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【完結】光の或る方へ  作者: 星野木 佐ノ
1 はじまり

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25/201

第24話 カードを持って来た客

いつも読んで頂き、ありがとうございます。


※本日間違えて、2話連続投稿してますので、23話読んで無い方は、そちらからお読みください。

ごめんなさい。



「いらっしゃいませぇ。お好きな席へどうぞ」


 二人は笑顔で迎えてくれた女性店員に会釈をし、窓際の席に着いた。

 店内は、数名の客がお茶の時間を楽しんでいる。

 カウンター席で新聞を広げ、コーヒーを飲むサラリーマン風の男性、楽しそうに会話をしながらケーキを食べているカップル、ケーキに舌鼓をうち、話しに花を咲かせている三人の奥様たち、本を読み、時々顔を上げてはケーキを食べる女性。

 窓の外を眺めると、商店街のアーケードが目に入った。不思議と、別空間から町を見下ろしている感じがする。まるで、この店だけ時間が止まっているかのようだ。


「不思議な感じがするね。この店」


 美月は静かに言った。美夜は答える代わりに小さく頷く。


「失礼します」


 女性店員が、水を運んできた。


「お決まりになりましたら、お声掛けください」


 店員は、営業スマイルとは異なる、人当たりの良さそうな笑顔で言った。


「あ、下でこれ貰ったんですけど」


 美月が青年から貰ったカードを店員に手渡すと、店員は大きく口を開け、驚いた顔でカードを凝視している。


「あ、あの。何ですか?だめ、なんですか?」


店員の表情を見て、美月は顔を引き攣らせながら訊ねた。

 女性店員は我に返ったように美月と美夜を交互に見ると、慌てて取り繕う様な笑顔を見せた。


「大変失礼しました。お使いになれますよ。あ、ケーキはあちら奥のショーケースからお選びくださいね。また後ほど、お飲み物を伺いに参ります」


 心なしか動揺した声で言い、カウンターの中に入っていった。

 美夜と美月はお互いの顔を見合わせて、小首をかしげると、何事も無かった様に席を立ち、レジ脇にあるショーケースを見に行った。

 先週来たときよりも種類が豊富な上、色鮮やかで、どれも美味しそうで。二人は小さく歓声をあげる。美夜はショーケースに釘付けになり、大きな瞳を輝かせている。ショーケースを食い入るように見つめる美夜の姿を見て、美月は小さく笑った。

 十五種類のケーキの中から、美夜はイチゴのムースを選び、美月は先週食べたチーズケーキを選んだ。





最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


同時進行でミステリー系ヒューマンドラマ

『Memory lane 記憶の旅』更新中!

https://book1.adouzi.eu.org/n7278hv/


「続きが気になる」という方はブックマークや☆など今後の励みになりますので、応援よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 店員さん、何か驚くものがあったようですね。もしかしたらカードを渡すのは相当レアだったのか、店員さんと書店の店員さんの関係のなかで何かがあったのか…そして星野木さんによって描かれるいちごムース…
2022/09/28 21:35 退会済み
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