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【完結】光の或る方へ  作者: 星野木 佐ノ
4 それぞれの思い

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117/201

第116話 子供の頃

いつも読んで頂き、ありがとうございます。





 栄達の数歩前を、光と美夜が歩いていた。


 光は、みんなから貰った里々衣への誕生日プレゼントを抱え、「中西はさ」と話しかけた。


 美夜は「はい?」と、小首を傾げ光に顔を向ける。


「子供の頃、どんな子供だったの?」


 唐突な質問に、美夜は驚きながらも、子供の頃の自分を思い出しながら答えた。


「子供の頃は、いっつもぼんやりしていて、美月や兄に手を引っ張ってもらっていました」


「え?お兄さん居るんだ?」


 てっきり双子姉妹で、他の兄妹は居ないと思いこんでいた光は、驚きながら美夜を見る。


「はい。四歳離れた兄が一人居ます。去年結婚して、もうすぐ赤ちゃんが生まれるんです」 


「へえ」 


 美夜は、顔を前に向け、懐かしい風景が目の前にあるかの様に、穏やかな表情で子供の頃の話をする。その柔らかな微笑みに、光は思わずじっと見つめ、耳を傾ける。


「兄は、私が少し苦手だったようで、美月とはよく遊んでいたんですけど……。あまり、兄と遊んだ記憶はないんです。美月は活発で、よく外を走り回っては怪我してばっかりで、近所の男の子達に紛れて泥だらけになってて。私は、兄や男の子達に、ここに居ろって言われたら、ずっとその場にいて、動かないような子供で。だから、時々忘れられたりして」


 そういうと、美夜は、ふふっと笑う。


「それは……どうなの?」


 光は困惑顔で瞬きをしたが、美夜は苦笑しながら話を続けた。


「でも、そういう時は、必ず美月が見つけてくれたんです」


「双子の力、かな?」


「さあ、どうでしょうね。でも、美月が探してるなっていうのは、何となく分かって、私はここに居るよって心で思うんです。そうすると、数分後に必ず美月が来て、一緒に帰ってました。兄も、私を忘れた事を反省するのか、その日の夜は、すごく優しいんですよ。自分の食後のデザートを私に半分くれたり、私も一緒に遊べるトランプをしようとか言い出したりして」


「でも、次の日には元通り?」


 美夜は苦笑しながら「ええ」と答えた。


 光は「なるほどね」と笑うと、楽しげに言葉を続ける。


「何だか、今とたいして変わらない感じだな、あんたら双子は」


「確かに、そうかも」


 美夜もその意見に同意し、笑った。


 生暖かい空気が夜の闇を包む。空に浮かんだ月が、四人の歩く道を明るく照らしていた。

 静かに、穏やかな時間が流れていく。


 もうすぐ、本格的な夏が来る。

 




最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


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