地下墓地 2回目
大変お待たせ致しました。
前回までのお話。
レベル50超えた!
そうだ!地下墓地行かなきゃ!
「うーん。やっぱり何度来ても慣れる気がしない」
ドゥーバ近くの集合墓地。カタコンベへの入口があるその場所は、相も変わらず不気味だ。
初めて来た時と比べると、まだまだマシだけどね。
『わかる』
『雰囲気あるよね』
『下手なお化け屋敷より怖いまである』
『ここで肝試しやったらもりあがりそう』
『ホラー苦手な人どうするんだろう。クエスト場所になったら』
『諦める』
『そんな身も蓋もない』
「でも、実際問題として、苦手な人にとっては本当に辛いよねぇ。
私もちょっと怖かったし!」
『え』
『え』
『え』
『え??』
『ギルティ』
「なんでよーー!」
『つ鏡』
『つ鏡』
『嬉々としてアンデッド共を蹴散らしていた人間のセリフではない』
『あれは怖さというより楽しさで攻撃してる』
『実際高笑いしてなかったっけ』
「……ほら! 行くよ!」
会話を打ち切るようにして、地下墓地への入口へ向かう。
逃げた? 違うから! 話が進まないなっておもっただけだから!
地下墓地につながる扉は、しっかりと閉ざされていた。
前回のように祈りを捧げて、開錠。
この瞬間に関しては、さすがに似合わないなって自覚あるけど……方法がこうなんだから、仕方ない。
湧いてくる敵を適当になぎ倒しながら、奥へと進む。
特に構造やレベルに変化があるということはなく、前と同じ一本道。
「あー。門番さんも復活してるや」
◆◆◆◆◆◆◆◆
名前:アーマージェネラル
LV:40
状態:待機
◆◆◆◆◆◆◆◆
懐かしの、アーマージェネラル先輩。
今でこそレベルも上回っちゃったけど、当時は戦力差に慄いたよね。
「まぁ、たどる運命はかわんないんだけどねー」
通路から部屋に入る直前の区画。
まだ門番さんが反応しない距離からの、聖魔砲だ。
以前よりも遥かに短いチャージ時間。
それでも、アーマージェネラルを倒し切るには十分だった。
光の奔流が過ぎ去った後には何も残っておらず、ただ大きな扉が鎮座している。
『うわぁ』
『容赦ねぇ』
『せめて戦闘してあげてよ!!』
『【悲報】門番、またも微動だにせず撃沈』
『門番、とは』
『かわいそうに』
『そもそもこんな配置をした運営が悪い』
『部屋外から遠距離攻撃できちゃうのがなぁ』
「いやーそう! ほんとにそう!
対策してない運営さんが悪いよね!」
例えば、部屋に入った瞬間に門番が現れるとか。
それか、そもそも部屋に入るまではボスにダメージが通らないシステムとかでも良いよね。
『まぁ、これ聖職者用のダンジョンですし……』
『あーw』
『そもそも、遠距離超火力を想定されてないやろ』
『それはそうw』
『ユキが異常』
『凄女サマだからね』
『悪魔だしね』
『はいはい凄女凄女』
「はいはいどーせわたしは異端者ですよーだ」
立ち塞がるモノの居なくなった大扉へ。
前回同様にペンダントをはめ込んで、仕掛けを解く。
大仰な動作とともに、門が開いた。
「……お祈りもしとこうか。せっかく来たし」
棺の前に跪く。
チラッと『今こそ鎮魂歌を唄うときでは』というコメントが見えたような気がしたけど、無視だ無視。
最初の方に1回歌ってから、妙に求められるようになっちゃったんだよね。
やだよ。恥ずかしいもん。
こういうのは、言われると一気にハードル上がるものなの!
【地下墓地の浄化度が100になりました】
くだらないことを考えている間に、浄化が完了。
雑念だらけのお祈りで良かったんだろうかと、我ながら思う。
ペンダントが輝き、隠し部屋が開通。
長い階段を降りた先も、つい先日みたのと同じ光景だった。
「このあたりも、特に変わり映えは……およ?」
小部屋の中央に、台座があるのは変わらない。
けれど、その場所には何らかの物体が安置されていた。
「え、どういう仕組み?」
『なにが?』
『なにかあるね』
『あー』
『杖があった台座だもんな』
「そうだよね。前回帰る時、たしかにあの上にはもう何も残っていなかったはず」
あそこからは、今も愛用している聖女様の杖を入手した。
だから、台座の上には何も残っていないはずで……
「私のレベル50に対応したってところかなぁ」
『まぁ、無難にそうやろね』
『もはや1プレイヤー限定の設備になってて草』
『どういう仕組みなんだ』
『隠し部屋入るタイミングとか、祈りの時とかでレベルスキャンされてるんじゃないの』
『ありそう』
『入場者のレベルに応じて構造変わるタイプか』
『今後もそういうダンジョンあるかもね』
『考察たすかる』
「ほえー。まぁ考えても無駄ってところかなぁ」
『まぁ、そうね』
『ユキが言うとww』
『これは勢女』
『たすかる』
「……なんか扱いが釈然としないけど」
まぁ、それこそいつものことか。
気を取り直して、改めて台座へ目を向ける。
のせられていたのは、巻物のようなものだった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
アイテム:技能のスクロール【聖】
分類 :消費アイテム
説明 :歴代の聖女に継承される、秘技が記された巻物。
読んだ者は、初代の力の一端を手にすることだろう。
修得スキル【聖なる衣】 【聖女の祈り】
[イベントアイテム] [譲渡不可]
◆◆◆◆◆◆◆◆
「……スキルスクロール?」
『おーー』
『ええやん』
『読めば技能増えるよ』
『2つはアツい』
『専用技能だろうし、激強の予感』
『また勢女様が勢女様するのか……』
『いや、まだわからんぞ』
『そうだ。なんてったって勢女サマだからな』
『今回も期待』
「もーっ!! また変な期待して!
忘れてるんじゃないかな? 前回ここで得たものを!」
そう。前回この場所で得たものを思い出して欲しい。
聖女専用の杖と、それに付随する特殊スキル。
それはとても強力で、私にとって無くてはならないレベルのものになった。
つまり今回も……
『なお杖自体は宝の持ち腐れな模様』
『後衛用の杖すら持てない聖女様がいるってマジ?』
『ひ弱がすぎるんだよなぁ』
『職業装備を持てない女』
『説明文にすら煽られる女』
やかましいわっ!!!!
聖女の杖すら筋力不足。
※前回頂いたアイデア、とても面白いものも多くてにこにこしてました。
どこかで拾えそうなもの拾いたいところ……!!
次話は来週投稿できる、はず。
もし宜しければポイント投げてやってください。




