エルシア魔法学園27期生入学式
エルシア歴28年。
私は12歳になり、憧れのエルシア魔法学園に入学した。
私はエルシア・ペリタ・エリカ。エルシア王家の一人だ。
ミドルネームの「ペリタ」はおばあ様の「ペリータ」から来ている。
私のおじい様のエルシュは6人の妻がいるため、どの家系かわかるように付けられているのだ。
そしてこのエルシア魔法学園は私のおばあ様の作ったのだ。
私はおばあ様の事が大好きなので、昔話しを沢山聞いた。
この魔法学園を作った理由は「魔法知識のため」と表向きになっている。
しかし私は「帝国で見た魔法都市の魔法コロシアムが楽しかったから、似たようなの作りたかった」という本当の理由を知っている。
意識してみると、広いコロシアム状の訓練場を中心に、学校が建てられている。
実はこの訓練場こそがメインなのだ。
私がぼぉーっと訓練場を眺めていると、バンと肩を叩かれた。痛い。
「よぉエリカ。なにぼーっとしてるんだ?」
この乱暴な栗毛の男は私の幼馴染でいとこ。エルシア・シュカ・ヴァルテル。
エルシア領主エルシュの正室のフランシシュカの家系の、孫長男だ。
簡単に言うならば、私達の世代で一番偉い。
「いったー! 何すんの!」
私は水魔法を、ヴェルテルの顔目掛けて発射する。
ヴァルテルは「おっと」と軽く避けて、水は地面を濡らした。
「女の子に乱暴しちゃダメだよ?」
このかわいいタレ目の薄い青髪の子も幼馴染でいとこ。エルシア・スプワ・パル。
第三夫人の家系で、男だ。
こいつは私よりもかわいい顔している。なのでよくドレスを着せて遊んでいる。
「パルの方がよほど女の子してるぜ」
「や、やめてよ……」
「ふんっどうせ私は色気ないもん」
私の姿は薄い桃色髪のちんちくりん。聞くところによるとおばあ様の昔の姿にそっくりだそうだ。
街中を歩くと、お年寄りが私に拝んでくる事がある。
さて、こんないつものやり取りをしていたら、遠巻きに私達を見てヒソヒソ話しをする同じ入学生が沢山いた。
そうだね、そりゃ目立つよね……。
「あんな達みたいに顔がいいのと一緒にいると悪目立ちするのよ!」
ヴァルテルはきょとんとした。
「エリカだってかわいい顔してるじゃん」
「そういうとこ! ほんともう!」
私は手にしている杖でヴァルテルに殴りかかった。
「あはは。仲いいね」
「良くない!」
パルの奴め。後で絶対、女子制服を着せてやる!




