第2回メンテを終えて
「アプデが終わったぞー!!」
『がおつー』
『(「・ω・)「ガオー』
『がおつー』
『がおつー』
『ハイテンションやねw』
「みんな今日も来てくれてありがとー。
そりゃね! アプデ明けだからね!!」
8月17日の夕方。第2回の定期メンテナンスを終えて、数分といったところ。
しっかりとその前に用事を済ませて待機していた私は、サーバー解禁と共にログインをした。
今回の変更内容と題されたメッセージが届いているので、ざっと流し見。
うん、特に予定と変わったところは無いかな。
「今回のメンテの主題は、あくまでギルドってところかな〜」
『せやね』
『掲示板とか盛り上がってる』
『広場で募集あるみたいよ』
『ドレンが大々的に募ってたね』
『生産職の寄合みたいなのってあるんかなぁ』
『できるんちゃう? ああいうのって横の繋がり大事だし』
『そういえば、ギルドって何人までなんだろ』
「あれ? ほんとだ。さすがに人数制限はあるよね」
たしかに、予告では○人までみたいな話は出てなかったな。
人数制限は色んな意味で必要だろうから、設けられているんだろうけど。
……ふむ。コメント見る感じだと、1ギルド30名までみたいだね。
「30人かぁ。多いような少ないような」
『そんなもんじゃない?』
『どんなゲームも30が多い気がする』
『大規模戦とかもやりやすいよね』
『30-30の対戦とかあるんかなぁ』
『そういうの見据えるならなるべく大手に入りたさある』
『少人数は少人数で多少なら救済ありそうだけど』
『ユキはどうするん?』
「んー、私かぁ。
私はねぇ……まだ考え中かなぁ……」
将来的にギルドとしてのイベントがあるのならば、どこかのタイミングでは所属するべきなんだろう。
けれど、今ここで決めようとはちょっと思えない。
最有力候補としては、カナも誘ってくれている魔王軍? なんだろうけど……敵対してみたい気持ちもあるからな。
まあ、今すぐ決めないといけないって訳でもないから。
今までみたいにフラフラと行動しているうちに、何かまた面白いことになるかもしれないしね。
「さて、じゃあ今日やることを決めようか」
とりあえず、現状を整理しよう。
まず分かりやすい目標は、4日後に行われる大規模イベントだよね。
そこに向かって、やるべき準備を考える。
まず何より大事なのは、ポーションの補充だろう。
御守りを頂いてから、一度も買いに行っていない。
HP回復手段は、私にとって最も大切な命綱。ちゃんと確保しておかないとね。
ああ、そうだ。
この前伺った時、ジャイアントスパイダーの素材が足りないって言ってたっけ。
いつもお世話になってるし、取りに行こうかなぁ。
幸い、今やもうアレの相手は楽勝だからね。
もうひとつは、ゴブリン退治かな。
前々から言われていたことには、イベント開始までにゴブリンを削ることが大事らしいし。
……まぁ、かなり沢山の人が狩りに勤しんでくれているらしいから、正直なところ私の出る幕はないのかもしれないけど。
弱めの敵を倒すにあたっては効率が悪いからねぇ。わたしは。
「そうだ。オーガさんたちにリベンジもしないと」
『ああ』
『前回流れたもんね』
『数少ない完敗』
『連携が見事だったよなぁ』
『まぁ、今なら楽勝では』
『正直消耗してただけだしな』
「正直、そうなんだよねぇ。
凄く悔しくはあったんだけど。あの時は守護結界も切れちゃってたしね」
言い訳に過ぎないとはいえ、万全とは程遠い状況だったのも事実。
あれから更に私自身も強くなっていることを考えると、あまり苦戦をするとは思えないのが現状だね。
まぁ、もしかしたらあちら側も私たちプレイヤーみたいに一気に強化されることもあるかもしれない。
もしそうなれば、あれだけの連携をしてきた相手だ。少なからず苦戦はするだろう。
「相手が強くなってて苦戦するにせよ、蓋を開けてみれば楽勝だったにせよ。
とりあえず、負けたままで終わっているのは嫌だからさ!」
『まぁ、それはそう』
『リベンジはしたいよね』
『ゴブリン達の勢力を削ることにも繋がりそうだしな』
『出現位置的に関係はあるだろうね』
『凄女が負けてから目撃情報はないんだっけ?』
『ずっと無かったけど、昨日くらいからまた出てきたらしいよ』
『マ?』
『ゴブリン狩りしてた人達がちょこちょこやられてるらしい』
『まぁ、不意の遭遇相手としては強いもんな』
「あ、そうなんだ。目撃情報あるんだ……!」
それなら、話は早いね。
実際問題としてゴブリン狩りの妨げにもなっているのならば、倒しに行かない理由はないだろう。
トウカちゃんと見つけたダンジョンも気になるけれど、アレはまだ私のレベルには早い。
そもそも、3人がまた揃うタイミングじゃないとちょっと抜け駆けみたいで良くないしね。
「……よし。じゃー、方針決定!
まずは何時ぞやの森にまで行って、巨大蜘蛛の素材を回収。それから、ポーションを売ってもらうためにおばあちゃんに会う。
それらが終わったら、目撃情報を頼りにオーガパーティへのリベンジ。これでいこう!」
『いいね』
『【悲報】オーガたち、死す』
『早く逃げてええ!』
『悪魔が来るぞー!!』
『……悪魔が来る。お前たちだけでも逃げろ!』
『兄さん!? 嫌だ。そんなこと……!』
『いいから行け! 死にたいのか!』
「はいこらそこ。唐突な寸劇始めないの!」
全くもう。油断したらすぐ、煽るか変な連携し始めるんだから。
コメントを打ち込んで、それが反映されるまで多少は時間差が生まれる。
毎度思うけど、それなのに息のあったコメントしてるの本当にすごいよね。
「……さて。じゃあ、早速ジャイアントスパイダーの周回から始めようか!」
蜘蛛さん苦手な人も居るだろうし、なるべくぱぱっと終わらせたいね。
私も正直言うとそこまで好きじゃないし。
よし。じゃー行動開始だ!
前話では沢山の温かいお言葉、本当にありがとうございました!
まだまだ形になるのは先のお話とはなってしまいますが、刊行まで尽力して参りますのでどうぞよろしくお願いいたします。
出来れば毎週、最低でも隔週で発売まで頑張りたい……!




