像のような形の物が4体ずつ並んでいる。

 少女が進んだ先は感知できなかった。彼女が扉をすぐに閉めたからだ。


 俺とラリアは、とりあえずそこまでいってみることにした。


 丁字路まで進み、右へ。

 暗い通路だった。

 天井までの高さは5メートルほどありそうだが、アーチ型の構造にロウソクの光が届いておらず暗くてよく見えない。


 左右は広すぎるということもない。両側にはやはり彫像。長い剣を杖のようについて、柄頭に両手を置いた、フルプレートメイルの騎士の彫像だった。全部で8体。


 その間にレッドカーペットが通り、奥の扉まで続いている。

 両開き式の扉は重々しくいかめしく、おどろおどろしいゴシック調のデザイン。それがロウソクのわずかな明かりで照らされている。


 どうしたものか。

 明らかに王の間といった風情だった。

 この先に魔王とやらがいても少しも不思議ではなかった。


 この場には俺とラリアのみ。他に転生者の仲間が5人もいるというのに、2人だけでお邪魔しますとばかりに抜け駆けするのはクレバーだとは言えない。


 レッドカーペットの中ほどまで進んでみる。

 どうにかしてあの扉の向こうを探る方法はないだろうか? 中の様子がわからないのでは突入もままならない。中はどんな間取りか。何人いるのか。

 こういう時に何か便利なスキルが閃かないかと思ってみたが、今回は特に何もなかった。


 仕方がない。

 引き返そう。まずはパンジャンドラムたちと合流だ。

 踵を返した。


 すると。1番向こうに見える彫像の、右の物が傾いた。

 前に倒れそうになっている。

 立て方でも悪かったのだろうか。先ほどの青い髪がうっかり触りでもしたか。

 とにかくこのまま倒れられて音でも出されては面倒だ。俺は走り寄って支えようとした。


 が、


剣聖(ソードマスター)・サッキレーダーのスキルが発動しました》


《パウンドフォーパウンドのスキルが発動しました》


 その彫像が突然手にした剣を振り回してきた。

 俺は間一髪(髪の1本も無駄にするつもりはないが)バックステップ。


 すると、向かい側にあった彫像も動き始めた。

 剣を振り回し、こちらへ向けて攻撃を加えようとしてくる。


 2体は通路を塞ぐように俺へ迫ってくる。

 殴ってブチ壊すか。俺は向こうにいく必要がある。

 だがここで大きな音を立てれば扉の向こうの誰かに気づかれやしないか?


 さらに手前の2体も動き始めた。ちょうど俺の両隣り。そいつらの攻撃も下がって躱さざるを得なかった。

 さらに3列目。

 1列目と2列目は追ってくるわけではない。どうも背中に鎖がついていて、ある程度までしか前に出られないらしい。


 3列目をどうしようか考えたがだんだん面倒に思えてきた。どうせおおかた4列目も動き出すのだろう。このままでは扉で挟まれるし、叩き壊せば音もするだろう。


 俺は逆へ走った。

 扉の方向だ。予想どおり動き出した4列目を無視して、


《ザ・マッスルのスキルを発動しました》


 扉を蹴破った。

 両扉は派手に部屋の中を転がっていく。


 あにはからんや、そこは玉座の間だった。

 レッドカーペットは奥まで続き、3段ほどの階段があり、その上にゴテゴテと装飾された椅子がある。


 そこに男が座っている。

 やれやれ。俺は言った。


「こんにちは」


 椅子の上の男。

 ヘヴィメタルのバンドマンのように長い黒髪を後ろになでつけたヘアースタイルだった。その頭から山羊のようなツノが伸びている。

 少女漫画に出てくる知的で冷酷なタイプの男のような美麗な顔だと思う。肌の色は白、というより灰色に近い。


 素肌の上からまとった黒いロングコート。黒の革のパンツ。

 そいつが言った。


「よくきたな……勇者よ……」


 弱々しい声だった。かすれるような声。


 部屋に飛び込んだ時からその理由には察しがついていた。


 先ほど美麗な顔だと『思う』と考えたのは、彼の頬がこけ落ちていてもともとの顔がわからなかったためだ。

 ロングコートの下の上半身はあばらが浮いている。


 そして何より。

 玉座にいるのは1人ではない。


 玉座には、俺から見て右側に青い髪のメイド。

 左側には銀色のツインテールの、ゴシックロリータめいたドレスを着た10代前半ぐらいの少女が男にしなだれかかっている。

 玉座の背もたれから顔をのぞかせているのは背の高い紫髪の美女。

 男の足元にはブロンドの少女。ピンク色のドレスを着て、何か知らないが首には首輪がはまったまま、床に座り込んでいる。


 そういった女たちに、長身だが痩せた山羊角の男が取り囲まれているのだ。


 俺は言った。


「やれやれ……」



そういえば

「お前の武器なら俺の隣で寝てるぜ。」

という新作を投稿しました。

第一章まで終わっております。

よければ読んでくだされ!

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― 新着の感想 ―
[一言] 僕もバックステッポぉを練習しようと思います!
[良い点] 俺は間一髪(髪の1本も無駄にするつもりはないが)バックステップ。 自分の体を大切にする健康思考
[良い点] そういえば [一言] キミたちはハーレムを勘違いしているんだ
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