表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】光の或る方へ  作者: 星野木 佐ノ
7 日常をきみと

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

161/201

第160話 心の変化

いつも読んで頂き、ありがとうございます。





 明らかに何かがおかしい美夜を、栄と雪は訝しんだ。


「なんか、最近笑うようになったのは良いけど、表情が硬すぎるのよね」


 雪は皿を洗いながら小さな声で言った。

 栄はプレートに飾り付けをしながら「ですねえ」と答えた。


「何があったのかしら?」


「さあ……。まぁ、まだ完全に心の傷が癒えているわけじゃ無いと思いますし……」


 栄は囁くように言うと、「よし出来た」と言って、注文客の所へケーキを運んだ。

 栄がカウンターに戻ってくると、雪は再び声を潜めて話しを始めた。


「コウくんの様子も、なんか微妙におかしくない?」


「コウですか?」


 栄は、普通ですよと笑った。


「いや、何かあるわよ。こう、二人の距離感、って言うの?以前とは明らかに何かが違うのよ」


 雪は自分の意見に何度も頷いた。


「雪さん」


 栄は苦笑いしながらグラス拭きをはじめ、チラリと雪を見る。


「恋愛本でも読みすぎなんじゃないですか?で、なければ、ドラマの見過ぎ」 


「違うわよ。これは女にしか分からない、感よ、感」


 雪は少し声を大きくして言った。栄は苦笑いをして「感ねえ」とあしらった。

 しかし、心の隅では雪の言葉に唸っていた。確かに、光の様子が一時期、妙なテンションだった事があった。鼻歌は歌う、寝かしつけなければいけない里々衣をからかい、遊ぶ、口笛を吹く。


 普段は静かに菓子の新作を考えている光が、いつもしないような事をつい最近、数日間だけしていた。それもすぐに収まりはしたが、それも関係してるように思えた。


「何があった?」


 栄は口の中で小さく呟く。

 雪は「え?なに?」と訊いたが、無視をした。


「そう言えば、最近、美月ちゃん来ませんね」 


 栄は壁に掛かった美月の絵を眺めながら言った。


「そう言えばそうね。里々衣も寂しがってるでしょう」


「ええ、まあ。でも、美夜ちゃんが居るから、そうでもないですね。彼女たちが居なくなったときは、俺、殴られましたもん。パパの馬鹿って。馬鹿なんて言葉、どこで覚えてきたんですかねえ」


 栄は苦笑しながら言った。


「そりゃあ、保育園でしょう」と、雪は誰でも思い浮かぶ言葉を返す。

 栄は「そうですね」と答えながら、美月の絵に視線を向ける。


 美月の笑顔や、声が聞きたいなあと、思った。また、色々な話しをしたい。絵本の話しも聞きたい。里々衣の話しで聞かせたいこともある。


 栄は、ごく自然に、当たり前のようにそう思った。と、同時に、栄は驚いた表情をし口元に手を当てた。


 そう思った自分自身に、心底驚いたのだ。


 今まで、百合以外の女性で、そう思った人物は居なかった。

 栄は自分の腹に手を当て、ベストを掴んだ。この気持ちは一体何なのだと、自問自答する。

 胸が熱くなり、栄は「ちょっとトイレ」と言って裏口を出て行った。


 階段を途中まで降り、ズボンのポケットに手を伸ばす。ポケットに入った煙草を取り出すと、一本火を付け、頭を抱えた。





最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


「続きが気になる」という方はブックマークや☆など今後の励みになりますので、応援よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] おおっ!これは禁断のダブル恋落ち…!美月、知ったらどうなるでしょう…!楽しみです(ヒューヒュー)
2023/01/08 14:45 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ