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予選会

 

 赤神神殿の発表から数日、イグナシスの街は何事も無く剣神祭の予選の日を迎えた──いやまぁ、本当に何事も無かったわけじゃないけどね。

 街の中には色々と不満を抱いている人も多かったわけだけど、イグナシスにある有名な剣術流派の人間や、剣術道場の門下生が市内の見回りをし、睨みを効かせていたせいで誰も何も言えなかったってのが本音。

 まぁ、剣神祭はどうしてもやらないといけないみたいだし、そういうのもしょうがないのかな。


 剣神祭は剣士たちの力の証明と同時に、その剣士たちが使う武具のお披露目の場でもあるわけで、イグナシスの主要産業である武具の鍛冶師も剣神祭はやってもらわないと困るようなんだよね。

 鍛冶師たちは剣神祭で自分達の工房の宣伝をして武具を買ってくれる客を増やす。でもって、武具の売買が繁盛すると、その素材を掘る鉱山とそこの労働者も儲かる。イグナシスの住人の大半は鍛冶と鉱山に関わる仕事に就いているから、武具が売れなくなって鉱石の需要が減れば、イグナシスの街の死活問題になるから、武具の宣伝になる剣神祭は絶対に開催ししなきゃならない。

 そのため、剣士たちに街の見回りをさせて、剣神祭の開催に不満を抱く奴らを抑え込む必要があるようだ。


 まぁ、そのことで俺が困るようなことは何一つ無かったけどね。

 見回りしてる奴らは俺を見つけると関わりあいになりたくないって感じで逃げていくしさ。


 そして、なんとか剣神祭の当日を迎えたわけだけど、俺達は今、イグナシスの街の近くにあるダンジョンの前にいた。そこは前に依頼でやってきた遺跡だった。

 結局、神殿からの予選会の連絡はダンジョンで行うというだけしかなく、その内容までは説明が無かった。

 おそらく、相当に切羽詰まってたんだと思うね。予選をするって言ってから一週間も経たずに予選会だぜ? 寝ずに準備したんだろうね、会場にいる運営役の神官達は疲労のせいか顔色が凄まじく悪い。

 けど、それだけ疲労しても、きっと何やるかはマトモに決まらなかったんだろうね。だって、そうじゃなきゃこんな状況になってねぇもん。


 そんなことを考えながら俺は周りを見回す。

 そうしても見えるのは人、人、人。会場とされたダンジョンの前は大勢の剣神祭参加者で埋め尽くされていた。

 数はおそらく1000人以上はいるだろうね。赤神神殿の神官連中は参加希望者の足切りをどうすればいいか考えつかず、甘い考えでそんなに参加する奴はいないだろうと高を括り、こうなったんだろう。

 1000人で一斉に予選をするとかどうやるつもりなんだろうね?


「皆さん、お静かに願います。間もなく、予選会についての説明を行いますので、少々お待ちください」


 いや、静かだよ。人数を考えたら誰も喋ってないレベルだぞ、これ。

 みんな何をやらされるのか、わからなくて不安になってるんだぞ。

 俺は運営が説明を始めるまでの間、周囲にいる予選参加者の顔を確認しようとして、最初に見つけたのは──


「お、ゼティがいるじゃん」


 ゼティがいたので親し気に近づいてみる。

 だが、近づいた瞬間、ゼティは俺を睨みつけ──


「俺を嵌めたな?」


 何の話だろうね?

 俺はキョトンとした表情を意識しながら浮かべて見せて、首を傾げた。


「とぼけるな。貴様が俺に渡したコインは贋物だった。そのせいでグランベル流は贋のコインを集めて剣神祭の参加を目論んでいたなどという疑いをかけられたんだぞ?」


「贋物? 何を言ってんだか、アレは本物だよ」


 正真正銘、赤神が作った本物さ。

 ただ、贋物のコインを見分ける薬とか適当言って俺が売ってた薬には反応しちゃうけどね。

 あれって本物とか贋物とか関係なく、手垢とかに反応して変色する薬だからさ。

 それを使って贋物かどうか確かめようとしたら、贋物とか判定出てもおかしくないね。

 でも、俺がゼティにあげたコインと俺の売ってた薬の関連は? 俺がその薬を使ったわけじゃないのに、俺が悪いっていうのは、ちょっと乱暴じゃないかしら?


「ふざけたことを言ったら、殺すぞ」


 おっと、懇切丁寧に説明してやろうと思ったら釘を刺されちまったぜ。

 これじゃあ、俺が何を言っても駄目そうだから、余計なことは言わないようにしときましょう。


「俺はグランベル流の名誉を回復するためにグランベル流に手を貸す。貴様とは剣神祭が終わるまでは敵同士だ」


 そりゃあ怖いね。怖すぎて、おしっこ漏らしちまいそうだぜ。

 大きい方を漏らす前にお暇するとしましょう。


 ゼティが敵に回ってしまったので他に味方になってくれそうなのは誰かいないだろうかと俺は周囲を見回すと、また知った顔を見つけ──


「あ、セッシー」


 おいおいセレシアもいるじゃないか。

 何をやってるのかね、なんだか周りには女の冒険者が多いようだけど。

 俺は気になったので、セレシアに近寄るが、俺の姿を発見したセレシアは俺を睨みつけてくる。


「私を嵌めたな?」


 一体、何の話やら。

 周りの冒険者さん達も俺を睨むのはやめてくれませんかね?

 地味にリィナちゃんとシステラが俺の背後を取ってるのはどうしてかな?


「奢ると言っておきながら、そのまま店から逃げただろう」


「お腹を壊しちゃってね。トイレから出られなくなって、気付いたら朝だったんだよ」


「あの後、私達が一体いくら払ったか知ってるか?」


「俺は財布を気にしてメシを食ったことが無いもんで、料理の値段とか分かんないんだよね」


「金貨百枚を超えていたんだぞ。おかげで私達はあの店で何日もタダ働きをさせられたんだぞ」


「無銭飲食で捕まらなくてよかったね」


 俺がヘラヘラと答えるにつれて周囲の女冒険者さん達が殺気を纏いだす。

 なんだか、みんな俺を敵だと思ってるようだ。


「ところで、周りにいる有象無象は何者?」


 おっと、思わず有象無象とか言っちまったよ。

 ごめんごめん、言い直しておこう。


「この取るに足らない雰囲気の連中はキミのお仲間かい?」


 言い直したつもりだけど、俺は急に嘘がつけない体質になってしまったみたいで、思ったことと違った言葉が口から出てしまう。


「アタシたちはイグナシスの冒険者の女性部だ」


「そして私は女性部の部長だ」


 セレシアが胸を張って自慢げに言う。

 いつの間に出世してやがったんだろうね。

 まぁ、目立つ奴だし、タイミング次第では祭り上げられるのもおかしくはないかな?


「私は女性冒険者の地位と権利の向上のために女性部の部長となったのだ」


 なんかヤバそうな雰囲気がしてるぞ。

 関わったらマズいタイプのヤバさだ。


「この世界の女性はあまりにも虐げられている。男女同権いや女性の優越のため私は立ち上がった。そして、その手始めとして剣神祭に優勝し、イグナシスの街の法を変えるのだ」


「ついでに女を騙す奴も殺す」


「さらに女性を侮る奴も殺す」


 俺の後ろに立つリィナちゃんとシステラが感情を殺した声で俺に言う。

 別に俺は女を騙していないし、女を侮ってもいないと思うんだけどな。

 でも、どうやらこの女性陣にとって、俺は最大の敵になってるらしい。

 どう考えても私怨だよね。


「私は彼女たちと共に予選の突破を目指す。そしてついでにお前を殺す」


 嫌われたもんだぜ。

 セレシアとリィナちゃんとシステラは俺の敵かよ。

 泣けてくるね。まぁ、そんなに悲しくもねぇけどさ。

 とはいえ、この場に長居すると面倒臭いことになるから、ちょっと離れよう。


「他に誰か俺のお友達はいませんかね?」


 そう思って探してみると俺が師範代になっているジルベイン流剣術の門弟たちが集まっているのが目に入った。何をやってるのか気になったので、近づいてみようとするが、近づく俺に気づいた門弟たちは露骨に嫌そうな顔になる。


「いやもう、本当に勘弁してくださいよ」


 俺が話しかけるとジルベイン流の門弟はそんなことを言いだした。


「正直、もうアンタに関わりたくないんス」


「なんで?」


 俺がジルベイン流を有名な流派にしてやったじゃん。

 俺のおかげで誰もジルベイン流を舐めなくなっただろ?


「確かに最初は流派の名が売れて良いなって思いましたけど、デメリットが多すぎるんすよ。正直、アンタのやってることに付き合ってられないんです。それにウチの道場の名前で街中の店にツケを貯めてるし、アンタのせいでジルベイン流の経営は火の車なんですよ」


 へぇ、そうなんだ。

 そりゃ申し訳ないね。


「つーわけで、アンタはもう破門です。うちの師範もそういってました。なので、もうウチに関わらないでもらえますか?」


 そう言ってジルベイン流の門弟たちは俺に背を向けて、その場から離れていった。

 おいおい、俺の味方はどこにもいないのかよ。泣けてくるぜ。まったく──


「どうしましたか?」


 不意に俺に声をかけてくる奴がいたので、俺は声の方を見ると、そこに立っていたのはラ゠ギィだった。

 どうやら、俺の味方はラ゠ギィしかいないようだ。

 ゼティもセレシアも味方だと思っていた奴らが敵に回り、敵だと思っていた奴が味方になる。世の中ってのは分からねぇもんだなぁ。


「どうもしねぇよ」


 俺が答えるとラ゠ギィは肩を竦め、俺の隣に立つ。


「協力関係であることは忘れてねぇよな?」


 俺が訊ねるとラ゠ギィは頷く。


「えぇ、協力してこの予選を突破しましょう」


 やっぱ最後に頼りになるのは契約関係にある奴だけだね。

 そんなことを再確認している内に神官たちの準備が終わったのか、神官の一人が俺達の前に立ち、そして予選のルールの発表を始めた。


「このダンジョンの最深部に向かってください。最深部へ到着した参加者の先着順で上位16名に本戦への出場資格が与えられます」


 単純に競争しろってことかい?

 いやまぁ、それしかねぇのかもしれねぇけどさぁ、参加者何人いると思ってんの?

 1000人以上はいるんだぜ? ちなみにダンジョンの入り口の幅はどう頑張っても一度に10人くらいしか入れねぇように見えるんだけど。

 これ明らかに渋滞するから、先にダンジョンの中に入れた奴の方が遥かに有利じゃねぇか。

 やべぇなぁ、運営に場当たり的な発想しかねぇよ。


「それでは私が合図したら出発してください。では、皆さん用意を──」


 いやいや、この流れでいきなりスタートする気かよ。

 スゲェな、俺よりとんでもねぇことを考える奴らだぜ。

 もう少し、参加者に状況を整理する時間を与えてくれてもいいんじゃないかい?

 周りの奴らもそう思うよな? そう思って辺りを見回しても、参加者の大半は困惑してるだけだ。


 さて、どうしたもんかね。

 まぁ、どうするか考えるまでも無く俺のすることは決まってるんだけどね。

 このルール──というかルールも何もないようなもんだけど、とにかく、これはもうどれだけ人を出し抜けるかってのが勝負の決め手だ。とすれば、俺のやることは──


「ちょっと待って欲しい」


 おや、あれはゼティかな?

 大勢の参加者の中からゼティが進み出て神官に向かって質問を投げかけた。


「これは参加者同士の妨害などはしていいのか?」


 当たり前の質問のようだけど、それすら神官連中は説明してないからね。

 どんだけ、運営が混乱してんだよって話だ。


「それは勿論、構いません。他の参加者を倒し、最深部を目指してください」


 妨害有りね。まぁ、当然だわな。

 で、邪魔する奴を薙ぎ倒して突き進むか、先行逃げ切りで誰にも追いつかれずにゴールするか。まぁ、攻略法はいくらでもあるわけだが──


「俺も質問があるんだけど、良いかい?」


 俺は集団の中から手を挙げて、大声で神官に訊ねる。

 そして、俺の前を陣取る大勢の参加者たちをかき分け、参加者たちの先頭に立つ。

 その瞬間、俺の姿を認識した参加者たちの、夥しい数の敵意のこもった視線が俺に突き刺さる。

 いやぁ、嫌われたもんだぜ。

 まぁ、イグナシスでは相当に色々とやってるんで嫌われても仕方ねぇんだけどさ。

 でも、俺って人に嫌われるのが全然平気なんだよね。むしろ、嫌われる方が敵が増えて楽しいよ。味方ばっかり多いと戦う相手がいなくてつまらねぇしさ。


「キミらは先着順って言ったけど、その判定って誰がするんだい?」


 俺を見ている参加者たちが、「その質問って重要か?」って感じの気配を出して俺を見てくる。

 分かってねぇなぁ、俺にとっては結構、重要なことだぜ? つーか、キミらにとっても重要なんだよね、実際の所はさ。


「最深部に辿り着いた参加者については赤神様が順位を判定されるとのことです」


「へぇ、そりゃ凄い」


 神様直々に順位をカウントしてくれるんですか。

 じゃあ、最深部には神官とかはいねぇってことだよな。

 でもって、赤神の仕事は最深部に着いた奴をカウントすることくらいで、それ以外のルールは赤神は監督してないんじゃないかい?

 だとしたら──


「質問は以上でよろしいですか?」


 神官はさっさとスタートの号令を出したくてたまらないようだ。

 参加者をダンジョンの中に入れて予選を開始してしまえば、後はもうどうでも良いって思ってんだろうね。そんなん21世紀初頭の地球の日本じゃ大問題になるぜ? 

 まぁ、ここは日本じゃないからどうでもいいけどさ。実際、21世紀の地球でもこれくらい適当な所はいくらでもあるしね。


「では、予選を開始したいと思います。それでは用意してください──」


 神官が参加者たちの前に立ち開始の号令をしようとする。

 だけど、ちょっと待って欲しい俺はそれを遮ることにした。


「ちょっと待ってくれ!」


 俺が声をあげる度に敵意のこもった視線が俺に突き刺さる。

 俺はそれを気にも留めず、参加者たちの前に立つ。

 そして俺は大勢で集まり、行儀よく整列している参加者たちを見渡し──


「始まる前にみんなに謝っておきたいことがあるんだ」


 参加者たちは俺は親の仇のように睨みつけている。

 堪らねぇな、すげぇ目立ってるぜ、俺。

 注目を浴びて気持ち良くなってきた俺は一旦、参加者たちに背を向け、そしてダンジョンのある遺跡の方に向かって歩く。開始の号令をする神官は空気に呑まれているのか、成り行きを見守ることしかできておらず、俺を止めることが出来ない。

 俺は整列している参加者たちの先頭から10メートル離れた場所まで歩くと、そこで立ち止まり参加者たちの方を振り向く。


 さて、謝らねぇとな。

 それで何を謝るかって? 今までの俺の行い?

 いやいや、そんなことじゃねぇよ。俺が謝ろうとしていることってのは、過去の事ではなく、これから先のこと。俺は心からの謝罪の気持ちを込めて、これから俺がやることを参加者たちに謝る。で、結局、俺が何を謝るのかと言うと──


「──ゴメンね、俺は先に行くから」


 謝罪を言葉にすると同時に俺は参加者たちに背を向け、ダンジョンのある遺跡の方を振り向くと、そこに向かって駆け出した。

 その時に背中に感じるのは神官が出す開始の号令をノンビリと待っていた参加者たちの呆然とした気配。だが、次の瞬間──


「──っ抜け駆けだぁっ!」


 参加者の叫び声が俺の背中を叩く。


 バーカ、バーカ。

 なに、お行儀よく開始の号令なんか待ってんだ。

 別に神官の号令なんか待つ必要ねぇんだよ。

 その号令ってルールは神官が決めてるだけで、順位をカウントしてるのは赤神だぜ?

 途中のルールはどうでも良くて、とにかく最速で赤神の待つゴールに着けば良いんだよ。


「走れ! 走れ!」

「あのクソをぶっ殺せ!」

「待ちやがれ、このクズがぁ!」


 ははは、背中に感じる罵声が気持ちいいぜ。

 どんなに叫んでも、キミらは俺には追い付けねぇぜ。

 10メートルは空いてたし、キミらの足じゃ俺との距離はつめられねぇよ。


「待って! 待ってください! 号令を待って、あぁ!」


 走りながら後ろを振り向くと、俺を追いかけて一斉にスタートした参加者の集団に神官が呑み込まれるのが見えた。

 ゴメンね、キミには本気で謝るぜ。でも、俺が楽するためには仕方ねぇんだ。

 俺は1000人で仲良くダンジョンの中に突入なんか絶対にしたくなかったんだよね。人数のせいでダンジョン内で渋滞が起きるだろうし、渋滞で足止めされるなんて嫌だからさ。俺は先行逃げ切りで誰にも足止めをされず、俺の前には誰もいない先頭を走りたかったんだ。


「待てって言ってだろうが、このゴミィっ!」

「くたばれ、クソ野郎!」


 叫ぶより走った方が良いんじゃない?

 俺は振り向いて声をかけてやろうと思ったけど、後ろとの距離が開きすぎて声は届きそうにないのでやめたが、振り向いた俺の視界に集団から飛び出した二つの影が目に入った。

 明らかに速度が違う二人はゼティとセレシアで、俺の使徒である二人は俺への殺気を漲らせながら、俺に追いつこうと全速力で走っている。だけど残念。俺はもうダンジョンに辿り着いたぜ。


 俺は遺跡へ到着すると俺を追いかけてくる参加者を確認する。

 ゼティとセレシアが二位と三位。でも、おかしいと思わないかい?

 その二人が来てるなら、ラ゠ギィがいてもおかしくないだろ?

 なのに、何故ラ゠ギィがいないか。俺は参加者の集団の後方を見る。すると、ラ゠ギィは他の参加者に取り囲まれて、前へ進めないでいた。


 あれだけ俺と仲良く話してて、他の参加者に目を付けられないわけがないだろ?

 俺のイグナシスでの嫌われっぷりを舐めすぎだぜ。俺の仲間ってだけ、潰す対象に選ばれるくらい俺は嫌われてるんだぜ?

 イグナシスの住人に俺とラ゠ギィが仲間だと誤解してもらうために俺はわざわざ、人の多い場所で握手したり、開始直前に周りに人がいる状況で協力関係とか口に出したんだよ。

 そんな俺の思惑は見事にはまって、参加者で俺に恨みを抱いている奴はラ゠ギィを俺の仲間と勘違いして妨害してくれている。


 それに対して本当の俺の仲間のゼティとセレシアを見てみろよ。

 アイツらと俺は現状では敵同士だから、誰もアイツらの邪魔はしない。

 俺とアイツらは敵対しているわけだけど、それだって大した問題じゃねぇ。

 重要なのは俺の陣営を一人でも多く剣神祭に参加させること、俺と敵になっていても、それさえ果たせばいい。むしろ、俺と敵の方が何事もスムーズに進むのさ。実際、ゼティとセレシアは誰の邪魔も受けずに、俺の次にダンジョンへと到着する。


 結局、俺の方がラ゠ギィより一枚上手だったってことだね。

 ラ゠ギィ、キミは俺の協力者として足止めを食らってろ。

 俺は一足先にダンジョンの中に入らせてもらうからさ。


 さぁ、アイツは放っておいて、さっさとダンジョンの最深部に行くとしよう。

 そんでもって、このまま一位でのゴールを目指そうじゃないか。



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