第24話 カードを持って来た客
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
※本日間違えて、2話連続投稿してますので、23話読んで無い方は、そちらからお読みください。
ごめんなさい。
「いらっしゃいませぇ。お好きな席へどうぞ」
二人は笑顔で迎えてくれた女性店員に会釈をし、窓際の席に着いた。
店内は、数名の客がお茶の時間を楽しんでいる。
カウンター席で新聞を広げ、コーヒーを飲むサラリーマン風の男性、楽しそうに会話をしながらケーキを食べているカップル、ケーキに舌鼓をうち、話しに花を咲かせている三人の奥様たち、本を読み、時々顔を上げてはケーキを食べる女性。
窓の外を眺めると、商店街のアーケードが目に入った。不思議と、別空間から町を見下ろしている感じがする。まるで、この店だけ時間が止まっているかのようだ。
「不思議な感じがするね。この店」
美月は静かに言った。美夜は答える代わりに小さく頷く。
「失礼します」
女性店員が、水を運んできた。
「お決まりになりましたら、お声掛けください」
店員は、営業スマイルとは異なる、人当たりの良さそうな笑顔で言った。
「あ、下でこれ貰ったんですけど」
美月が青年から貰ったカードを店員に手渡すと、店員は大きく口を開け、驚いた顔でカードを凝視している。
「あ、あの。何ですか?だめ、なんですか?」
店員の表情を見て、美月は顔を引き攣らせながら訊ねた。
女性店員は我に返ったように美月と美夜を交互に見ると、慌てて取り繕う様な笑顔を見せた。
「大変失礼しました。お使いになれますよ。あ、ケーキはあちら奥のショーケースからお選びくださいね。また後ほど、お飲み物を伺いに参ります」
心なしか動揺した声で言い、カウンターの中に入っていった。
美夜と美月はお互いの顔を見合わせて、小首をかしげると、何事も無かった様に席を立ち、レジ脇にあるショーケースを見に行った。
先週来たときよりも種類が豊富な上、色鮮やかで、どれも美味しそうで。二人は小さく歓声をあげる。美夜はショーケースに釘付けになり、大きな瞳を輝かせている。ショーケースを食い入るように見つめる美夜の姿を見て、美月は小さく笑った。
十五種類のケーキの中から、美夜はイチゴのムースを選び、美月は先週食べたチーズケーキを選んだ。
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