表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】光の或る方へ  作者: 星野木 佐ノ
7 日常をきみと

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

153/201

第152話 チョコレート

いつも読んで頂き、ありがとうございます。





 光と共に作ったチョコレート菓子は、次から次へと売れていった。


「コウ、六個入りがそろそろ切れる」


 栄が厨房から顔を出し、在庫を訊いてきた。


「中西、それ袋詰め終わったら、六個入りの箱詰めお願い」


「はい」 


 六個入りのチョコレート菓子は、ミルクチョコで作ったクッキー入りのトリュフ、ホワイトチョコで作ったシンプルなトリュフ、ダークチョコを絡ませたオランジェット、ヘーゼルナッツのペーストが入ったプラリネ、生チョコの美味しさが一番分かるパヴェ、そして、ホワイトチョコをピンクに着色して、砕いたドライストロベリーを入れて作った、ハート形チョコレートが入っている。


 ハート型のチョコレートが目を惹くのか、来る客は挙って六個入りのチョコレートを買っていく。


 その他にも、焼き菓子やマカロンも通常よりも売れ行きがよく、レジカウンター脇に置いた籠は、すぐに空っぽになった。


「なんだろう……中西が帰ってきた途端、すごく忙しい気がする……」


 光は手際よくチョコレートを型に流しながら呟くように言う。

 美夜も久しぶりに来て働き、動きが鈍っていることに自身で気が付いていたため、申し訳ない気持ちになった。


「ごめんなさい、私、足引っ張ってますね」


 六個入りの箱にチョコレート菓子を詰めながら謝ると、光は慌てて「違う、違う」と訂正した。


「そうじゃなくて。客が一斉に来たって言う意味。去年まで、こんなじゃなかったんだ……。昨日までだって、ここまですごくなかった。なんだか、中西の復帰に合わせて、客が押し寄せてる感じ。やっぱり、中西は雪さんの言う通り、招き猫体質なんだな」


 そう言うと、光は小さく笑い声を上げた。


「たまたまですよ。バレンタイン近いですし」


 美夜は手を休めずに答えた。箱詰めを終えた物をばんじゅうに乗せると、売り場に持って行った。

 喫茶はいつの間にか臨時休業のプレートが立っており、栄と雪は忙しなくカウンター内を動いている。

 売り場のテイクアウトスペースは、女性客で賑わっていた。


「雪さん、六個入り出来ました」


 美夜が声をかけると、雪は顔を向けずに「ありがとう」と慌ただしく返事をし、客の名前を呼んだ。

 美夜は、ばんじゅうをカウンター下の作業台に置き、「ここに置きますから、気をつけてくださいね」と声をかけ、厨房へ引き返す。


「コウさん、売り場が大変なことになってます。私、販売を手伝った方が良いんじゃないでしょうか?」


 美夜は手を洗いながら光に売り場の現状報告をしたが、光はチョコレート菓子を相変わらず手を休める事なく作り続ける。


「いや、あっちはあの二人で大丈夫だよ。中西はこっち手伝ってて。でないと、間に合わない」


「分かりました」


「じゃあ早速、この作業引き継いでもらっていい?俺は焼き菓子をやるから」


「はい!」


 美夜は直ぐさま光のアシストをした。

 気が付けば、いつの間にか休憩時間は過ぎ、美夜の帰る時間もとっくに過ぎていた。


「中西、ごめんな。初日からこんなで。これじゃあ、土日と変わらないな。今日は送るから、もう少し働けるかな?」


「はい、大丈夫です」


「無理はしなくて良いから」


「はい」


 二人は昼休憩を取ることも出来ず、時々焼き菓子の切れ端を食べながら、作業を続けた。





※ばんじゅう……ケーキ屋さんや和菓子屋さんなどが使う、出来上がった商品入れる長方形のケースのこと。





最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


「続きが気になる」という方はブックマークや☆など今後の励みになりますので、応援よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] メンタルをやられたときにこういった激務は本当はよろしくないともよく言われますが、でも結構こういった忙しさも気を紛らわせたり、リハビリには荒療治としてよかったりもするので、もしかしたら美夜にと…
2023/01/04 18:55 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ