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【完結】光の或る方へ  作者: 星野木 佐ノ
10 最終章 光の或る方へ

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第196話 茜色のキス

いつも読んで頂き、ありがとうございます。





 美夜は、ベンチの上に乗った光の手に、そっと自分の手を乗せた。光は空に向けてい目を、美夜に向けた。


「好きって、難しいですね」


 美夜は光の手を見つめて言った。その顔は、穏やかで、静かな表情だ。


「私、正直、好きって、どういう事なのか、よく分からなかったんです。でも、今なら分かる」


「うん」


「一緒にいて、素直になれて、安心できて。黙っていても、何時間でも一緒に居れる。……辛いとき、側にいてくれた。弱音はくと、励ましてくれた。さり気ない優しさが、自然すぎて……。すぐ近くにいたのに、恋に恋して、全然気がつかなかった。気がついたとき、目の前が晴れやかになった。私も、その人が辛かったり、何かに負けそうなとき、側にいて励ませる存在になりたいと思った。私が、その人を本当に必要だと思っているように、その人にも、私を必要として欲しいと思った」


「……」


 美夜は光を正面から見つめた。


「コウさん。いつも、ありがとうございます」


 そういうと、深く頭を下げた。

 光は身体を起こし、無言のまま美夜をじっと見つめた。

 顔を上げた美夜の顔は、少し高揚している。


「私、(ひかる)さんが好きです」


 美夜は、晴れやかな笑顔で言った。


 光がずっと見たかった、あの笑顔だ。その場が一気に優しい空気に包まれる、柔らかい、花のような笑顔。


 光は口角をくっと上げた。

 その顔は、微笑みでは留まらず、満面な笑みになった。その場が、一瞬で明るさを増す、そんな笑顔だ。


 光は美夜を引き寄せ、優しく抱きしめた。


「初めてだ」


「え?」


「初めて、ヒカルって呼んでくれた」


 美夜は笑いながら光の背中に腕を回した。


「好きだよ、美夜」


 優しい、温かい声。


 美夜の身体に浸透するように、心の底から喜びが押し寄せる。


「……はじめて、美夜って呼んでくれた」


 美夜は笑い声を上げながら、光に言い返した。  

 嬉しさで、目の前が翳んで見える。夕焼け空が滲んで、幻想的な風景が美夜の目に映っていた。


「返事が遅くなって、ごめんね?」


 美夜は光の耳元にそっと囁いた。

 光は身体を離すと、「うん、随分待ったよ」と言い、優しいく微笑みながら美夜の唇に親指で触れる。


 美夜がそっと微笑み返すと、どちらからともなく唇を重ねた。


 柔らかな甘いキスを交わしている時、空は完全な茜色に染まっていた。





最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[一言] ここの描写、すごくロマンティックで好きです…絵になりますね!
2023/01/26 16:52 退会済み
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