希望を打ち破りし戦果

　

『特殊部隊【大鬼の希望】に勝利しました』

『ボーナス経験値が付与されます』

『只今の戦闘経験によりレベルが53に上がりました』

『只今の戦闘経験により【斬撃耐性】を修得しました』

『只今の戦闘経験により【火炎耐性】を修得しました』

『『只今の戦闘経験により【畏怖:小鬼族(ゴブリン)】を獲得しました』

『只今の戦闘経験により【畏怖:大鬼族(オーガ)】を獲得しました』

『【畏れられる者】を獲得しました』

『特殊部隊【大鬼の希望】が討伐されました』

『ワールドクエスト【ゴブリンの大侵攻】に影響します』

『ボーナスポイントが付与されました』

『【人族の希望】を獲得しました』

「わーーっちょっっとまってまってせめてもうちょっっと余韻に浸らせて！？」

『888』

『おめー』

『お？』

『インフォかw』

『一気に来たんだろうなぁ』

『ホッとした表情、一瞬で崩されてて草』

『何も焦らんくてええんやで』

『とりあえず回復しな』

『相変わらずのHP1である』

「そ、そうだね。ありがとう」

　ちょっと怒涛のインフォメーションにテンパっちゃったけど、そうだね。

　ここは敵地(？)。ちゃんとHPは回復しておかないと。

　戦闘中見てる余裕が全然なかったコメント欄だけど、今の感じを見るにいつも通りあたたかく応援してくれていたみたいだね。

「いやーでも、ほんとに勝てて良かったぁ」

『正直もうちょっと余裕だと思ってた』

『わかる』

『攻撃完全無効系の防御スキル複数あったのやっぱエグイな』

『パラディンとドルイドが1個ずつか』

『まぁそれを押しきったんですけどね』

「ギリギリだったよー。ほんとに、手札の数でギリギリ勝ったって感じだった」

『手札の数で勝つ』

『なお1v4な模様』

『マジでどっちがボスか分からんな……』

『そりゃ凄女ですし』

『凄女、ボスエネミーだった……？？』

『何回目だこのくだりw』

「だーれがボスエネミーじゃ！

　ほら、色々確認行くよ！」

　まずはレベル。3つも上がったことで、当然ながらHPも上昇。

　◆◆◆◆◆◆◆◆

　名前:ユキ

　職業:聖女

　レベル:53

　ＨＰ:18134

　ＭＰ:0

　◆◆◆◆◆◆◆◆

「1万8000越えた。順調！」

『えっぐ』

『実質2倍だからなぁ』

『3万6000……』

『もはやボス超えてレイドボスの領域じゃね？』

『レイドボス:凄女かぁ……』

『まだ実装すらされてないのにww』

「レイド……複数パーティ合同で戦うボスだよね？いくらなんでもそんな…………」

『いや、あるだろw』

『ちょっと足りないくらい』

『手数少なめな圧倒的火力とかまさにそれっぽい』

『たまに飛んでくるタンクとバフ必須の超火力ね』

『ダメージ与えたら反撃飛んでくるのとかマジでエネミーギミックっぽくね？』

『それはほんとにそうww』

「わーわー！！ほら、そんなことよりほらこれみて！」

　流れを断ち切るように、ウィンドウを表示。

　カメラドローンくんに見せつける。

『は？』

『は？？？』

『4桁！？』

『VIT1000越えwww』

『さすがにバケモンすぎる』

『これが最前線の全振りかぁ……』

『マジでやってるゲーム違うだろ』

「ふっふっふ……装備の補正込だけどね！」

　桁が変わると、本当に成長を実感するよね。嬉しい。

　装備の補正抜きで4桁に届くまでも、あとちょっとだ。

「次は、無難どころ……かな？」

　◆◆◆◆◆◆◆◆

　技能:斬撃耐性

　効果:パッシブ。斬撃属性の攻撃の被ダメージを5パーセント軽減する。

　p.s.そろそろ斬られ慣れてきたでしょ？

　◆◆◆◆◆◆◆◆

「いや慣れないよ！！」

『草ww』

『運営さんよくわかっていらっしゃる』

『なんでここの運営こんな遊び心に溢れてんだよw』

『こうなると俄然もうひとつにも期待が持てる』

『わかる』

「そんな期待したくないわっ。ほら、表示するよ」

　ひょいひょいとウィンドウを表示。

　みんなの前に可視化する。

　◆◆◆◆◆◆◆◆

　技能:火炎耐性

　効果:パッシブ。火炎属性の攻撃の被ダメージを5パーセント軽減する。

　p.s.聖女と言えば味方に火炙りにされると聴きました

　◆◆◆◆◆◆◆◆

「絶対あんときのじゃんかーっ！！！！」

『wwww』

『えぇ……ww』

『いつだっけ火葬凄女』

『ミスリルゴーレム？』

『いや、カナとだからダンジョン探索やね』

『ああ、ウルフか』

『トウカが噛まれて消えてった回』

『カナがウルフごとユキを燃やした回』

「ほらもう、次行くからね！？」

　なんでだ。

　なんで喜ばしいことのはずなのに、こんなに複雑な思いを抱かないといけないんだ。

　私で遊ぶにも程があるでしょうがー！！

　◆◆◆◆◆◆◆◆

　称号:畏怖:小鬼族

　効果:小鬼族から恐怖の対象となる。その程度は、格下になればなるほど強い。 一部のNPC好感度に補正　　

　説明:かの者は小鬼族にとって恐怖の対象となった。生半可な者では本能が立ち向かうことを拒否することだろう。

　◆◆◆◆◆◆◆◆

　◆◆◆◆◆◆◆◆

　称号:畏怖:大鬼族

　効果:大鬼族から恐怖の対象となる。その程度は、格下になればなるほど強い。 一部のNPC好感度に補正　　

　説明:かの者は大鬼族にとって恐怖の対象となった。生半可な者では本能が立ち向かうことを拒否することだろう。

　◆◆◆◆◆◆◆◆

「あー……これは、まぁ……」

『しゃーないね』

『希望を打ち破ったわけだしな』

『ついにモブから明確に恐れられる聖女』

『俺の知る聖女じゃねぇ』

『いやだって凄女ですし』

『ああそうか』

「何回やるんだそのやり取り！！次行くよ！」

　視聴者さんたちが考察及び感想をなげてくれるから、正直私が言うことが何も無い。

　それそのものはいいんだけど、毎度毎度好き放題言い過ぎじゃないだろうか！

　◆◆◆◆◆◆◆◆

　称号:人族の希望(ホープ)

　効果:人族側に立って戦う際、獲得経験値に上方補正 一部のNPC好感度に補正　　

　説明:人族の若手有望株として認められた者の証。彼らの成長が、これからの人族の未来を担うだろう。

　◆◆◆◆◆◆◆◆

「うお、なんか急にまともな称号っぽいの来た」

『たしかに』

『これはシンプルにいいね』

『経験値補正は強い』

『文章深いなぁ……』

『これ、魔王様案件？』

「いやーどうだろう……。でも、やっぱり自由な世界っことなんだろうね」

　私たちは、人間族の異邦者として、この世界に降り立っている。

　けれど、だからといって必ずしも人間族側として戦うわけではない。

　展開によっては、敵側に行くことも出来る。

　これは、そういうことを示しているんだろう。

　とはいえ、基本的にフレンドリーファイアとかがオフの世界だから……あくまでフレーバー要素って可能性も高いかな？

　魔物側に立つのなら、普段どうするんだって話になるし。

　いや、それも全部含めての、公式イベントってことか。

「おっと。考察してたらキリがないか。その辺はまた得意な方々に任せるとして……

　最後の確認、行っちゃおうか！」

『せやね』

『お』

『不穏なやつか』

『いちばん不穏そうなもの最後に持ってくるの、いいよな』

『魅せ方をわかってる』

『絶対逃げてただけだろw』

『www』

「や、やかましわっ！

　もしかしたら良い効果かもしれないでしょ！ほら行くよ！」

　えいやっとウィンドウを操作。可視化する。

　さて、名前からして確かに不穏だけども……

　◆◆◆◆◆◆◆◆

　称号:畏れられる者

　効果:『畏』の対象となりやすくなる。 迚ケ谿願?譚。莉カ

　説明:畏怖と畏敬は表裏一体。貴方に今後集まるのは、『怖』か『敬』か……

　◆◆◆◆◆◆◆◆

　ちゃんと不穏だったーー！！！！