表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】光の或る方へ  作者: 星野木 佐ノ
9 百合と沖田兄弟の過去

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

190/201

第189話 決意

いつも読んで頂き、ありがとうございます。





 祖母のルイーズと会話してから、数日が経った。

 栄は朝早く起きると、光に電話を掛けた。


 フランスの時刻は夜九時頃だろうと、思いながらコール音を聞く。五回目のコールで、光の声が聞こえた。


「俺だ」


『ハル兄』


 光は静かな声で話しをした。約二ヶ月ぶりに聞く光の声は、遠すぎるくらい小さい声で、栄は受話器を強く耳に押し当てた。



♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎



 二ヶ月前、光は百合の葬儀の為、一時帰国をしていた。光が帰国をする前日の夜、光は酒を飲みに行こうと栄を誘った。里々衣の面倒を見に、百合の姉の雪が来ていて、躊躇している栄の背中を押し、「いってらっしゃい」と、促した。



 栄は光と共にバーに行くと、席に着くなり、光は決意をしたような真剣な顔で栄を真っ直ぐに見据えた。


「俺、もう引き上げるよ。日本に帰ってくる」


 栄は何を言ってるんだと言ったが、光は首を横に振った。


「俺、百合さんが言っていた店を、作ろうと思う。俺ね、今日、昔じいちゃんが店を出してた商店街に行ってきたんだ。商店街内は空きがなかったけど、商店街を少し離れたところに、売り出し中の土地があった。そこで、店を出来ないかなと思うんだ」


「お前……店出すって言ったって、先立つものはあるのか?あそこは、都内から外れてはいるけど、ベットタウンになってるから、それなりの値段だぞ?」


 光は小さく頷くと、「銀行から借りたりしようかと思うんだ」と言った。栄はその意見に呆れた声を出した。


「あのなあ、銀行だってそう簡単に貸してはくれないぞ。個人事業となると、実績を積むまで信用がない。そう簡単に融資は受けられない。それより、まず開業計画を書いて、事業計画書を十年分くらい書いてだな……」


「それくらい、知ってるよ。もう、考えてある」 


 光はジーンズのポケットから小さく折りたたんだ紙を取り出した。

 幾分、ボロボロになった紙を広げ、「確認して欲しいんだ。これで良かったら、ちゃんと書き直す」と言って、開業計画書、事業計画書、資金計画書を栄に差し出した。

 その計画書は、初めて書いたにしては、どれも良く書けていた。栄は驚きつつ、計画書を読む。


「これ、いつから考えてた……?」


 栄は紙を捲りながら聞いた。


「考えていたのは、百合さんに話しを聞いた日から。決意したのは葬式の最中。別れ際に、心の中で百合さんに約束をしたんだ。絶対、店を出すって。そこで、菓子を作り続けるって……」


 光はビールを一口飲むと、「ハル兄、店を作ろう」と、力強く言った。





最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


「続きが気になる」という方はブックマークや☆など今後の励みになりますので、応援よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 二人のまっすぐな気持ちが周りを動かしたんだなぁ、と、すごく思わされます。昔の味を取り戻したい気持ちを感じた百合は二人を励ましましたし、ルイーズは二人のパトロンになった。なんとなく、いろんなも…
2023/01/22 21:42 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ