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順調な探索

 

 猟犬を先行、正解のルートを確定したら、ワープ地点を設置させ、ワープで移動する

 そんな攻略方法でダンジョンを奥まで進んでいく。


「つまんねぇ、超つまんねぇ」


 この攻略方法は楽でいいんだけど、戦う相手にも遭遇しないからスゲェ退屈なんだよな。

 俺がボヤいていると、ロボットの猟犬が近づき、俺にすり寄ってくる。なるほど、飼い主に媚びを売る方法もプログラムされてるのか。まぁ、飼い主じゃないんし、ロボットが媚びを売ってどうするのかって感じもするし、精神状態がよろしくない人間を見たら慰めるようにプログラムされてるんだろう。何処の世界の物なのかは知らねぇけど、かなり文明の進んだ世界の物だね。


「正解のルートを探索中ですが、まだ見つかりません」


 システラは自分の周囲に立体投影されたディスプレイを真剣な顔で見つめながら俺に報告する。

 ダンジョンの雰囲気は変わらず、幾つもに枝分かれたした同じような同じ通路が続く迷路といった感じだ。

 正解が見つからないなら、足を使って虱潰しに正解を探していくってのが良いんだが、それをシステラの機鋼猟犬とドローンが代わりにやってるから、俺が歩いて探すのと大して変わらないんだよね。


「まぁ、ゆっくり探してよ」


 俺はじゃれついてくる猟犬の頭を撫でる。

 ロボットなので金属の感触しかしないんだけど、それが良い。

 俺はモフモフとか嫌いだし、つるつるですべすべしてる方が良いんだ。

 そもそも動物が苦手なんだよね。人間だった時から、犬や猫も含めて動物は苦手だって言うと変な奴に思われたなぁ。俺は他人ひとの好き嫌いに口を出さないんだから、キミらも俺の好き嫌いに口を出さないでくれないかって思ったもんだぜ。


「その子も使って良いですか?」


 俺にじゃれついていたロボットの猟犬を見てシステラが言う。

 どうぞ、そろそろウザったくなってきた頃だから、どっかにやってくれると助かる。

 機械でも面倒くさいなぁって思うんだから、生身の動物は無理だね。

 やっぱり動物より人間が一番だぜ。まぁ、人間も動物の一種なんだろうけどさ。


「レトリバー、行って」


 システラの命令に従って、機械の猟犬がダンジョンの奥へと走り出していく。


「手伝いはいるかい?」


 真剣な顔で宙に浮かぶディスプレイを見つめ、ルートを探すシステラに俺は訊ねる。


「こっちの手伝いは必要ないので、周りを何とかしてください」


 周りねぇ。俺は自分たちがいる場所を見回す。

 俺達がいる場所は変わらず通路の途中。

 女神像が置かれていた部屋を出てから部屋らしい場所には出ていない。

 多少、通路が広くなっている部分はあったが、部屋というわけではなく通路の一部なので、俺達は延々と迷路のような通路を歩いていることになる。


「周りってアイツら?」


 聞くまでも無いよなぁと思い、俺は通路の奥を見る。

 そこには魔物の群れがいた。

 俺達がワープで移動していたせいで、こちらの居場所を掴めていなかったダンジョンの魔物たちが、俺達が足を止めていたことで、ようやく発見できたようだ。


「私は正しいルートの選定に集中するので近づく敵は何とかしてください」


 了解、了解、承りました。

 俺は右手をポケットに突っ込んで、魔物に向かって近づく。

 右腕は辛うじて動かせる程度で戦闘では使えない。右腕をプラプラと揺らしながらじゃ戦いづらい。ポケットに右手を突っ込んでおけば多少は右腕も固定できるだろう。


「よし、来い」


 俺は通路の奥からこちらに近づいてくる魔物に手招きをする。

 俺達のことを発見し、ハッキリと敵と認識したことで魔物がこちらに向かって駆け出してくる。

 魔物はゴブリンにも見えるが、肌は土色で武器も石器のように見える。土色のゴブリンは人間の子供くらいの大きさであるが、それとは別に成人男性サイズの魔物もいる。そちらはゴブリンと異なり、のっぺりとした土人形という感じで生物のようには見えない。


 俺は向かってくる魔物の群れに左手を構えながら突っ込む。

 来いとは言ったが、待ってるとは言ってない。そして俺が行かないとも言ってない。

 俺は瞬時に距離を詰め、左の拳でゴブリンの頭を撃ち抜く。その瞬間、俺の手は土の塊を殴ったような感触を覚え、俺に頭を殴られたゴブリンの頭が粉砕されるが、ぶちまけられたのは血や肉ではなく土と砂だった。


 見た目は生き物に見えたが土と砂だけで構成されている奴が生物か?

 おっと、これは世界によっては差別的表現になるから気をつけないとな。異世界によっては体を土と砂で構成された生物もいて、そいつらが人権をもっている世界もあるから言葉には気を付ける必要がある。


「まぁ、こいつらは違うんだろうけどさ」


 とりあえず、サンドゴブリンって呼ぶことにしておこう。

 頭を失ったのとは別の砂ゴブリンが石の剣を俺に向かって振り回してくる。俺はその刃を左の掌で叩き落としながら一歩踏み込み、手刀で砂ゴブリンの頭を叩き落す。

 頭部を失った砂ゴブリンは即座に崩れて土と砂に戻っていく。


「倒す方法は分かった」


 じゃあ、次はどうやったら倒せないかを調べようか。

 俺は、俺を取り囲もうと動く砂ゴブリンの内の一匹に狙いを定め、瞬時に距離を詰めるとそいつの顔面を叩く。

 叩かれた砂ゴブリンの顔面は崩れ、顔のパーツが無くなって、のっぺりとしたものになるが、何の問題もなく動き、眼が無いのにも関わらず正確に俺に向かって石の剣を振って来た。


「なるほどなぁ」


 俺は剣を躱し、胴体に貫手ぬきてを放つ。

 その時に俺の手が感じたのは、まさしく砂の中に手を突っ込んだような感触であり、それ以外に言いようがない。


「ふむふむ」


 俺は胴体を貫いた左手を抜き、砂ゴブリンの頭を殴り砕く。

 俺は大したことなく倒せていたけど、普通の奴には厳しいかもね。

 倒す手段が頭を吹っ飛ばすしかないし、それ以外を狙う場合は、手足なんかを吹っ飛ばして身動きを取れなくするしかない。それをするにしたって、思ったよりも砂が固いし、下手糞な奴が剣で切ろうとしたら砂に刃がめり込む程度だろうね。


「打撃の方が良い感じ」


 俺は残っていた砂ゴブリンの頭をハイキックで吹っ飛ばして、次の魔物に狙いを定める。

 次は人間サイズの土人形だ。顔のパーツは最初からないし、装飾らしいものを身に着けてもいない。

 ただ人型のシルエットが動き、俺に向かって来るだけだ。


「こっちも同じかな?」


 砂ゴブリンと同じように頭を飛ばさなければ、駄目ってパターンかと思い、俺は殴りかかろうとするが、その瞬間、土人形の表面が粘っこく波打った。

 俺は危険を感じて咄嗟に飛び退くと、俺が一瞬前までいた場所へと土人形の腕が伸びて襲い掛かった。伸びた腕が石畳の床に叩きつけられると、ビチャっという音が聞こえてくる。


「ふむふむ、なるほど」


 土人形じゃなく泥人形だったということか。

 とりあえず、こいつは泥人間マッドマンと呼ぶことにしよう。

 改めて見ると、砂ゴブリンよりも体の表面に水気が多く柔らかそうに見える。そのため、にある程度、体の形を変えられるんだろうね。


 数体の泥人間マッドマンが俺に向かって、一斉に腕を伸ばしてくる。

 伸びてくる腕の軌道は真っ直ぐだ。それほど複雑な軌道を取れないんだろう。それならば幾らでも防ぎようはある。というか、たった一つの方法で防げるんだがね。


 俺は伸びてきた腕を左腕一本で受け流す。

 真っ直ぐ伸びてきた腕を掌で叩き落し、払い落し、跳ね上げながら、俺は距離を詰め懐に飛び込むと泥人間マッドマンの頭に掌底を叩き込む。

 その一撃で頭部が引きちぎれるが、直後に頭と首の断面の泥が伸び、繋がって再生しようとする動きを見せたので、俺は泥人間の胴体を蹴り飛ばし、頭と首を遠ざけることで再生を妨害する。


「砂ゴブリンよりも、こっちの方が手強いかな」


 再生を妨害されて、頭が吹っ飛んだ泥人間は崩れて泥に戻る。

 砂ゴブリンよりも再生能力があるから倒すのは面倒だし、それに体が伸びるのも厄介だと、俺は残っている泥人間が全身から泥を針のように伸ばしたのを躱しながら思う。

 泥と言っても伸ばした先の部分は硬質化させているようなので打撃力もあるし、針のようにすれば鋭利な凶器になる。

 間合いの長さと再生能力を鑑みれば、砂ゴブリンより上の敵であることは間違いないだろう。


「でもまぁ、俺にとっては楽勝だけどさ」


 俺は伸びる泥針の隙間を縫って近づくと手近な泥人間に足払いをしかける。

 俺の蹴りで足がちぎれた泥人間が地面にうつぶせに倒れる。俺は倒れた体勢の泥人間の頭を即座に蹴りを入れ、サッカーボールを蹴るように頭を蹴り飛ばした。

 頭を再生不可能な場所まで蹴り飛ばせば倒せるみたいだから、こうするのが一番だよな。


 まぁ、別に普通に殴っても充分みたいだけどね。と、俺は背後から接近してきた泥人間の頭をパンチで粉砕して思う。どうやら、頭部が飛び散っても再生は不可能なようだ。

 じゃあ、切ってみたらどうなるんだろうと思い、俺は手刀で最後に残っていた泥人間の頭を縦に真っ二つに叩き割る。すると、割れた頭は再生し問題なく動き出した。


「やっぱ、打撃が一番か」


 剣はちょっと相性が悪いかな。

 斬るんじゃなくて粉砕しないといけないから、剣みたいな切断武器だとちょっと面倒だ。

 まぁ、俺は素手なんで問題ないけどね。と最後に残った泥人間の頭をハイキックで蹴り飛ばしながら俺は思う。


「正解のルートが見つかりました」


 そりゃあ良かった。こっちも終わったところだよ。


「楽しめましたか?」

「まぁまぁだね」


 やっぱ、自我を持ってる敵の方が良いね。

 こいつらと戦ってるとゲームで言うCPUと対戦してる気になって来るからさ。

 それはそれで悪くないけど、長く続けると飽きも出てくるじゃない。今の俺はそんな気分なのさ。


「転送してくれていいよ」


 俺がそう言うとシステラはワープ装置を起動し、転送を開始。次の瞬間にはワープが完了し、ダンジョンの奥へと転送される。

 転送の際、視界が光に包まれるが、それも一瞬のことで、次の瞬間には俺の目の前に巨大な扉が現れる。

 転送は無事に成功したようで、俺は辺りを見回すと、それまでいた通路とは違う様子の場所に立っていることを理解する。

 後ろを振り向いてみると、それまでにいたような通路が見え、そして前方に視線を戻すと俺の前には巨大な扉がある。

 どうやら、ここがエリアの区切りなんだろう。

 ここまでが迷路エリアってことで、この先からはまた違ったエリアになるんだろうと俺は予想する。


 ダンジョン攻略は割と順調。

 さぁ、次のエリアに向かおうか。




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