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[6-1]帰国

 思えば、戦争から色々あった。

 王都は師匠の黒い魔力で呪われ、今では眠都みんとと呼ばれている。

 眠り続けている都とのことだ。

 師匠が治癒魔法で人型化したのもあの時か。一応元々人だったようだけど。

 あとはゴンズによる偽王はまだ頑張っているらしい。

 王子にはまだまだ任せられんよと、いやお前の息子じゃないだろうと。真実を知ったら泣くぞ。


 新都となったスレメボは急ピッチで拡張された。なんたって王都がまるごと移住してきたのだ。

 食料は隣の村の私の故郷がなんとかした。

 私の故郷の拡張っぷりも凄かった。

 干ばつの影響で周囲の村から移住してきた時に拡張され、ものすごく広くなっていた。なんだよこれ町かよ。

 そして私の石像が立っていた。あの石魔法使いの作品らしい。


 帝国は公国に手出しすることはなかった。

 とりあえず本土にやべえ奴らというのは伝わったようだ。

 そもそもこんな辺境の地を、完全に占領するつもりはないのかもしれない。

 公国の領主のラディウスは周囲の国を取り込み、フニャシア朝となったようだ。

 その辺の政治の事はわからないから割愛する。


 魔法騎士のゾフィアを残し、私達はしばらくフニャシア公国の都にいた。

 今では公国ではなく王国になったのだったかな。まあいいか。

 その辺のことも私にはわからない。

 そういえば過去にエルシュに「王族」と言ったら「違いますよ」と言われた事もあった。なんか違ったようだ。


 そしてその後は帝国に遊びに行ったのだ。

 帝国のあれは特に面白かった。あれだ。魔法コロシアム。

 帝国内の魔法都市と呼ばれる所にある娯楽施設だ。

 そこでは魔法使いが番付されており、コロシアムで魔法で戦うのだ。

 原理のわからぬ魔法防御の透明な結界魔法が観客にかけられており、魔法使いの戦いを賭けて応援するのだ。

 あれは良かったね……ふふふ凄く儲かった……。

 エルシュに「ズルはダメって書いてありましたよ」と言われたけどズルではない。

 魔力が色で見えるのは私の能力だもん。

 しかし、力の差があっても相性で勝敗はかなり変わったのには驚いた。


 私は参加しなかった。というのも、私の魔力はここらの魔法使いに比べてへなちょこだったからだ。

 この頃に私は気づいたのだ。

 エルシュの近くにいると、魔法が強くなることを。

 あの頃は常にエルシュにくっついてたから、ただ私の魔力が強くなったのかと思っていた。

 しかし師匠が昔言っていた。

 魔力は強くなったり弱くなったりするものではないと。

 私の魔法が絶好調だったのは、エルシュが私の魔法を増幅していた、ということなのだ。

 つまり、私は一人になるとへなちょこなのだ。しょんぼり。

 いやまあ? それでも? そこそこは? 凄いんですけど?

 戦闘向きじゃなさすぎるので、私は畑に水を撒きますよ……。じょぼぼぼ。


 他に楽しかったのは象だ。何あのでかい動物。

 エルシュがビビってたのが面白かった。

 いやあなた、あの動物より力強いですよ……。

 あの動物に乗って戦う事もあるらしい。

 なにそれ、あれ馬かよ。

 あの見た目でも優しいんだよと教えてもらった。

 つまりあれだな、力が強くて優しい、つまりエルシュだな。見た目はしわしわでかわいくないけど。


 あと道に迷子になった時に耳長エルフに会ったりした。

 耳長エルフに耳長エルフと言ったら怒られた。

 耳長エルフはエルフではなくロロス(上手く発音できない)とか言うらしい。

 しかも森ではなく彼女らは平地に住んでいるらしい。

 文化として彼女らは子ができたときに木を植え、共に育つという。

 歴史がある族だと先祖代々の木があるため、森のようになると言う。

 だからそれらの森を犯すものは、敵とされるのだ。

 全く知らない文化だった。

 ちなみに耳長エルフは背が高いと聞いていたが、私が会った子は私くらいに小さかった。

 聞くと子供だから、らしい。

 へえと聞いていたら「君も子供じゃないか!」と急にツンツンしだした。

 違うもん……私は大人だもん……。

 彼女らの文化では、子供を産むまでは子供ということらしい。

 あ、それなら私もまだ子供です。


 他には町で猫耳っ子とか犬耳っ子とかいた。

 まとめて獣人と言われるようだが、彼らに獣人と使うのは危ないらしい。侮蔑語とされるようだ。

 でも彼らは人を「人間」と呼ぶらしい。そっちはいいのか。

 それと狐っ娘のしっぽをもふもふしたりした。もふもふ。

 しかしその狐っ娘はなんと、帝国の第三王女が化けた姿だったのだ。

 私は知らずにもふもふしてしまった。もふもふ。

 そんなこんなでお友達になって、一緒にショッピングとか楽しんだりした。

 その時にまた誘拐されかけたけど……。なんか誘拐事件に巻き込まれる事多くない?

 エルシュがドカンとやって、慌てて逃げた。

 第三王女にはエルシュの力がバレたけど、黙っていてくれるようだ。

 今度フニャシア公国まで遊びにいくねーと言っていたが、本当に来るのだろうか。来そうな気がするな……。フランシシュカみたいだったもんな……。


 そういえばフランシシュカは、公国に戻って会ったら、昔よりもさらに大きくなっていた。昔のエルシュくらいだ。

 出会った時からするとエルシュもさらに大きくなっていた。

 これ以上大きくなるとドレスが着られなくなりそうで、私は心配です。

 ちなみに私も少しだけ大きくなりました。小指くらい。

 小指くらいと言っても、小指の長さではなく、小指の厚さくらい。

 つまり一目ではわからないくらい。

 くすん。


 そんなこんなで私達の結婚の準備ができました。

 実は帝国へ遊びに行っていたのは婚前旅行だったのだ!

 しかし結婚はフランシシュカと一緒らしい。

 つまりどういうことかというと、嫁ペリータ、嫁フランシシュカ、嫁エルシュの三人の結婚式ということだ。

 すでに三人分のウェディングドレスは準備されている。

 あとは当日を迎えるだけだ。

 まさかまた誘拐事件とかないよな? ないよな? とキョロキョロする私であった。

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