勝負
辺境伯の追手から逃げている俺達は今後の準備のために、とある村に立ち寄ったわけだが、その村の酒場に入るとどういうわけか昨日、辺境伯の屋敷で会ったシルヴァリオ・ゴールドという男と出くわしてしまった。
「なんや? 俺の顔を忘れたわけやないやろ? こっち来て、ちょっとお喋りでもしようや」
エセ関西弁のシルヴァリオは人懐っこい表情で俺達を手招きする。
そのお誘いは俺的にはちょっと遠慮したい気分。
「いやぁ、ダサい服を着ている人と一緒にいたくないんだよね」
「ぶっちゃけるなぁ、アンタ。まぁええわ、そんならそこのお嬢ちゃんはどうや? ジュースでも奢ったる」
あ、この野郎。少女を物で吊ろうとしてやがる。
時と場所次第じゃ警察沙汰だぞ。
ミルフィちゃん、あんな大阪のおばちゃんでも着ないような服を着てる人の所に行ってはいけませんよ。
ヒョウ柄のジャケットに紫の柄シャツとかどこのチンピラですかね。俺は関わりたくねぇから、キミも関わっちゃ駄目だよ。
それはそうと、こいつミルフィが王女様だってのに気づいていないのか? それとも知らない?
もしくは全部演技で知っててとぼけてる感じ?
「殿方からのお誘いを無下に断るのはレディの嗜みとして良くないですわね」
「殿方からのお誘いを颯爽と断るのも素敵なレディの嗜みだと思うけどなぁ」
そんな俺の言葉を聞かずにミルフィはシルヴァリオと同じテーブルに着く。
それを見て、俺も仕方ないけど同じように座る。
「お姉さん、こっちのかわいい子にはジュース。俺とこの男前には高い酒をちょうだい」
シルヴァリオは店員の女の子に気安く声をかけて、飲み物を注文する。
高い酒って注文の仕方やだなぁ。そもそも、俺に了解を取らない図々しさも嫌い。
俺は俺が勝手をやるのはいいけど、俺以外の奴が勝手をするのは気に入らない時があるんだよね。で、今は気に入らないパターン。
「いやぁ、嬉しいね。こんなに早く再会できるなんて」
「そうだね、偶然出くわすなんてなぁ」
本当に偶然かなぁ?
ちょっとタイミングができすぎじゃないかい?
昨日、辺境伯の屋敷で会った、辺境伯の客人と偶然に再開するなんてあり得るかな? 俺は無いと思うなぁ。
それに、そもそも──
「こちらの親切な殿方はどちら様ですの?」
シルヴァリオに奢ってもらったジュースに口をつけ、ミルフィが俺に訊ねてくる。
けれど、残念ながら、その質問に答えることはできないんだよね。
だって、そもそも──
「それは俺も知りたかったことなんだよね」
──そもそも、俺もこいつが何者か知らないんだよ。
まぁ、コイツが何者かどうかはともかくとして、それよりも聞きたいことがあるんだよな。
さて、何から質問しようか。いや、どうやって聞こうか──と、考えるのも面倒なんで、俺は座ったまま刀を抜き放ち、その刃を振るうとシルヴァリオの首筋に触れる直前で止めた。
昼の酒場に客はほとんどいないが、それでも刀を抜けば、多少は騒ぎになる。けれど、別に気にしない。
俺は刀で脅しながらシルヴァリオに訊ねた。
「昨日の夜、俺を背中から撃ったのキミだろ?」
辺境伯の屋敷から逃げる時に背後から狙撃されたんだよね。
俺はその犯人がシルヴァリオだと思うんだけど、どうなんだろうか?
……顔色一つ変えねぇなぁ。まぁ、多少の脅しは意味が無いかな?
「もう一つ聞こうかね? キミは何者だい?」
「普通はそれを先に聞くんやないか?」
「ははは、キミが首を落として、死ぬような奴なら聞く必要も無いからね」
刃物で脅してもあんまり効果は無さそうだね。ま、それは最初から分かり切っていたことだけどさ。
とりあえず意味も無いのに刀を抜いてんのも良くないんで、鞘に収めるとしよう。
「平和にいかへん?」
「それはキミ次第だなぁ」
俺が刃を収めても店内はまだ緊張感が抜けていない。
田舎の村の酒場で刃傷沙汰なんてのは滅多にないだろうし、怖がらせてしまったかな。
「アッシュ様、みだりに剣を抜くのはよろしくないですわ」
あら、俺って『アッシュ様』なの?
そんなお上品な呼び方をしなくても良いのに。
「そうだね、よろしくなかったね。もうちょっとお行儀よくいこうか」
俺は鞘に収めた刀をテーブルに立てかける。
それを見て、安心したのか、シルヴァリオが調子に乗った顔で舐めたことを言いだす。
「俺も荒っぽいのは苦手なんや」
「じゃあ、素直に話してくれたほうが良いと思うけどね」
俺がお行儀よくいこうなんて言ってのは嘘だし、シルヴァリオが荒っぽいのが苦手ってのも嘘だ。
間近でこの野郎の手を見て分かったけど、シルヴァリオの手は人間を殴り慣れてる奴の手。そんな手をしてる奴が荒っぽいことを苦手にしてるわけがないよな。
「素直に喋るのも芸がないと思わへん?」
面倒くせぇ奴だなぁ。
「じゃあ、喋りたくなるように何発か殴るしかなくなるんだけど?」
「怖っ、殺伐としすぎやろ、アンタ」
じゃあ、殺してやろうか?
別にそこまでキミのことを知りたいわけでもねぇしな。
俺が知りたいのはキミが俺を背中から撃って、俺に喧嘩を売ったのかどうかってことだけだしな。
でもって、キミが撃ってないなら、逆に俺の方からキミに喧嘩を売ろうと思ってるんだよね。
だから、どっちにしろ、俺はキミを殺すぜ? よくよく考えたら話し合いなんて必要ないね。
「俺から何か情報を得たいなら、俺と勝負して勝つことやな」
「勝負?」
勝負と聞かされたら黙ってらんねぇぜ。俺は人と争うのが大好きだからね。
最初から、そう言えば良いんだよ。テメェの事なんかどうでもいいから、さっさと戦ろうぜ?
「いやいや、何を殺気立ててるんや。俺の勝負はこれや」
そう言うとシルヴァリオはサイコロをテーブルの上に転がした。
「サイコロですわね」
「そうや、これでゲームをしようやないか。俺に勝てれば、何でも話してやるで」
ギャンブル勝負かな?
いいね、俺はギャンブルも嫌いじゃないぜ?
「どういうルールでやるんだい?」
訊ねると、シルヴァリオはテーブルに幾つもサイコロを転がした。
「サイコロポーカーや。俺もアンタもカードのポーカーの方が馴染みがあるやろうけど、この世界にはトランプがないんで、これで我慢してや」
ミルフィが興味深そうに俺とシルヴァリオを見ている。
するとシルヴァリオもミルフィを見て──
「嬢ちゃんも入れて3人でやろうやないか」
まぁ、良いけど。俺の方に有利なんで断る気は起きない。
「ルールは?」
「それぞれのプレイヤーはサイコロを五つ持ち、自分の番になったらそれを振る。振ったサイコロの中から、最大で3つまでキープし、合計で3回までサイコロを振ることができる。ベットが可能になるのは2回目にサイコロを振った後から、3回まで終わった時点で全員がオープンし、一番強い役の奴が勝ちだ」
「金を賭けんの?」
「じゃないとつまらんやろ? それと役は基本的にはポーカーと同じや」
つまり一番強い役は6のファイブカード。サイコロなのにカードってのは変な気もするけどね。
絵柄が無いのでフラッシュ系は無し。それと数の最大が6だから普通のトランプよりペアが作りやすい。
「ま、最初は練習のつもりで楽しくやろうやないか」
そんなこと言って、初心者からむしり取るつもりなんだろ?
上等だぜ。こっちだって様子見なんかしねぇ、最初から全力でやってやる。
こちとら、人間時代にはラスベガスで名を轟かせてたんだ。素人に負けるわけねぇだろうが!
こうして、俺とシルヴァリオの勝負が始まり、そして──
「──また、わたくしの勝ちですわ!」
コイツ、クソよええ!
凄腕のギャンブラー感出してたくせに一回も勝ってねぇじゃねぇか!
クソ雑魚、ゴミカス、ヘタレ! 金を賭けなきゃ面白くないみたいなこと言ってたくせに、速攻でおりるのなんなの?
「そして、アッシュ様の10連敗ですわね」
俺ってギャンブル得意じゃないんだよね。そもそも、そんなにマジになれないしさぁ。
ギャンブルってのは遊びでやるから良いのさ。お小遣いとか遊びに使う用と決めたお金の範囲で賭けて遊ぶ。でもって、儲けた金はその場で酒やら食い物にして、一緒に遊んだ奴と飲み食いするなりして使い切る。
そうやってサッパリと済ませるのが粋な博打の楽しみ方だと思わないかい?
「俺は最小限の損害で抑えてるから負けやないで」
「挑戦しねぇ奴は最初から負けてると思うけどね」
負けて悔しくなったり、負けたら人生終わるような額はそもそも賭けるべきじゃねぇんだよ。
賭け事は遊びの範囲で済ませなきゃ。失って惜しい額とか賭けちゃ駄目。それに命とか人生かけてますって野暮な奴がいると遊びが台無しになるんだよね。
「もう一勝負ですわ」
このガキ、ちょっと勝ってるからって調子に乗ってやがるな。
いいだろう、今度こそ俺が勝つ。
「では、勝った私から振ります」
そう言ってミルフィはサイコロを振る。
出た目は、『1、2、2、3、5』。このうちキープできるのは3つまで。
「2と2をキープ」
次にサイコロを振るのは俺。
何も考えずテーブルにサイコロを転がすと出た目は『2、2、4、5、6』。
2のペアはできてるんで、ミルフィと同じ数をキープするのが安全だけど……それでいいわけねぇだろ。
俺はいつだって一番いい役で勝ちてぇんだよ。安全策で勝って何が楽しいんだ?
俺は楽しくないから、全力を尽くす。
「6をキープ」
キープしたサイコロは変更できないから2のペアなんて選びたくないね。
そんな最弱の役なんか御免だぜ。俺が目指すのは最強の6のファイブカードだけだ。
「じゃ、俺が転がすでぇ」
エセ関西弁でシルヴァリオがサイコロを転がす。
どうせ、勝負から降りるんだろうし、どうでも良いよ。
シルヴァリオは一回目のサイコロでペアが一つも無いと、その時点で勝負から降りるからね。
でも、出た目が良かったようで……
「3と3と3をキープ」
スリーカードかよ。イカサマしてんじゃねぇの?
あれ、この時点で何も揃ってないの俺だけか?
「2をキープして、ベット」
間髪入れずミルフィがサイコロを振り、銅貨をテーブルに置く。
駆け引きとかないゲームだなぁ。
まぁ、良いけどさ。とにかく運と思い切りが大事なのは俺好みだし。
「よっしゃ、6をキープしてレイズ」
運良く6が出たのでキープ。
そしてレイズ──ミルフィの賭け金の倍を置く。
すると、俺の次の奴は最低でも俺と同じ額を置かなければならないというのが賭けのルール。
降りれば払う額はミルフィの出した最初の賭け金と同じだけで済むんで、賭け金が吊り上がったら、適当な所で降りると損が少なくて済む。
「うーん、キープはせぇへんけど、コール」
コールは前の奴と同じ額を賭けるという意思表明。
シルヴァリオはサイコロの揃いが無かったので、キープはしなかった。
まぁ、この時点でミルフィには役の強さで勝ってるからね。降りるってことはしないんだろう。
「では、わたくしが振ります」
そう言うと、ミルフィは木製のコップの中にキープしてなかった二個のサイコロを入れて、丁半博打の壺振りの要領で机に置いてサイコロが見えないようにする。
3回目のサイコロを振る時はこうするのがルールらしい。
「……レイズいたします」
シルヴァリオの賭けた額の倍の金をテーブルに置く。
自身があるようだが、俺だって負けてねぇよ。
ちなみに言うと、現時点で俺は6のワンペアなんで、ぶっちぎりで俺が負けそう。
「レイズ」
まぁ、何とかなるだろうって気持ちでサイコロを振り、とりあえず賭ける額を吊り上げる。
ま、6のスリーカードくらいはいってるだろ。
「コールや」
シルヴァリオもサイコロを振るが、つまんねぇコイツは最低額しか賭けない。でもまぁ、よっぽど勝算があるんだろうね。今まではちょっとでも不安要素があったら、降りてたからね。
ちなみに俺は常にレイズ。しょっぱく勝つのは嫌なんでね。
「では、オープン」
俺を含め、3人が一斉にコップをどけて、その中のサイコロを明らかにする。
それで結果は──うん、俺は6のワンペアだ。最後に振ったサイコロに6はなかったし、ペアも無い。
「3のスリーカードや」
シルヴァリオも揃わなかったようだ。
さて、このままだとシルヴァリオの勝ちだが──
「フルハウスですわ」
ミルフィのサイコロは2のスリーカードと6のツーペアでフルハウスの役を作っていた。
「あらま、また負けちまった」
でも、俺はあんまり悔しくないんだよね。だって、命を賭けてるわけじゃないし、遊びだからね。
そもそもギャンブルのスリルってのが俺は良く分からん。本当にスリルを感じたいなら俺は殺し合いするし、ギリギリの命のやり取りをしたい時だって相手を見つけて殺し合いするしなぁ。
「ふざけんな、イカサマやろ!」
ここに来て、逃げ回っていたシルヴァリオはようやく捕まり、敗北を喫した。
負けたのが納得はいかないようで、一言文句を言ったが、それだけだった。
そして、シルヴァリオは溜息を吐くと──
「ま、しゃあない。負けは負けや。約束したし、俺が何者か話してやろうやないか」
あ、ミルフィが勝っても約束は守ってくれるのね。
でも、別にどうでも良いかな。話し合いするより殺し合いをしようぜ。
そっちの方が楽しいと思うぜ? キミもさぁ。
「俺は白神教会の大司教や」
へぇ、敵じゃん。じゃあ殺し合おうぜ。
「そして、昨日アンタを撃ったのも俺や」
知ってたぜ。まぁ、俺に喧嘩を売ったのが確実になったし、殺し合おうぜ。
「ま、これで俺が何者か分かったやろ? それじゃ、賭け金を清算してお暇するわ」
そう言うとシルヴァリオは何気ない動作で懐から取り出した金貨を指で弾く。
金貨は宙に舞い上がり、放物線を描きながらミルフィの方へと落ちていき、そして──
「顕現せよ、我が業──金貨玉条、万民之従」
その言葉が聞こえるより早く、俺はミルフィの襟首を掴み上げ、その体を近くにいた客のもとにぶん投げた。そして、俺は刀を抜き放ち、落下してくる金貨にその刃を叩きつける。
直後に生じる凄まじい衝撃、酒場の店内にいた客が吹き飛ばされ、床を転がる中、俺はその場に立ちシルヴァリオと向き合っていた。
「スゲェ反応やな。最初から俺を殺す気じゃなきゃできない反応や」
「そりゃそうだろ。俺は最初からキミをぶち殺すつもりだったからな」
シルヴァリオは懐から取り出した金貨を指で真上に弾き、それを手でキャッチする動作を繰り返している。チャリン、チャリンという音が一転して惨状となった酒場の中に響き渡っている。
「人畜無害を装ったつもりなんやけどなぁ」
「アホか、キミみたいな怪しい奴がいたら最初から疑うっての。つーか、そもそも初対面の時から、俺はキミ相手に刀を抜けてたんだぜ? その時点でヤベェ奴だってのは一発さ」
俺は雑魚相手だと脅しでも刀を抜けないからね。忘れてないかな?
そんな俺がシルヴァリオには最初から刀を抜いてたんだぜ?
俺が自分自身にかけた呪いのせいで、相手の強さによって戦闘能力に制限かかるせいで、素手でも倒せる相手には刀を抜けないんだよね。
それはつまり、シルヴァリオの素性を知らなくても、俺が俺にかけた呪いはシルヴァリオを刀を抜いて良い相手だと判断したってことなんだし、強い奴だってのは確定してんだよ。
「キミがどういう奴であれ、強けりゃ喧嘩を売りたくなるのが俺って男なもんでね。キミと再会した瞬間から、キミに斬りかかるタイミングを狙っていたんだから、なんかあっても余裕で対応できるっつーの」
最初から喧嘩を売るつもりだったんで、臨戦態勢だったのよね。とはいえ、ミルフィを巻き込むような攻撃をするとは思ってなかったんで、ミルフィには悪い事をしてしまったぜ。
適当な所にぶん投げるよりも人にぶつけてクッション代わりになってもらう方が良かったと思うんだけど、さてどうなっているだろうか。
「よそ見せんといてや」
ミルフィに一瞬意識が向かったタイミングでシルヴァリオが俺に向かって金貨を指で弾く。
指弾の一種──俺は咄嗟に刀でガードするが、しかしその衝撃は俺の思った以上で、俺の体は吹っ飛ばされ、酒場の壁に背中が叩きつけられる。
「ま、最初からこうするつもりやったし、手間が省けてええと思うことにするわ」
いいね、思ったよりスゲェ良い。好きになってきたぜ。キミのこと。
一瞬でも隙を見つけたら殺しにかかるメンタリティ、俺の大好物だ。
「改めて名乗らせてもらうで──俺は白神教会大司教シルヴァリオ・ゴールドや」
シルヴァリオが殺気を放ち、俺を見据える。
ふざけた気配は全く無い。まぁ、喋り方はふざけてるけどね。
「──おい、なんの騒ぎだ!」
おっと、騒ぎを聞きつけてギルドにいた冒険者が酒場に乗り込んできやがった。
悪いけど邪魔なんだよなぁ。とはいえ──
「俺のツレの姉が宿屋にいるから、そいつを呼んでこい!」
ミルフィの面倒はラスティーナに見てもらおう。そんでもって事態の収拾も任せようか。
俺は何するのかって? 俺の方は用事があるのは分かるよね。
「場所を変えへん?」
「いいね。じゃあ場所を選んでくれよ」
俺の言葉に応えるかのようにシルヴァリオが金貨を指で弾いて飛ばしてくる。
だが、俺は無数に飛んでくる金貨を刀で問題なく弾き落としながら、駆け出し、シルヴァリオとの距離を詰める。けれど、同時にシルヴァリオも飛びだしていた。
俺とシルヴァリオはお互いに向かって突進した形になり、そして拳を固めて殴りかかってきたシルヴァリオの一撃を相手の脇を滑り込むよう駆け抜けて躱し、俺はシルヴァリオの背後に回り込むと、その背中に全力の蹴りを叩き込んだ。
普通の相手だったら、背骨が折れるような威力の一撃だが、シルヴァリオは問題なく耐える。
しかし、その体は衝撃で吹っ飛び、酒場の壁をブチ抜いて、村の奥にある森の方まで飛んでいった。
「じゃ、後はよろしく」
俺は酒場にいた奴らに言うと、シルヴァリオを追って森の方まで走る。
そして、俺達は森の中で再び対峙する。シルヴァリオは俺の蹴りを受けても無傷で、チャリンチャリンと金貨を弄んでいた。
「業術が使えるってことは俺の創った世界の出身者だよな?」
俺はシルヴァリオの顔を見据えながら訊ねる。
相手がどんな動きをしても対応できるように油断はしない。
「ま、そうやな」
なんでもないことのように答えるシルヴァリオ。
俺の創った世界の出身者。だったら、これを聞かなきゃ駄目だと思うんだよね。
「俺に勝てると思ってんのかい?」
さて、大事な質問だぜ? 俺にとってもキミにとってもね。
さぁ、どんな答えを俺に聞かせてくれるんだろうか?
……返答次第じゃ、お互いにとってつまらないことになるけどね。
金貨玉条はあえてこう書いてるので誤字ではないです。




