第一回アップデート情報
カナの襲撃により、急遽、二人並んでアップデート情報確認の配信をすることになった。
「はいはいみんなこんちゃー。ユキだよ」
『がおつー』
『がおつー』
『がおつー』
『ฅ( •ω• ฅ)ガオ-♡』
『結構唐突やねw』
『告知見て飛んできました』
『アプデ速報配信と聞いて』
「そうそう。今日は突然だけど、正午から配信されるアプデ速報をみんなで見ようーって内容になります!
発案は私じゃないんだけどね。ってことで、どうぞ!」
「皆おおきにー。かなちゃんねる……じゃなくて、なんと今日はユキの部屋からやっていくでー」
「初めてのオフライン配信……ん? 配信してる時点でオンライン?
ま、まぁいいや。とりあえず、リアルのほうから配信してるよ!」
「主題はもちろん、公認実況者ユキによるアプデプレビュー!
まあ、特別早いわけでもなく、あくまで視聴者さんたちと同時に観るわけやけどな。
ウチは、ユキの膝の上からチャチャいれる役や!」
『なるほどね』
『昔からそういう配信結構あったよね』
『そういえば公認だったなぁ』
『ガタッ』
『ガタタッ』
『膝の……上?』
『久々のカナユキきたー!』
『膝の上とかてえてえ』
「さらっとウソをつくな! 普通に隣に居ますから!
というか、カナのほうが私より大きいでしょ。どっちかといえば私が乗る側じゃないの!?」
「ほうほうユキちゃんは私の膝の上を御所望と」
「言ってなーーーいっ!!!」
『草』
『仲ええなw』
『リアルの情報助かる』
『↑元々体格はゲームでわかるでしょ(』
『インクリはリアル準拠だからね』
『そっか』
『ここまで仲良いと映像ほしいな』
『そこは想像するところやで』
「映像は色々な意味で準備がね~。まあ、期待しないでおいてもらえると嬉しいかな。
さて、いきなり脱線しかけたけど、アプデ情報みていくよ!」
「ぱちぱちぱちぱちー」
気のない拍手(しかも声)を横から受けながら、パソコンの画面を操作。
もちろん、私が今見ている画面は配信上に共有されている。
えーと。新着情報、新着情報……あった!
『アップデートの詳細について』と題された記事を選択し、表示。
「おーー。結構あるね。えーっとまずは……
レベルキャップの解放。50から60に」
「え、レベルキャップ存在してたん?」
「そうみたい。全然知らなかった」
『誰も届いてないしな』
『あったんだw』
『今一番高いのどれくらいだっけ』
『45行ってた気がする』
『バケモンかよ』
「上には上がいるって感じだね~。次行くよ。
えーと。職業、称号、技能の追加。詳細はご自身の手で探し出してみて下さい」
「ほーー。早速増やすんか。職業までってのが意外やったな」
『アレじゃない? ユニーク系で文句上がったとか』
『MMOでユニークはありえないとか言う奴いそうだよな』
『それに対する運営の回答「ユニーク増やします」』
『草』
「まーあれだもんね。そもそも『無限の創造性』とかそんなんじゃなかったっけ。キャッチフレーズ。
運営さんとしては、それぞれがユニークを見つけ出すくらいの気概で居てほしいし、またそれに応えうる準備をしてあるって感じなんじゃないかな。
あくまで勝手な予想だけどね」
「やったらフットワーク軽いしな。ありそうや。
さて、次は? S5エリアの実装。ドゥーバ南門を開放。
おー! もう開放してくれんのか!」
「え? 南門封鎖されてたの?」
「いや、なんで知らんねーん!」
『ウッソだろw』
『そういえば一回も南側行ってないもんね』
『だからってそんなことある??』
『一番最初の到達者なのに……w』
「むむ。皆知ってたのか……メンテナンス明けたら覗いてみようか。
補足によると一気にレベル上がるらしいけど……まあなんとかなるでしょ」
「高難度になるってアレやな。聖都の南って国土がそのまま広がってるはずやのに敵強くなるんやな。
そこらに住んどる人々どうなっとるんやっていうお約束は健在か」
『わかるw』
『RPGの最後の方にでてくる村人、最強説』
『ラスダン手前にある村の人員とかやばそうだよな』
『昔からのお約束だ』
『もうお前らで魔王倒せよってなるやつww』
「南に行くほど実際にあの世界の人たちも強くなってたりして。それも楽しみだね。
次行くよー。お。ワールドクエストが進行するんだって!」
「ほう? オーガを始めとした一部の部隊が稀にこちら側に侵攻してくる。
ってこれ、ユキが負けたやつらのことちゃうか?」
「ほんとだ。リベンジのチャンスかも。
もし襲いかかってきたら迎え撃たなきゃ。次はもう負けないよ」
『やる気だ』
『リベンジに燃えるユキちゃん』
『いいね』
『オーガさん逃げて!!』
『あーあー悪魔を怒らせちゃった』
『悪魔に目を付けられるとかオワリでは』
『勢女な凄女だからな』
「ドサクサに紛れて煽ってんじゃなーい!」
「相変わらず人気やなぁ。さて、情報はこんなもんかな?」
カナの言葉通り、このページに載っている情報はもう終わりみたい。
なかなか濃いアップデートだね。初回から凄いや。
「さて、じゃあ配信は切り上げる?」
「んーーせやなぁ。メンテ前に用事済ませときたいところもあるかも……お?」
ちょっと短めだけど、取り敢えずは切り上げようかという話になって。
コメント欄でも、お疲れーと流れはじめた、その瞬間だった。
『【インクリ公式】ユキ様、お待ちを!』
一件のコメントが投下され、場が騒然とする。
突然の公式チャンネルからの発信。一体なにごとだと固まる私の目に、さらなるコメントが流れた。
『【インクリ公式】先行公開情報をお渡しします。メールを御覧ください!
視聴者様方も、どうぞチャンネルをそのままお待ちくださいませ!』
いや、本当にフットワーク軽いな!?
私の今もやっているc○cというゲームでも、ユーザーの生配信コメント欄に公式さんがひょこひょこ顔を出すので……それをイメージしてみましたっ




