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デジャヴ

お互いの得意な方法で、一体ずつロックゴーレムを屠ってみせたトウカとユキ。

二人はそのままの勢いで乱獲を始めたのでありました。





 ロックゴーレムを狩り続けること、しばらく。


 先程までぽんぽんとでてきていた奴らの出現が、めっきりと止まったことに気づいた。


「あれ?出てこない、ね」


「狩り尽くしちゃったんでしょうか?」


 ハンマーを肩に担ぎながら、きょろきょろと見回すトウカちゃん。

 その無垢な姿は、やはり先程まで豪快にゴーレムを粉砕していた猛者にはとても見えない。


「んー。 そういえば、気付かない間にかなり奥まで来たね?」


「あ、ほんとですね。マップをみても相当な距離です」


 このゲームは、現状アジーンを起点として斜めにエリアが広がっていて、境界線は斜めに真っ直ぐ伸びている。奥に行けば行くほど、1つあたりの横幅? は物凄く広くなっていくらしい。

 まあ、あんまり広くなりすぎたら分割されるのかもしれないけどね。


 何が言いたいのかというと、エリア自体はS4で変わっていないものの、実際は最初の方で言う2エリア分くらいは移動してきちゃっているということ。

 うん。かーなり奥まで来たや。


 

『今更きづいたのか』

『軽い散歩みたいなノリで何処まで行くんだ』

『てっきりエリアボスまで狙っているのかと』

『ロックゴーレムが玩具のように葬られて行く』

『非常に爽快で良き』

『なんかこう、スカッとするよねこの二人w』


「エリアボスね~。私としてはトウカちゃんとなら挑んでみたいところだけど」


「正直どのあたりにいけば良いのかあまり見当つかないんですよね。いっそ、かなり南行きます?」


「それもありかな~~。 ちょっと強敵と戦ってみたい気分だ」


「強敵……そういえば、こんな流れじゃありませんでしたっけ?」


 のんびりと雑談をしていると、ふとトウカちゃんがなにかに気づいたらしい。

 どうかしたのか、と目を向けると、彼女はにまっと笑った。


「いえ、ユキさんの初配信の動画を思い出しまして」


「私の初日か~。 なんだか懐かしい気がする」


『わかる』

『わかる』

『あのときはあんなに初心だったのに……』

『すっかり凶悪になっちゃっ……ん?』

『いや初日からおかしかっただろw』

『受動的ではあるもののビームぶっ放してたなw』

『やべーやつは初日からやべー』

『怖いなぁ』

『凄女さまだから仕方ない』


「初日は少なくとも聖女ではなかったはずだけど!?」


『大差ないだろ』

『うわせいじょつょい』

『草』


「あんたらなぁ!」


「……そもそも一週間も経っていないことなんですし、やっぱり本質として凄女なのでは?」


「トウカちゃん?」


「い、いえ! なんでもありません!」


 取って貼り付けたような笑みを浮かべるトウカちゃん。

 あれーおっかしいな。この場に私の味方は居ないのか?


 悲しい、悲しいなぁ!


「……あ、でも、さいしょに言わんとしたところは伝わったかも」


 ふと思い至って、ここまでを振り返る。


 未知のエリアに突撃。

 一体ずつ湧き出てくる強め(のはず)の敵を討伐。

 倒し続けているうちに出現が止まった。


 これ、たしかに初日とすっごく似た状況だね。 既視感ってやつだ。


『あー』

『なるほどねw』

『フィールドボス来るか?』

『ボス戦か~~??』


 すこしだけ、空気が張り詰める。

 トウカちゃんを見てみると、両手を使ってぶんぶんとハンマーを円状に振り回していた。


 ……あはは、あれ、うっかり当たったらものすっごいふっ飛ばされそうだなぁ。

 でも、私も気合は充分といったところ。


「あ」


「どうしました?」


「……いや、新しいスキル使うのすっかり忘れてたなって」


 バギーニャ·トロスティのスキル、【守護結界】

 一応使ってみたいとは思っていたんだけど、展開が展開だったせいでなかなか使い所が無かった。


「ああ、杖の?」


「うん」


「ふふ。試すには絶好の機会みたいですね?」


 周囲の魔力が、急速に高まっていく。

 ゴゴゴ……という地響きとともに、土埃が舞い上がり始めた。


 集まり渦を巻いた力がドンドンと膨れ上がっていくさまを、固唾を呑んで見守る。

 確認した杖のステータスには、しっかりと守護結界が最大チャージされていることが示されていた。


「……来ますっ!」


 カッという光とともに、渦の中から出現したモンスター。

 それは、ロックゴーレムと似たフォルムでありながらも、どこかすらりとした印象も受ける。

 光を反射して、キラリと光る身体。 赤い瞳と、目が合った。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆

 名前:ミスリルゴーレム

 LV:55

 状態:平常

 ◆◆◆◆◆◆◆◆



 こ、これ、勝てるの!?






次回、フィールドボス戦



遅くなっていて申し訳有りません。

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2023年1月20日に、第1巻発売されます!➡︎告知https://twitter.com/komaru0412/status/1584742818631012352?t=No8qGuhtVt37w2Jk0SwIKg&s=19
― 新着の感想 ―
[一言] ソロの極振りは攻守兼ね備えないと死ぬ。適正レベルのボスは基本ステでは格上で、同じラインに立ってよーいドンでは競り勝てる筈がないから。 誰とは言わんけど一撃喰らえば死ぬ高機動戦士とかも回避で…
[一言] AGI極振りからの回避特化こそ至高!!! 昨日読み始めて追いつきましたぁー ユキが可愛いんじゃ
[良い点] もし守護結界で受ける分もGAMANにチャージできるなら、カウンターがすごいことになりそうですw
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