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亀さん りべんじ

アイアンタートルに挑むも、その鉄壁具合にあえなく敗北を……え? 負けてないって? ああ、そう。





「ふ~~~~」


 後方への転進を決意した私は、亀さんの鈍さも相まってなんとか無事に門までたどり着いていた。

 敗北でも後退でもないよ! 転進しただけだから!


 あれ、これってなんのネタだっけ? まぁいいか。


 ともかく、油断はしていないつもりだったけれど、何処か無意識で甘く見ていたのだろう。

 HPの半分ほどを使った攻撃が無効化されたことで、私は仕切り直しを選んだ。

 多分、この判断は間違っていない。


「……流石にノーダメージはびっくりしたなぁ」


『防御全振りかね』

『極振り対決じゃん』

『いや草』

『音的に、バリア的な何か?』

『守護結界みたいな類かも』

『シンプルに防御力が高すぎるだけって線もある』


「防御だとしたら、GAMANで貫通できるかな。

 防御力や守護結界的なものによるとすれば、最大の威力まで持っていきさえすれば魔砲でもいけるかも?」


 耐久値が定まったバリアならばそれを上回れば良いだけ。

 防御力としても、一万を超える威力ならば貫けるかもしれない。


 一番の問題は、甲羅にこもったとき無敵になる場合かなぁ。

 まあでも、何となくそれはなさそうなんだよね。

 こんな平原で無敵の亀さんとか出てこられても……いや、むしろそれがギミック扱いってことも有りうるのか。


「まあいいや。

 とりあえず次の方針としては、一切出し惜しみ無しにすれば勝てるか試したい……ってところかな。

 HP1になるまでチャージして、[守護結界]も切っちゃって万一の備えはそれに任せる感じ!」


『ボス余裕で倒せる構えで草』

『ガチだ』

『逆にこれで無理なら諦めつくもんな』

『守護結界がHP消費のリスクをカバーしてるの強すぎる』

『HP1なのに1万ダメージ与えても倒せないとかマジ????』


 言葉にすると、確かに異様な硬さが際立つよね。

 守護結界が残っている状態なら実質HP24000くらいだよ。これは凄いや。


「多分だけども、あの亀さんHP自体は低いはずだから。

 後は、防御を突破できるかどうか。いっくよー!」


『まあレベル40だもんなw』

『圧倒的耐久特化』

『耐久特化VS耐久特化』

『いや凄女サマはもはや別のなにかだろ』

『生物VS凄女』

『いや凄女ナニモンだよww わかるけど(』

『わかるんかい』

『わかるわ』

『わかるよな』


「よし今からあの亀を視聴者さんたちだとおもって粉砕してくるね」


『おいやめろ』

『亀さん逃げて!?』

『これは酷いやつあたり』

『マジで逃げてくれ亀』

『足取り早くなってて草』


 い、いや流石に冗談だから。早足になっているのは、とっとと亀を倒したいから。

 決して、モヤモヤしたものをいち早くぶつけてやろうとかそんなこと考えているわけじゃないよ。うん。


 誰にともなく言い訳をしているうちに、さっきの地点に到達した。

 前方には、やはり亀さん。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆

 名前:アイアンタートル

 LV:40

 状態:平常

 ◆◆◆◆◆◆◆◆



 同じ存在である確証はないけどね。一旦消えて、別の亀が出て来ている可能性もある。

 ゲームの世界では、これをデスポーンとリポップって言うらしい。

 

 けど、なんとなく。

 この亀さんはさっきと同じ子なんじゃないかなーって思い。

 リベンジしたいだけだろって? いやいや、さっきはそもそも負けてないからね。


 近づく前に、【守護結界】を起動。

 これで保険は万全。あとは、じっくり時間をかけて最大まで充填をするだけ。

 まだ亀さんにとっては探知範囲外であるらしい。

 とりあえず、しばらく様子見をして…………


 よし、80%。そろそろ頃合いだろう。

 ゆっくりと歩み寄ると、アイアンタートルもこちらを向いた。


 まあ、大丈夫。


「気づかれてるけど、あいつは足が遅いから。

 チャージ完了までの20秒くらい余裕で…………ぎゃっ!?


 ちょっとっ!? そんなに射程長いなんて聞いてないよっ!!」


 ピシャーンという音が響き渡り、雷が私に直撃した。

 と言っても、身体を薄く覆うような結界が防いでくれたので、痛くはないんだけども。


『いや草』

『コントかよ』

『コントじゃん』

『急に小者臭醸し出し始めたのなんなんだw』

『オーガ相手に威厳だしてた凄女サマはどこに』

『これはアカン流れでは』


「アカンくないし! 行くよ! 発射ぁ!」


 好きに言わせておけば良い。言葉よりも結果で知らしめるのだ。

 そんな勢いのままに放射した【聖魔砲】。

 その威力、1万オーバー!


 これで無理なら、いよいよ打つ手が限られてしまう。頼む、効いてくれ!


 恐らく今まで見た中でなによりも太く、強大な光線。

 山すらもえぐり取りそうなビームが、真っ直ぐに亀に突き刺さる。

 

 早々に甲羅に籠もり、盤石の構えを見せつけるアイアンタートルであったが……


 

 光の消えた先に、その姿は跡形も残されていなかった。


『うわぁ……』

『凄女さまマジ凄女さま』

『破壊の化身じゃん』

『後ろの森がごっそり削られてるの笑うんだけど』

『これは悪魔』

『今日からおまえ破壊神な』


「なんとでも言うといいさ! 私は亀さんをちゃんと倒せてご機嫌なの。

 あっはっはっは…………


 『これまでの行動経験により[ドレイン]』を修得しました』


  ……は?」


 ちょっとまって。ドレイン?

 すっかり油断していたタイミングでのアナウンスに、思わず間抜けな声が出る。


 慌ててウィンドウを開いて、詳細を確認。

 もちろん、共有……可視化も忘れていないよ!



 ◆◆◆◆◆◆◆◆

 技能:ドレイン

 効果:直接手で触れている相手を対象。HPを奪い取り、自らのものとする。

    威力は自身の最大HPの5%と控えめだが、クールタイムも相応に短い。闇属性。

 条件:【悪魔】として戦闘に勝利する

 ◆◆◆◆◆◆◆◆



 やっぱり【悪魔】仕事してるんじゃんかーーっ!!







闇と聖……そう、暗黒と光の双方をつかいこなす不死身の戦士に……あ、すみませんナンデモナイデス





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― 新着の感想 ―
[気になる点] 5%……控えめ?……10,000越え……後衛はタッチされたらアウトの鬼ごっこがはっじまっるよー♪
[一言] 「自身の」? 「最大HP依存の」?? 「正比例威力」???? こーれは闇耐性持ち以外足切りされますね……魔女になっちゃったよこの凄女さん
[一言] 相手のHPの割合ダメージならともかく自分のHP換算は珍しいなぁ 自爆とかたいあたり系なら見た事あるけどドレインかぁ 急に近寄るの危険になったなw
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