ワールドクエスト 顔合わせ
大変お待たせ致しました!
本日より第2巻、1部媒体にて先行配信!
書籍の発売は20日となります!
(大まかなあらすじ)
いよいよレイドが始まるよ
「ほぇ〜〜。ここが、総司令部……」
フレイさんのお店から帰ろうと言うところ。
『忘れるところだった』と添えて彼女から伝言を伝えられた。
その相手は、カナリアという女性。
生産職連合の元締めをやっているらしく、今回のワールドクエストにあたって一部の人達に声をかけているらしい。
作戦会議をしたいから、東門前に築かれている陣地の本部に集まって欲しいとのこと。
門の前には、街全体を守るように防衛陣地が構築されている。
冒険者ギルドの人達とも協力して、今回きっちりと街を防衛するために作り上げたんだって。
そんな大陣地の本部と言うからには、やはり相当に大きなもので。
威圧感さえ感じさせる天幕の前で思わず見上げていると、不意に後ろから声がかかった、
「あら〜もしかして、聖女ユキちゃんかしら〜?」
振り返った所にいたのは、白い法衣を身にまとった淡い翠髪のお姉さん。
見覚えは無いのだけれど、衣装も相まってどこか神秘的な雰囲気さえ漂わせている。
私なんかよりよっぽど聖女っぽくない? このひと。
頭によぎったそんなどうでも良いことを振り払い、会釈する。
えっと、フレイさんから貰った情報と照合して……
「ええ。貴女は……シンシアさんですか?」
「あら〜!噂の聖女様に認知して頂けていたなんて、光栄ですわ〜」
「い、いや、私そんなもんじゃ……。フレイさんからお伺いしました!なんというかこう、私と違って真っ当なヒーラーだって」
「なるほど〜。フレイから。ユキちゃんが真っ当でない……とまでは言いませんが、確かに私は回復役を務めております。恐らく、今回もその役割かと〜」
「いえ、自覚はありますんで……」
自分で言いたかないが、凄女な聖女だ。普通とは口が裂けても言えないだろう。
それに対して、彼女は神術士……だったかな? 派生職、祈祷師の進化系。回復や防御の補助に関しては右に出るものが居ないほどの腕前なんだとか。
……やっぱり、私なんかよりよっぽど聖女じゃない?
フレイさんから貰った情報によると、ここに集められたのはサーバーの中でも屈指の実力者たち。
もちろん、アジーンの方の防衛もしなきゃいけないので、あっち側を担当する人も多い。
有名どころで言うと、剣士のサクラさんとか、大盾使いの……誰だっけ。吟遊詩人のクルスさんに、あと、後衛アタッカーとしてカナやフリージアさん。
そうそう。カナはちゃんとこっち側だった。管轄が違うから、イベント中に会うことは無いんだけどね。
こっちの陣地所属で言うと……
「やあやあ。美しいお嬢さんたち。此処が本部で合っているのかな?」
「歓談中すまない。私も此方に用があって来たのだが」
「あらあらぁ〜!前回トップ2が揃ってご到着ね〜」
噂をすれば、だね。
『勇者』ユリウスさんと、『剣神』ドレンさん。
どちらも大層な2つ名が付けられているだけあって、やはり強者。シンシアさんの言った通り、前回イベントではカナも含めてトップ3だ。
気の所為かもしれないけれど、身に纏うオーラからして違うような感じがする。
「初めまして。ユキです。質問の答えですけど、私もまだ入ってなくて。けど、まぁここじゃないかなぁとは思ってます」
「存在は存じ上げている。私はドレン。『戦闘狂』だの『殺戮機械』だの不名誉な呼び名で呼ばれているが、私はただ魔物との戦闘を繰り返しているに過ぎない」
「僕はユリウス。『勇者』だなんて大層な名前で呼ばれているらしいけれど、至って普通の剣士さ」
「シンシア。治癒と補助が管轄よ〜」
表情の変化は少ないながらも、何処か苦々しいような様子を見せて自己紹介をするドレンさん。
不名誉な二つ名を付けられて困っているのは、やはり私だけではないようだ。
ユリウスさんは、サラリと髪をかきあげると微笑む。
うーん。いや、カッコイイんだ。確かにかっこいいんだけど、どっちかと言うとキザって言葉がしっくり来るかな?
いや、嫌味っぽいとまでは思わないから、その言葉は不適切か。
なんて言うかなぁ。自然体でカッコつけようとしているような、ありのままが格好付けているような、そんな感じ。
シンシアさんは……うん。やっぱり聖女。柔らかな雰囲気と言い、神秘的な装いといい、そして言葉通りならば真っ当に後衛支援を担当することと言い。
聖女の称号、今からでもお譲りしましょうか。
え?だめ? そっか……。
「えーっと、とりあえず入ります?」
軽く自己紹介が終わったところで、特に異論も無かったので全員で中へ。
天幕の中には円卓が置かれていて、わざわざ蝋燭立てなどで飾り付けられている辺り、雰囲気も大事にしているようだ。
長机じゃなくて円卓にしてあるのは、変に上座下座の概念を作らないようにする為かな?
「あら、皆さん同時に来てくださったのね」
先に一人来ていたらしい。一番奥に座っていた人が立ち上がる。
「私はカナリア。生産連合からの代表として、今回は皆さんに招集をかけさせていただきました。快く集まってくれたこと、感謝するわ」
朱を基調としたマントが目を引く赤髪の女性は、堂々とした立ち振る舞いで一礼した。
各々も軽く自己紹介を兼ねて言葉を返し、適当な席に着く。
「席の序列とか、そういうのは気にしないで貰えると助かるわ。もしアレだったら、この席は譲るけれど」
「構わない。我々は同じプレイヤーだ。特にギルドとして集まっている訳でもないこの場において、上も下もないと考えている」
「僕も、気にしないさ」
その言葉を受けて、カナリアさんはまた中央の入口から見て1番遠い席に座り直す。
あ。ふっつーに円卓でも序列の概念あるんだ。
危な。変に恥をかくところだったかも。
カナリアさんを中心として、左回りにドレンさん、シンシアさん。右回りにユリウスさん、そして私が座る。
あれ? 用意された席はもう1つ。ちょうどカナリアさんの目の前が空いているようだけど……
「ごっめんなさーーーい!!迷子になっちゃって遅くなりましたぁ!!」
バサァっと勢いよく、入口の布が開け放たれる。
転がるようにして駆け込んできたのは、よく見知った影だった。
「トウカちゃん!」
一気に増えたけど、ドレン、ユリウス、シンシア、カナリアにユキとトウカちゃんがメインとなります。後は名前だけ適当に流してもらえれば大丈夫
いよいよ第2巻の発売が目前に迫ってまいりました。第3巻に届かせるためにも、どうか皆様書籍の応援もよろしくお願い致します!
イラスト最高にいいぞ!!!
コミカライズも、間もなく連載開始です!




